- 2019年10月16日 09:44
【リブラその後】
フェイスブックが中心となって進めているデジタル通貨リブラの設立総会が14日に開かれて創立メンバーとして21の企業と団体が署名しました。
クレジットカードのビザやマスカーカードといった決済事業者が抜けたことで国際的な展開に悪影響を及ぼすという報道が相次いでいます。
BBCはFacebook puts on brave face with Libra(FB、リブラで強硬姿勢変えず)の中でリブラ協会が14日、スイスのジュネーブで設立総会を開き、当初の予定の28の企業と団体の参加が21にとどまったと報じています。
ビザ、マスターカード、ストラップ、イーベイ、ペイパルなど6社が総会に先立って脱退し、さらに総会の当日にホテルの予約などを手掛けるBookimgs.comも抜けたそうです。
残った大どころは配車大手のUberやLyft、さらにオランダのPayUだとしています。総会ではフェイスブックのDavid Marcus, ペイパルのBertrand Perezら5人が取締役に選ばれ、今後CEO探しが始まるそうです。
14日のリブラの発表文はこちら。
https://libra.org/wp-content/uploads/2019/10/Libra-Association-Charter-Press-Release-.pdf
FTは「フェイスブックはリブラの開始予定の2020年までに規制当局の承認を得るのに苦しむだろう」として来年末までのサービス開始は難しいという見方を示しました。
FTは社説で、フェイスブックはリブラに対する反発の大きさを痛感しているだろうと指摘。反発の大きさの理由として「フェイスブックが(金融)システムの安全性を確保するための手立てを講じなかったから」と手厳しいです。
各国の財務当局や金融政策を担う中央銀行が警戒感を強めているとした上で、個人データの収集をめぐって信頼が高くないフェイスブックがリブラを率いていることが問題の背景だとも解説。
ザッカーバーグCEOが今月23日に米議会証言に臨むとして「新たな計画はこれまでもFBが手掛けたサービスのように問題が起こさないことを納得してもらう必要があるが、珍しく与野党が一致してフェイスブックに不信を抱いていることから、それはまずないだろう」と総括しています。
Reutersはリブラ協会の政策・コミュニケーションの責任者が創立メンバーが減ったことについて「修正ではあるが、後退ではない」と述べたと報じています。
残された決済事業者はオランダのPayUのみでアメリカ、カナダではサービスを展開せず、アフリカや中東の大部分も展開していないということです。
ビザやマスカーカードが抜けたことについて「大手の決済事業者がリブラ協会から離脱したことで、利用者が現地通貨をリブラに両替したり決済を行うにあたってこうしたグローバルプレイヤーの支援を受けられないことを意味する」と分析しています。
10月23日の議会証言の詳細はこちら。
https://financialservices.house.gov/calendar/eventsingle.aspx?EventID=404487