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五輪の年に「テレビが売れる」は本当なのか? - 多賀一晃 (生活家電.com主宰)

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「オリンピックがあると、テレビが売れる」という人が多くいます。確かにオリンピックはビッグイベント。しかも2020年の開催地は東京。この世界的なイベントを「新しいテレビで!」と考えるのは当然ですから、うなずける理屈でもあります。2020年へ向け、オリンピックがらみのビジネスが盛り上がりつつある今、考えて見たいと思います。

(rommma/gettyimages)

オリンピックがあっても、テレビが売れない!?

日本でオリンピックが開催されるのは、2020年の東京で4回目。1964年の東京(夏)、1972年札幌(冬)、1998年長野(冬)、2020年東京です。

そして国内のテレビ出荷統計を見てください。1990年以降のデータしかありませんが、少なくとも長野五輪に関係ある1997年、1998年のテレビ出荷台数が多いかと言うと、そうではありません。むしろ少ないくらいです。このことからも「オリンピックがあると、テレビが売れる。」ということではないことが分かります。

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では、テレビが売れる要因は何なのでしょうか?

テレビが売れる要因

テレビの売りを左右するのは、まずコンテンツです。盛り上がりを見せているラグビーW杯は見たいですよね。スポーツのビッグイベント、オリンピックなどはともも見たいコンテンツに当たります。が、それだけが決定的な要因でないのは、グラフの通りです。

次にテレビ自体の変化です。これまでに、テレビは大きく4回変わっています。

1回目は1951年。テレビが「デビュー(白黒)」した時です。2回目は1960年。テレビが「カラー化」した時。3回目は1980年代後期。「大画面化」。テレビが迫力を持ちました。それぞれ、テレビが見られる様になった。カラーで見られる様になった。迫力が付いた。とホームエンターテイメント性が高まっています。

そして4回目が薄型テレビ(2000年代前半)です。「平面化」は、大画面化と共に、インテリア化を併せ持った時で、テレビのあり方が大きく変わりました。

同時に放送の方もいろいろ変わっています。例えば、1990年のハイビジョン放送。多分に実験的なところがあり、マニアはともかく普通の人は縁遠い感じでした。2009年には3D放送もされましたが、こちらも鳴かず飛ばず。理由は「コンテンツ」ですね。ろくなものがありませんでしたから。

こう並べて見ると、テレビ、テレビ受像機はテレビ放送と切り離せないのですが、放送方式を変えても「コンテンツ」が整わない限り、買いたいとは思わないことがわかります。

逆に、放送の変更で大騒ぎになったのが「地デジ」化です。デジタル放送はアナログ放送と規格自体が違います。このため受像機であるテレビの中身は、全くの別物になります。このため市中テレビは全部処分されたわけです。2011年のアナログ放送終了までの最終3年で、通常の5倍量が売れたわけで、まさに異常事態だったことがわかります。

見たいコンテンツがあり、テレビも新しい機能を持って魅力的な時、最後後押しする要因は「景気」です。

例えば、大画面化された80年代後半、大画面テレビは1万円/インチの時代でした。当時売れまくったのは28〜32インチですから、30万円のテレビが売れたわけです。それを支えたのが「バブル景気」です。

ちなみに、テレビの売りに影響するのは「夏の」オリンピックです。理由はオリンピックの開催が8月上旬で、7月のボーナス商戦と上手く被るからです。このようにオリンピックの時、テレビは売れる可能性はあります。しかし、それはせいぜい翌年買うのを前倒しにするレベルなのです。が、総需はそうであっても、メーカーシェアは大きく動く可能性があります。このため、流通、メーカーは力を入れてしまうわけです。

2020年の東京五輪は? というと、消費税増税他のあおりを受け、国内景気はの冷え込みが予想されます。NHKが力をいれている8K放送もスゴいことはスゴいのですが、シビアに細かく見るならいざ知らず、普通に楽しむなら、標準の2Kでもかなりの画質ですから十分楽しめます。少なくとも白黒からカラーの様なインパクトはありません。

このためオリンピックという良質なコンテンツはあるのですが、買い替えは、余り期待できそうもありませんというのが結論です。特に、オリンピックの14日間後、またドラマ、バラエティー番組を見ると思うと、余り財布の紐を緩めたくないのが現実ではないでしょうか。

一方10月3日に発表されたシャープの8Kテレビ BW1ラインには、スポーツの臨場感をより感じられる「スポーツモード」を持っています。音楽ライブがほとんど放送されない今、スポーツのビッグイベントのライブ中継は、数少ない視聴率を取ることができる番組であり、そのコンテンツの再生には、今後とも力を入れていくと思われます。

テレビ総需は低いままで、なぜ90年代レベルに戻らないのか?

グラフを見て、おかしく感じられることがあともう一つあります。しれは、地デジ化が終わってかなり経ちますが、総需が1990年頃に戻っていないことです。

一番大きな理由は、テレビが大過ぎて、リビング以外使えないということが上げられると思います。昔なら、古いテレビは寝室や子ども用とかに再利用され、それが便利なら、新しいテレビをリビング以外にも買い足していたのですが、そういうことがなくなったのです。

今セカンドテレビの代わりを務めているのは、スマートホン、タブレットです。で、見るモノは、「HuLu」や「NETFLEX」、「Youtube」などのネット配信。これらは契約しても、NHKの視聴料より安いです。これも、テレビ番組が詰まらなくなったからでしょうね。

それはさておき、今後テレビは一世帯に一台。それ以上は持たなくなると思われます。1インチ1万円は夢のまた夢。今、液晶テレビは2〜3000円。そして数量も出なくなっているわけですから、メーカーがテレビに力を入れなくなった理由がわかります。

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