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報道に見る「被害と原因」の因果律

やはり出てきたか。そう思わせる記事が林政にュースにあった。

林野庁と千葉県は、9月の台風15号で発生した大規模な風倒木被害に関する緊急調査の結果を10月11日に公表した。どこで被害が起きてもおかしくない強風と地形的な要因が相まって、人工林・天然林、樹種などを問わず風倒被害が発生したと分析。サンブスギの多くが溝腐病に罹病・腐朽していたが、「倒木の発生原因とは必ずしも言えない」とした。

これは「倒木の原因は山武杉の溝腐れ病」という報道がなされたことに対する返答だろう。そして、溝腐れ病の存在を大きく広めた一人として私と、私の記事も含めているに違いない。


で、私は反論するというより、この意見に同意する。いや、初めからそう言っている。

ここで改めて私の記したことをなぞると、台風被害で「中折れしているスギが多い」⇒「千葉県は山武杉が多く植林されていて、その杉の多くは溝腐れ病に罹患している」「溝腐れ病になると幹が途中で折れやすい」と説明してきた。倒木すべてを溝腐れ病のせいだとは言っていない。

また多くのメディアに私がコメントしているが、必ず私は「今回、多くの倒木が出た理由は、何といっても台風15号の風が強かったから」と説明している。そのうえで「街路樹などは根元から倒れているのが多いが、山に植えられたスギの多くが幹の途中から折れている」「中折れした倒木の処理は、通常の倒木以上に難しい」⇒停電解消には時間がかかる、としたのだ。

実際、あるテレビ局の番組では「根元から倒れた木」と「中折れした木」を並べて写して、なぜこんな違いが出たのか、そして今回の千葉では中折れが多かった……ことを説明していた。これは、かなり丁寧に取り上げてくれたと思っている。ただ、中には一部を抜き出して「山武杉は病気がかかっていてすぐ倒れた」と説明してしまうケースもあった。

だいたい千葉県の森林のうち人工林は4割ぐらいで、そのうち8割がスギで、スギの2割ほどが山武杉。山武杉の8割は溝腐れ病。こうした数字を突き合わせたら、溝腐れ病にかかっているのは森林全体の5%にすぎない。

どうしても報道は(時間や文字数の関係で)端折る部分が出るし、単純化してしまうのは仕方ない。そして読者・視聴者も読み聞きしたうちで理解して記憶に残すのは、全体のほんの少しだ。いくら懇切丁寧に説明しても正確に伝わるのは一部になる。これは報道が悪いとか、視聴者がアホだとかいうのではない。人的コミュニケーションとはそういうものなのだ。

ただ、やはり情報のリテラシーを磨くことは大切だろう。さもないと、結果をつくった原因を誤ってしまう。

ちなみに台風19号でも、ダムの緊急放流がいけないとか八ッ場ダムが洪水を救ったとか、スーパー堤防をつくれとかという言説が垂れ流されつつあるが、これもいい加減。もともとダムの貯水量なんてしれていて洪水の時間差をつくるものにすぎないし、もし放流せずにダムの整備が壊れたらより大災害につながりかねない。八ッ場ダムも今回の雨量・河川流量の数%にすぎない。巨大洪水の前に効果は限界があるのだ。そんなこと、ダムが建設される前から計算でわかっている。またスーパー堤防は幅が広いのであって高さは従来の堤防と一緒。かといって見上げるばかりの高い堤防を河川両岸全域に築くのは現実的ではない。ここでは日経新聞などが言い出した「もう堤防に頼れない」の方が正しい。

原因と結果を結ぶのが仏教用語でいう「因果」だが、この因果律をしっかり見極めないと災害対策まで間違えかねない。

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