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台風19号、止水板の威力検証

写真)陸上自衛隊東北方面隊第2施設団の宮城県角田市南地区における人命救助の様子 出典:twitter: 防衛省・自衛隊(災害対策)

安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・台風19号による浸水被害が拡大している。

・大きな河川が氾濫し、集合住宅含め多くの住宅が冠水。

・止水板など、浸水防止対策を普段から検討しておくことが望ましい。

10月12日、列島を直撃した台風19号(ハギビス)。記録的な大雨で東日本を中心に川が氾濫し、浸水被害が拡大している。国土交通省によると、13日夕方までに、東京、静岡、埼玉、長野、福島、群馬、栃木、宮城などで、21河川、24カ所で堤防が決壊、河川の142カ所で浸水被害があったという。また土石流や崖崩れなども相次いでいる。亡くなられた方、行方不明の方も多数出ており、今後その数は増える見込みで、大変悲しく、残念な気持ちで一杯だ。心からお悔やみを申し上げる。被災した地域が一日も早く復旧することを心から願うばかりだ。

さて、今回は東京都世田谷区多摩川の水が堤防を越えた。多摩川は筆者の住む地区から5キロほど西、住宅街の近くを流れる大きな川で、近年高層マンションの建設も相次いでおり、人口が急速に増えている地域だ。12日夜から堤防を越えた水が川からあふれ出て、周辺の道路が冠水した。今回は実際に浸水対策をしたマンション住民の方から話を聞いたので紹介する。

■ 止水板とは

今回話を聞いた方のマンションではエントランスに「止水板」を設置したことで事なきを得た。「止水板」と聞いて皆さんはどのようなものを想像するだろうか?一番身近なものは、地下鉄の入り口に設置するものではなかろうか。筆者も実際に設置されているところを目にしたことはないが、テレビ等で見たことはある。地下に水が浸入することを防ぐために出入り口に人の手で設置するものだ。

▲写真 駅出入口に設置した止水板 出典:東京メトロ

では市街地のオフィスや店舗などはどう浸水対策をしているかというと、一番ポピュラーなのは「土のう」だろう。応急的に出入り口に設置するのに便利である。

▲写真 土のう(2005年6月小松市梯川堤防上にて) 出典:Photo by shift

しかし、住宅地のマンションなどの集合住宅では、土のうを積み上げるにも人手を集めねばならないし、そもそもどこから土のう袋を入手したらいいかすらわからない。中に詰める土砂も市街地の場合、そう簡単に手には入らない。

しかし、エントランスに「止水板」があったら、それを設置するだけで一階ロビーへの水の浸入は防げる。実際に「止水板」が効果を上げた例を紹介する。

■ 止水板の効果

写真を提供いただいた方の住んでいるマンションは世田谷区玉川にある。裏側のエントランスが多摩川に面しており、12日夜、エントランスに止水板を設置した。その後、堤防から水が溢れ出し、辺り一面が冠水した。

▲写真 多摩川から水が溢れ出す前にエントランス前に設置された止水板 出典:Ⓒ高見貞夫

こちらのマンションでは、数年前に建て替えた時に川に面した裏手のエントランスに止水板設置を決めたという。止水板の高さは約1メートル弱。普段は倉庫などにしまい、いざというときに設置する。これまでも多摩川が増水しそうな時に設置したことがあるといい、今回はまさにその効果が実感できたことになる。

▲写真 13日朝、道路側から見た止水板 出典:Ⓒ高見貞夫

▲写真 エントランス内側から見た止水板 出典:Ⓒ高見貞夫

写真から止水板が見事に川から溢れ出た水の浸入を防いだのがわかる。ちなみに近隣のマンションの道路より低い部分は冠水してしまっていた。無論、水位が1メートルを超してしまったら、水が建屋に流入してしまうわけだが、少なくとも今回浸水は防ぐことが出来たわけだ。

 
▲写真 止水板とエントランスの間 泥が少し侵入した 出典:Ⓒ高見貞夫

■ マンションの死角

低い土地や、川の堤防沿いに建っているマンションや集合住宅にとって、止水板設置は一つの浸水防止策だろう。

地下は実は建物の心臓部だ。そこには駐車場のほか、様々な電気設備などがあることが多い。筆者の住むマンションも地下に非常用ディーゼル発電機が設置してあるが、水没したら使い物にならなくなる。

非常用発電機は停電時に電源を供給する重要な設備である。生活汚水を下水道に流すためのポンプの電源にもなる。ポンプが稼働しなければ水洗トイレの使用も出来なくなる。停電する前に水没して機能を喪失してしまったら元も子もない。浸水防止対策は極めて重要だろう。

▲写真 非常用ディーゼル発電機 出典:三菱重工エンジンシステム

とはいえ、管理組合の役員でもやらない限り、自分の住むマンションの設備がどうなっているかなど、普通考えもしないだろう。今回を機に、自宅の浸水防止対策について考えてみてはいかがだろうか。

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