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ベスト8入り! ラグビー日本代表が責任を背負う勇気と自信~ビジネスパーソンの言語学66



最近、説明や謝罪時の、違和感のある言葉遣いが話題になりがちだ。当コラムでは、実際の発言を例にとり、公私の場で失敗しない言葉の用い方を考える。ビジネスパーソンのための実践言語学講座66、いざ開講!

「今日の試合は、単純に僕らだけのものじゃないと思っていた」ーーーラグビーW杯でスコットランドをを破りベスト8入りを果たした日本代表のリーチ・マイケル主将

負けるわけにはいかない戦いだった。前日には、台風19号が日本列島を切り裂き、各地に甚大な被害をもたらしていた。そんななか、彼らの勝利は国民に大きな勇気を与えた。ラグビーW杯で強豪スコットランドを倒して史上初のベスト8。まさに歴史の扉をこじ開けた大一番での勝利は、台風被害に落ち込みがちな日本にとってこれ以上ない明るい材料となった。

「自分たちには関係ない」と目の前の試合だけに集中することもできたはずだ。だが、彼らはそうしなかった。歴史的勝利のあとの会見では、まずジェイミー・ジョセフヘッドコーチがこう切り出した。

「一言話さなくてはならないことがある。試合の前に、台風で甚大な被害があったと聞いた。今朝、選手たちに言ったのは『今夜プレーできない人たちの分もプレーしよう』と。今日の試合はタフな時間帯にそのことを思った。多くの方のおかげで今日の試合が開催された」

勇気あるタックルで何度も日本の危機を救ったリーチ・マイケル主将もこう語っている。

「台風で亡くなった人たち、その家族のために少しでも勇気を与えることができたと思う。今日の試合は、単純に僕らだけのものじゃないと思っていた」

恐らく、彼らは自信があったのだろう。だからこそあえて重い責任を背負って戦い、それを力に変えることができた。中途半端なチームだったならこのプレッシャーに押しつぶされていたかもしれない。なぜ彼らはそれだけの自信を持てたのか。その理由は2トライをあげたWTB福岡堅樹が語っている。

「この時のためにすべてを犠牲にしてやってきた。最高の結果を出せて本当にうれしい」

ベスト8入りは奇跡ではない。リーチ・マイケル主将は、大会前から「目標は優勝」と公言してきた。それだけの準備をしてきたという思いがあったからこそなのだろう。当初は「死の組に入った」と言われた。相手に恵まれたわけでもないし、幸運が舞い降りたわけではない。すべてを犠牲にし、ひたすらに練習と研究を重ねてきたからこそ、日本代表は自信を得ることができたし、堂々と戦って勝利を手にすることができたのだ。

「誰かのために」「みんなのために」。そんな言葉を使うのは簡単だ。だが、それを形にするのは決して簡単なことではない。本当にその責任を背負うことができるのは、それだけの準備をしてきた者たちだけなのだ。15人が決して休むことなく攻め続け、守り続ける日本代表の試合を観ていると、彼らがどれほど準備をしてきたかがよく伝わってくる。だからこそ観ている誰もが感動するのだ。できるだけ長く、彼らが躍動する姿を観ていたい。彼らの勇敢な戦いは、被災地の方々はもちろん、日々に困難を抱えるたくさんの人々に前に向かう勇気を与えてくれる。

Text=星野三千雄 Photograph=Getty Images

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