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そして、レバ刺しが禁止された

厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会での審議の結果、牛肝臓を生食用として提供されることが禁止されるようです。つまり、レバ刺しが禁止になるということです。

すでに、レバ刺しについてはこれまで何度も書いてきたのですが、禁止を前にした報道などで気になることがいくつかあったのであらためて書いていみます。


新鮮だから大丈夫、衛生に注意を払って提供している、食中毒を出したことはない という主張について

レバ刺し禁止の決定打となったのは腸管出血性大腸菌(O157をはじめとする重篤な食中毒を起す菌)がレバー内部から発見されたことです。しかし、レバーからは腸管出血性大腸菌をはじめサルモネラ、カンピロバクターなどの菌は検出されていました。ただ内部に存在する(取り除いて提供することが不可能)ということが判明しただけです。

現在、レバ刺しを新鮮だから、衛生に注意を払っているからと自信をもって提供しているという店舗は、定期的に細菌検査などを行い、自身の店舗で提供しているものの衛生状態を把握しているのでしょうか?おそらく、そういったことは殆ど無いと思います。

そうはいっても食中毒を出したことはないという主張もあるかもしれません。しかし、日本では食中毒は医師が届出を行わないと食中毒統計にはあがりません。お客さんの中には、少し体調を悪くしたりお腹を壊した人がこれまで皆無だったとは思えません。そうした方々が医者にかからずに済ませたり、医師が食中毒と診断しなければ形式上は食中毒ではないことになります。

しかし、いわゆるハイリンリッヒハインリッヒの法則にならうと、重篤な食中毒の影には多くの軽い食中毒があり、さらに多くのちょっとした体調不良が控えています。これまで食中毒が起きていなかったのは運が良かっただけという可能性も高いでしょう。


これまでレバ刺しでは人は死んでいない

たしかに、統計上はそうかもしれません。しかし、死ななければ管理は必要ないのでしょうか。腹痛や嘔吐で苦しむのは構わないでしょうか。死なないまでも腎臓の障害が一生残ったり、手足に麻痺が残ったりするのはどうでしょうか?腸管出血性大腸菌の引き起こすHUSの後遺症で腎臓に障害が残ることはありえます。また、カンピロバクターはギランバレー症候群との関連が疑われています。ちょっとお腹を壊す程度ではすまない可能性も意識しておられますか?


あなたが加害者になるかもしれない

食中毒は食を介した感染症ということも可能です(毒素型のものは除く)。つまり、あなたが感染することで、さらに別の人を感染させてしまうこともありえます。場合によっては、あなたには症状が出ないまま、お子さんを危険に晒すことだってあるのです。レバ刺し擁護の報道では、この視点が決定的に抜け落ちてるように思えます。


リスクを総合的に評価して欲しい

これは行政への注文でもあるのですが、レバーのリスクは細菌だけではなくウィルスや寄生虫など多岐に及びます。また、牛レバーだけでなく、豚レバーを刺し身として提供している店もあるようです。リスク評価する上では一つ一つのケースについて検討していくしか無いとは思うのですが、多様なリスクを総合的に評価して欲しいと思います。


ほんとうに食べたい人こそ、多少コストアップになっても放射線照射を訴えるべきでは?

ネットでは以前から放射線の利用が叫ばれていました。ようやく新聞などにも少しづつ照射のことをからめた記事が出始めました。とりあえず、安全に提供できる現実的な手段の一つなのですから、本当にレバ刺しが無くなって困る人たちこそ必要性を訴える必要があるのではないでしょうか。


最後に

もしかしたら月末に向けて駆け込み需要があるのかもしれません。しかし、店舗の方々には、だからこそリスクの周知をお願いします。NHKの報道で業界団体の方が「リスクを周知して消費者の選択にまかせる方法もあるのでは」と発言しておられました。レバ刺し禁止が現実になった今、その周知ができないのであれば、その姿勢こそが今日の事態を招いたことにほかならないでしょう。

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