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ラグビー日本快挙の陰に隠れるバレーボールW杯、ジャニタレ依存のツケ - 新田日明 (スポーツライター)

日本の底力を見せつけた。ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会で日本代表は13日、1次リーグA組最終戦・スコットランド戦(横浜国際競技場)に臨み、28―21で勝利。史上初の決勝トーナメント進出を果たした。強豪を次々と下すと予選プールで4戦全勝を果たし、堂々の1位突破。アジア勢で初の8強入りも成し遂げ、世界中を驚かせた。もうジャイアントキリングとは呼ばれないだろう。

試合前に台風19号による甚大な被害を受けた被災地へ黙とうを捧げ、必勝を誓った。この歴史的快挙達成によってフィフティーンは未だ深い爪痕を残す日本に力強い勇気も与えたはずだ。

その一方、もう少しクローズアップされなければいけない別の日本代表チームがいることも忘れてはいけない。日本で行われている男子バレーボール・W杯(FIVBワールドカップ)に参戦中の日本代表だ。

世界ランキング11位の日本は同8位のイランと13日、広島グリーンアリーナで対戦し、セットカウント3―1で下して史上初の5連勝。「アジア最強」の相手から白星をつかんで大会通算7勝2敗とし、1991年大会以来28年ぶりの4位以内が確定した。他力ながらも42年ぶりのメダル獲得へ望みをつないだのだから、もっと注目度が上がってもいいのではないか――。そう思ったのは私だけではないはずだ。

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ちなみに女子バレーボール・W杯も男子大会が行われる直前の9月14日から9月29日まで開催され、日本代表は6勝5敗の5位に終わっている。勝ち越したとはいえ苦戦を強いられ、目標としていたメダル獲得には程遠い結果に周囲からは落胆の声が響き渡った。

人気、実力ともに兼ね備えた木村沙織のようなスター選手が不在となっている現状も響き、世間的な注目度も大会開催前からイマイチだった感は否めない。それでも中田久美監督率いる「火の鳥NIPPON」が悲願のメダル奪取で結果を残せば、もっとスポットライトを浴びていたはずだろうと勝手に考察していた。

だが、今大会で奮闘する男子バレーボール日本代表「龍神NIPPON」への注目度を見る限り、そうとばかりも言い切れないのかもしれない。もちろん4年に1度行われるバレーボールW杯が2019年大会に限って同じ日本開催のラグビーW杯とほぼ同時期のスケジュールでバッティングしてしまったことは、かなり不運な要素だったであろう。

サッカーW杯、五輪と並び世界3大スポーツイベントと称されるラグビーW杯は今大会で初めて日本で行われ、世界各国から応援のために外国人観戦客も多数来日しており、それなりの経済効果にも一役買っている。

安倍晋三首相が応援コメントを出すなど政府もバックアップを続け、そのホスト国としてジェイミージャパンは期待以上の結果を出しながらまい進中。となれば否応なしに盛り上がるだろう。比較すれば、同じ「W杯」でもラグビーとバレーボールの大会規模は雲泥の差だ。そう考えると確かにバレーボール日本代表への注目度が薄れてしまうのは致し方ない。

FIVBワールドカップはフジテレビが独占放送

しかしラグビーほどの扱いはさすがに無理にしても、やはりバレーボールW杯・日本代表のメディア露出は少ないと感じる。新聞各紙や通信社を含む活字メディアは別としても事実、テレビ各局は1局を除いてほぼ報じていない。このFIVBワールドカップはフジテレビが独占放送しているからである。

1977年大会からバレーボールW杯は12大会連続で日本開催となっており、ここまでフジテレビがホスト局となって世界に配信している。映像権等の諸問題から他局としてはスポーツニュースで扱いづらい背景があることも報道を敬遠する理由となっているようだ。やはり長年に渡って「日本開催のバレーボールW杯=フジテレビの独占放送」というイメージは世の中に根付いている。

ただ、フジテレビが1局独占であることは我慢できるにしても、もうそろそろ同局のバレーボールW杯中継のシステムは根本的に見直さなければいけない時期に来ているような気がしてならない。ひいてはバレーボールW杯がラグビーW杯のように一般層の人たちから注目されづらくなっているのは案外この点にあると思う。

純粋なバレーファンならば、あまりにもバレーボールの戦いとはかけ離れた同局の〝ショーアップ中継〟に辟易(へきえき)している人も少なくないだろう。その筆頭はジャニーズ事務所所属のタレントが大会スペシャルサポーターとなり、過剰な盛り上げ役に徹していることだ。 

1995年大会でデビュー直後のV6がサポーターに就任して以来、ここまでバレーボールW杯中継におけるフジテレビとジャニーズ事務所の蜜月関係は継続されている。今大会もジャニーズWESTが就任。中継のある日本戦の試合前に歌を披露し、セットの間にはコートに入って日本を応援するように観客席を煽る。そして試合が始まると観客席でオーバージェスチャーやアジテーションとともに日本の応援を繰り返す――。これが毎大会でサポーターを務めるジャニタレのルーチンワークだ。

「これはスポーツなんかじゃない。日本のショーだ」

会場には〝ジャニタレ目当て〟のファンも大挙して来場するようになっている。試合中にDJが「ニッポン、ニッポン」を連呼し、まるでコンサート会場のようなノリになる応援に困惑する他国代表チームも数多い。いくらホームでも「やり過ぎだ」という批判が絶えないのは関係者ならば誰でも知っている。

今に始まった話ではないが、こうした過剰演出には過去にW杯参加国から「これはスポーツなんかじゃない。日本のショーだ」とクレームがつけられた例もあり、こうした例は表に出ない類のものも含めれば枚挙にいとまがない。

せっかくの熱い戦いに過剰演出が水を差してしまう。だからW杯なのに緊迫感がなくなり、どこかチャラい感じの戦いに映ってしまうのは残念なことだが否めない。取材を重ねていても「ジャニーズ中心になりがちの中継を変えられないのか」という声は、もう決まり文句のように方々から聞こえて来る。ところが、そう簡単にいかないのが現状のようだ。事情通は、こう打ち明ける。

「FIVB(世界バレーボール連盟)が、ずっとW杯の日本開催を継続させているのは数十億円とも言われる莫大な放映権料が入るから。フジテレビも視聴率がとれるキラーコンテンツとして巨額の放映権料を惜しみなく支払ってきている。だからこそジャニーズとの関係は切っても切り離せない。ジャニーズのタレントを起用することでチケットやグッズ収益が増え、何よりもスポンサーが数多く集まるからだ。

昨年の世界選手権・日本大会を日本バレーボール協会と共催し、放送権を得たTBSは〝ジャニーズに頼らない運営〟を行ったところスポンサーが集まらず約10億円もの大赤字を抱え込んだ。日本協会側も観客が集まらず6億円の赤字を生んだのは業界内でも有名な話。ジャニーズファンがいなければ、バレー人気は成り立たないというのが放映するテレビ局側の考えだ」

しかしながらバレーボール国際大会の開催権を日本が独占している時代にも終焉が近付きつつある。前出の世界選手権は2022年の次回大会でオランダとポーランドの共催で開かれることが決定。1988年から2018年まで6大会中4大会を国内開催していた日本も立候補していたが、予算編成で難航を強いられ、あっさりと招致に失敗した。

さらにはW杯も2023年大会から公募で開催国を決めることになっている。中国も立候補すると見られており、日本協会側はチャイナマネーの脅威を警戒しながら「いよいよ開催権を奪われるのでは」と危機感を強めている。フジテレビも今大会中継の視聴率に苦しんでいることから〝ジャニタレ頼み〟にも限界があるようだ。

大きく盛り上がるラグビー熱とは対照的に日本のバレーボール界は方向転換を図らねばならない過渡期に直面しようとしている。

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