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【ネットスーパー物流】、チェーンストアはMFC対CFC!でクローガーは失策と予測?

■スーパーマーケット・チェーンではカーブサイド・ピックアップや宅配によるネットスーパー展開で物流に2つの流れができつつある。マイクロ・フルフィルメントセンター(Micro-Fulfillment Center:MFC)とセントライズド・フルフィルメントセンター(Centralized Fulfillment Center:CFC)だ。

両者ともAIを利用したオートメーション化されたロボット物流なのだが、規模が全く異なっている。

MFCはスーパーマーケット店内もしくは店に併設する形で設置され、広さは5,000〜2万平方フィート(140〜560坪)となる。方やCFCは30万〜40万平方フィート(8,400〜1.12万坪)にも及ぶ。

分散型のMFCは導入された店舗もしくは近所にある数店舗までをカバーするためのネットスーパー物流だ。一方のCFCは文字通り数十〜数百の店舗を対象にした物流を1ヶ所に集中した物流倉庫となる。

主に店内に導入されるMFCは半年から数ヶ月程度で工事が終わるのに対して、CFCは着工から稼働までに2〜3年は必要となるのだ。無論、コストも異なりMFCの導入コストは数百万ドル(数億円)で済む程度なのだが、CFCは5,500万ドル(60億円)以上もかかってしまうのだ。

 MFCの事例では、南フロリダで34店舗を展開するセダノス・スーパーマーケットがある。セダノスはフルフィルメントセンター開発を手掛けるテイクオフ・テクノロジーと提携しマイアミにある店舗内にMFCを開設し稼働している。

約300坪となるオートメーション化されたMFCがセダノスのネットスーパーに対応し、最大1.4万アイテムを扱うという。また比較的大きなアイテムやかさばる商品等については、ピッカー係のスタッフが売り場でピッキングを行う。

テイクオフ・テクノロジーはアルバートソンズやアホールド・デレーズ、ショップライトを展開するウェイクファーン、マイヤーと提携しており、続々と店内MFCが導入される計画だ。

小売チェーン最大手のウォルマートもアラート・イノベーションと提携したMFCをニューハンプシャー州セイラムにあるスーパーセンターでテスト中だ。

スーパーセンター・セイラム店を560坪増床し、小型カートのようなロボット「アルファボット(Alphabot)」が動き回る物流倉庫を導入している。

 CFCは食品スーパー最大手チェーンのクローガーが採用している方式だ。クローガーは先月、イギリスのネット専業スーパー最大手のオカドグループと提携したフルフィルメントセンターをダラス地区にオープンすることを発表した。

CFCでは5ヶ所目となるダラスのロボット物流は35万平方フィート(9,800坪)で着工は来年の初めとなっている。クローガーでは6月に着工したオハイオ州モンロー地区の33.5万平方フィート(9,380坪)CFCがあり、フロリダ州グローブランド地区のCFC、ジョージア州フォレストパークのCFCも発表している。

グローブランドとフォレストパークCFCは共に37.5万平方フィート(1.05万坪)。クローガーは場所等の詳細は明らかにしていないが、中部大西洋岸にも1ヶ所のCFCオープンを発表しており、2021年までに20ヵ所まで増やす計画なのだ。

 チェーンストアが採用する二方式のネットスーパー物流について金融サービスのジェフリーズ・グループが10日、「クローガーのCFCは失策」とのレポートを発表したのだ。

ジェルフィーズのアナリストであるクリストファー・マンデヴィル氏は「いまだ初期段階であるネットスーパー市場において、クローガーのCFC展開は高額で時間がかかりすぎてリスクが高い」と批判した。

一方、利用者の自宅に近い店内MFCは、非常に難しいラスト・ワン・マイルでも効率的でより安いコストでの展開が可能とマンデヴィル氏はみている。同氏は「すでに強固なオムニチャネル展開を行い且つ我々が行った買い物客アンケートでも極めて良いフィードバックを得ていることから、(MFCを採用する)ウォルマートが長期的に見て最善のポジションを得ている」と主張している。

 スーパー内のマニュアル・ピッキングで拡大中のネットスーパーの物流はロボットを活用した次の段階にきつつある。ネットスーパー黎明期から10年後、勝ち組となっているのはMFC、CFCのどちらを採用した企業なのだろうか?

トップ動画:YouTubeにアップされている「テイクオフ・チャレンジ:マニュアルピッカー対ロボットピッキング(The Takeoff Challenge: Manual vs. Automated Picking)」。49秒間でスタッフによるピッキングは1アイテムのみでMFCのピッキングでは10アイテムとの差がでている。クローガーのCFCではMFCより取り扱いアイテム数が多くピッキングが速くなるもののラストワンマイルで苦戦との予測だ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。後藤はクライアントにオムニチャネル化を一刻も早く着手するようアドバイスしています。少なくとも毎年、アメリカ流通を視察して若い人を中心に意識改革を行うよう指導しています。

IT投資は速いほうがいい。必ずといっていいほどITには「ファースト・ムーバー・アドバンテージ(First Mover Advantage:FMA)」があるからです。早く開始・実行したものの方が、後から開始・実行したものよりも優位に立てるのです。IT投資に遅れる最大の理由は失敗を恐れるからです。FMAでは失敗はすぐに取り戻せます。

例えばネットスーパーをどこよりも早く展開して、仮にミスしても顧客は離れません。ネットスーパー黎明期での利用者はイノベーターやアーリーアダプターと呼ばれる層で失敗に寛容です。むしろ彼らは無償で改善策となるヒントをくれたりします。逆に後で参入するとノウハウを得られないどころか利用者は小さな不手際にも不寛容で何も言わずに離れていきます。

 仮にクローガーのCFC展開が失策だったとしても立ち直りは意外に速いのではと後藤は見ています。

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