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「一日に必要な睡眠時間は8時間」は都市伝説

連休を利用して、寝不足か点検しよう

睡眠不足が体に良くないことは、さまざまな研究から実証されています。たとえば短期的には、ほんの数日でインスリンに対する感受性が低下して、同じ食事をしても血糖値が上昇しやすくなります。また、自律神経の働きでいえば、交感神経が過緊張になったり、ストレス時に増えるコルチゾールなどのホルモンが過剰に分泌されて、抑うつ状態になりやすくなります。そして、睡眠不足は長期間続くとより深刻になり、うつ病や糖尿病、高血圧、高脂血症、脳卒中、心筋梗塞、がんの罹患率が高まることがわかっています。


※写真はイメージです(写真=iStock.com/demaerre)

平日は睡眠不足でも週末にたっぷり寝て補っているという人は、なおのこと注意が必要です。寝だめをすれば、一時的に眠気は取れます。しかし、自律神経系への悪影響は週末の寝だめ程度では解消されません。眠気が取れて睡眠不足を自覚しづらくなるため、むしろ睡眠不足が長期化するおそれがあるのです。40~50代になって糖尿病や高血圧になり、睡眠習慣が良くなかったと気づいても後の祭りです。

では、睡眠不足がいけないのなら、寝られるだけ寝たほうがいいのでしょうか。

必要以上に長く眠ることが抑うつを引き起こす

実は寝すぎにも問題はあります。長時間睡眠のデメリットとしてよく知られているのは、抑うつです。週末に寝だめして昼ごろ起きたら、夕方くらいまでボーッとして何もやる気がしないという経験はないでしょうか。眠気を取ったはずなのにダルいのは、必要以上に長く眠ることが抑うつを引き起こすからです。

長期的に見ても、寝すぎの人は糖尿病や高血圧などの罹患率が高いことがわかっています。ただ、長時間睡眠と疾患の因果関係ははっきりしていません。たとえば他の要因で脳血管障害になった人は、日中の活動量が低くなります。また、うつ病の素因がある人は、発病に先行して臥床時間が長い傾向が認められたのかもしれません。つまり、寝すぎがダメと決めつけるのは早計ですが、長時間眠れるのは何らかの不調のサインかもしれません。



ところで、一日に必要な睡眠時間は8時間という説がまことしやかに囁かれていますが、あれは都市伝説。ナチュラルに回復するために必要な睡眠時間は人によって異なります。

自分の必要睡眠時間を知るには7~10日間程度、特殊な実験室に入っていただく必要があります。忙しいビジネスパーソンがそうした実験を行うのは非現実的ですが、週末や3連休を利用して睡眠不足かどうかをチェックすることくらいは可能です。

まず平日の正味の睡眠時間を一定期間記録して、平均時間を割り出します。週末は遮光カーテンで部屋を暗くして、アラームをかけずに好きなだけ寝てください。目が覚めて眠気を感じたら、二度寝、三度寝してもいい。もう眠れないと思ったところですべての睡眠時間を合計して記録し、2日間、できれば3日間の平均を計算します。その時間が平日より3時間以上長い人は、普段の睡眠時間では不十分で、心身機能に負担がかかった状態だと考えられます。放置すると前述したような健康リスクがあるので、くれぐれも注意してください。

8時間睡眠がいいという説は都市伝説

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三島 和夫(みしま・かずお)
秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座教授
国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長などを経て、2018年より現職。『朝型勤務がダメな理由 あなたの睡眠を改善する最新知識』など著書多数。
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(秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座教授 三島 和夫 構成=村上 敬)

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