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Q 離婚後も子にとっては親に違いはないのですから、離婚後も共同して子に責任を持つ離婚後の共同親権は理想ではありませんか。

Q 離婚後も子にとっては親に違いはないのですから、離婚後も共同して子に責任を持つ離婚後の共同親権は理想ではありませんか。

A 現実に離婚した夫婦は相応の問題を抱えているからこそ離婚に至っています。離婚後も子のために冷静に協議が行える夫婦であれば何も共同親権である必要性がないばかりか、問題を抱えている元夫婦に「共同親権」を押し付けても何の解決にもなりません。それ以上に弊害しかもたらさないものであり、こうした子に責任を持つなどという「理念」だけで現実の制度に大きな改変を加えるべきものではありません。

 離婚しようが子にとっては親であり、離婚後も継続的に責任をもってその成長に関わっていくということは1つの理想とはいえます。

 しかし、それ自体が絶対にあるべき理想ともいえません。片親と言われようとも立派に親子関係を築き上げ、子育てをしている人たちもたくさんいます。両親そろっている方がいいんだと言ってみたところで、離婚に至るような状態で夫婦関係を維持すること自体が不可能であるし、もはや離婚自体は不可避なのです。
 一昔前には、子のために我慢すべきなどとも言われていましたが、どちらも対等に我が儘ならともかく、一方の犠牲で夫婦関係を維持しなければならないとするのは相当でなく、そのような歪んだ関係での家庭では子にとっても不幸な状態です。

 離婚が成立した以降であっても、何事もなかった状態に戻ることは普通は困難です。DVは論外としても、特に一方の配偶者の行為に我慢を重ねてきたような場合はなおさらで、我慢を強いたという自覚のない他方配偶者の感覚とは大きなずれが生じることになります。その典型がモラハラです。

 こうした離婚後の元夫婦の実態を無視し、離婚後の共同親権は理想なんだからと言ってみても説得力がないばかりか、そうした共同親権という名の「権利」を非監護親に与えれば、その権利をたてにした干渉などの弊害が生じることは目に見えています。

 つまり、理想的な離婚した夫婦は、子に関して双方が協議をする上で、離婚後の共同親権がないことによる不都合はありません。ここで大事なのは法律上の不都合はないということです。
 他方で、多くの円満でない関係になっている元夫婦の場合には、そうした「権利」なる概念を入れてしまうことによって、かえって離婚後の両者のバランスを崩すことにもなりかねませんし、「理想」の関係が築けるわけでもありません。

 そして何よりも何故、そこまで「理想」が強調されなければならないのかという点も問われることになります。
 特に離婚後の理想を主張しているのは子に面会交流もできない状態の人たちです。

Q 何故、離婚後の共同親権の導入が言われるようになったのですか。

 そこで理想なるものを主張するのですが、その動機は「理想」実現とは全く違います。要は、自分が自由に面会できるようになりたいという利己的な動機に基づくものであり、注意が必要です。
 これは、「理想」を持ち出せば、離婚後の共同親権の導入にも反対できないろうというあさはかな動機によるものです。むしろ問題があるが故に子との面会交流の実現ができないという場合も考えられるところで、これを離婚後の共同親権という制度の導入によって打破しようというものであり、明らかに取り違えた主張です。

 特に、現在の家裁実務では子との面会交流は原則実施という運用を行っているところであり(この家裁の面会交流原則実施論には問題があります)、それにも関わらず面会が実現しないのは相応の事情があるからです。もちろん、全部が全部、非監護親側に問題がある事例ばかりではありませんが、少なくとも言えることは離婚後の共同親権がないから子との面会交流が実現できないという事実はないということです。

 むしろ、こうした人たちが主張するような離婚後の共同親権が導入されれば、家裁実務でもできなかった面会交流を実力行使によって実現してしまいかねない危惧を感じざるを得ません。


 こうした危惧に加え、離婚夫婦の多くは無関心なのが実態かもしれません。

 どう考えても今の離婚後の状況は養育費の支払い状態が悪く、10%とも20%とも言われ、母子家庭の貧困も社会問題になる中で、多くは「理想」とはほど遠い状態にあるわけです。
 離婚後の理想よりも、理想的な婚姻関係を築くためにはどのような発想、問題意識を持つべきなのかということの方が重要でしょう。
 結婚や子育てには責任が伴うものであるというごく当たり前のことがどこまで共有できているのでしょうか。

 特に妊娠したから結婚を検討するという、いわゆるできちゃった婚などが離婚に至ることも多いといわれているのは責任という自覚もないままに婚姻、出産(あるいは出産、婚姻)に至ることによって生じているのですから、離婚後の理想が語られてもどうかと思います。こうした実態で離婚した夫婦に離婚後の共同親権といってみても何も「活用」されることはないでしょう。

 いずれにせよ、離婚後の共同親権の導入がなければならない実際の、さらには法律上の不都合は存在しないので、「理念」や「理想」を持ち出して、離婚後の共同親権の導入を正当化しようとしているわけです。

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