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新人アナの抜擢続く事情 スター不足や即戦力採用の影響か

元乃木坂46の斎藤ちはるアナは『羽鳥慎一モーニングショー』に抜擢(写真/ロケットパンチ)

元乃木坂46の市來玲奈アナは昨年、『行列のできる法律相談所』に抜擢

 民放各局のアナウンサー起用事情に異変が起きている。入社1年目の新人アナが看板番組に相次いで抜擢されているのだ。いったいなぜか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

【別写真】元乃木坂46・日テレ市來玲奈アナのキュートな笑顔

 * * *
 9月30日、朝の情報番組『グッとラック!』(TBS系)がスタートしました。同番組の目玉は落語家・立川志らくさんのMC起用ですが、同等に注目を集めているのが、アシスタントに大抜てきされた新人の若林有子アナ。『グッとラック!』は各局がしのぎを削る平日8時台の情報番組だけに期待の大きさがうかがえますが、ネット上には早くも「フレッシュでいい」「ただ立っているだけ」などのさまざまな声が飛び交っています。

 平日8時台と言えば、今年4月『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)に退社した宇賀なつみアナの後任として新人の斎藤ちはるアナが大抜てきされました。入社式当日の4月1日にいきなり生出演したことで話題を集めましたが、今秋からは局を越えた同期対決となるだけに、何かと比較されるでしょう。

 夜のゴールデンタイムに目を向けると、8月に『モヤモヤさまぁ~ず』(テレビ東京系)の4代目アシスタントとして、新人の田中瞳アナを大抜てき。大江麻理子アナや狩野恵里アナら看板アナの後任であり、本人はプロデューサーから「賭けで選んだ」と言われているそうです。

 同じテレビ東京では、今月13日の放送から『THEカラオケ★バトル』のMCに新人の森香澄アナを大抜てき。これは先輩の繁田美貴アナが産休に入るための人事ですが、在宅率の高い日曜ゴールデンタイムの番組であり、思い切った起用と言えます。

 メインキャスト以外でも、4月5日から『報道ステーション』(テレビ朝日系)の気象情報担当に下村彩里アナ、今月2日から『めざましテレビ』(フジテレビ系)のフィールドキャスター(水・木曜)に藤本万梨乃アナ、3日から『ZIP!』(日本テレビ系)のSHOWBIZキャスター(木・金曜)に杉原凛アナと、いずれも新人を起用。また、TBSの篠原梨菜アナは『東大王』(TBS系)の解答者として複数回出演するなど、活躍の場が多岐に渡っています。

 しかし、若手の女性アナウンサーをタレントのように扱うと、世間の反感を招きやすい上に、毎年恒例の「好きな女性アナウンサーランキング」では30代以上の中堅・ベテランが大半を占める中、なぜ新人の大抜てきが続いているのでしょうか?

◆入社前から撮影現場に慣れた新人アナ

 実は昨年も、日本テレビが『行列のできる法律相談所』に市來玲奈アナ、『世界まる見え!テレビ特捜部』に岩田絵里奈アナ、テレビ朝日が『ミュージックステーション』に並木万里菜アナを大抜てき。いずれも人気番組だけに懸念の声もあったものの、一定以上の成功を収めました。長年番組を見続けてきた視聴者が、思っていた以上に新人アナを受け入れてくれた以上、その戦略を続ける価値があるということでしょう。

 もう1つ業界内で言われているのは、若手女性アナのスター不足。昨年末に発表された『好きな女性アナウンサーランキング』に20代でランクインしたのは、テレビ朝日の弘中綾香アナとTBSの宇垣美里アナの2人だけ。しかも宇垣アナは今年3月、27歳の若さでTBSを退社してしまうなど、若くして辞めてしまう人も増え、民放各局が20代女性アナのスターを育てることが難しくなっているのです。

 3つ目の理由は、20代女性アナのスターを育てるための即戦力採用。アナウンススクールに通った経験だけでなく、アナウンサーやタレントの経験があるなど、撮影現場に慣れた人の採用が増えているのです。

『グッとラック!』の若林有子アナは「セント・フォース関西」に所属してタレント活動をしていましたし、『羽鳥慎一モーニングショー』の斎藤ちはるアナは元乃木坂46のメンバー、『モヤモヤさまぁ~ず』の田中瞳アナは『NEWS ZERO』のお天気キャスター、『THEカラオケ★バトル』の森香澄アナは「セント・フォース」に所属してタレント活動、『東大王』の篠原梨菜アナは『めざましどようび』(フジテレビ系)のお天気キャスターと『Qさま!!』(テレビ朝日系)の出演経験がありました。

 今や本気でアナウンサーになりたい人は、アナウンススクールに通うだけでなく、芸能事務所に所属してタレント活動をすることが当然のようになっているのです。また、斎藤さんが所属していた乃木坂46のようなグループアイドルの中には、「芸能活動をする上で女子アナに憧れを抱く」、あるいは「自分の適性を見い出す」という人もいるようです。

◆「新人アナだから」が通用するのは数か月のみ

 その他の理由として挙げられるのは、「制作費を抑えたい」というスタッフサイドの事情。「知名度の割にコストを抑えられる女性アナを使いたい」と考えるスタッフは多く、「よほどの費用対効果がない限り、進行役にはフリーアナやタレントを使いたくない」というプロデューサーもいます。

だからスタッフサイドは、多少のリスクや批判はあっても新人アナの大抜てきに踏み切れますし、だからといって撮影現場でタレントのように持ち上げることはありません。あくまで視聴者にとって親しみやすい存在になるようにじっくり育てているのです。

 ただ、「新人アナだから」とフレッシュさを感じてもらえるのは数か月だけで、その後は仕事の質やキャラクターの是非が問われ、「物足りない」とみなされてしまったら、新たな新人アナが大抜てきされるかもしれません。

民放各局の女性アナは、「新人のころは局の期待を一身に背負う逸材だったのに、数年後にはアナウンスの職を追われ他部署に異動してしまった」という人もいる厳しい世界。それだけに、今年大抜てきされた新人女性アナたちがどんな活躍を見せ、どう生き残っていくのか、追いかけてみてはいかがでしょうか。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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