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豊田会場で見たかった"あいトリ"の真の問題作

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企画展「表現の不自由展・その後」の展示をめぐって揺れている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」。現地を視察した観光学者の井出明氏は「最近増えている地方芸術祭は尖った表現を自制する方向に流れやすいが、あいちトリエンナーレの豊田会場でも同じ空気を感じた」という――。(第4回/全5回)

豊田市美術館で客を集めていたのは「クリムト展」だった


(写真左)豊田市美術館での垂れ幕。クリムト展を目当てにしている人の姿が目立った。(同右)豊田市美術館もレストランではクリムト展の混雑についての注意書きが掲示されていた。 - 撮影=井出明

今回のあいちトリエンナーレは、名古屋市と豊田市の4つのエリアで開催されている。このうち「豊田市美術館・豊田市駅周辺」については、SNSで「物足りない」とか「展示の趣旨がよくわからない」という記述を散見した。

筆者が9月16日に豊田市美術館を訪れると、多くの客が目当てにしているのは同時開催の「クリムト展 ウィーンと日本 1900」で、あいちトリエンナーレではないという印象を受けた。それでは、なぜ豊田会場はこうした展開になったのだろうか。

名古屋会場では、愛知芸術文化センターや名古屋市美術館の作品群は、高度科学技術社会を直接的にえぐる展示が目を引いた。それに対し、豊田会場では直接的に技術を批判するものが事実上なく、アンナ・ヴィット「未来を開封する」のように、AIをはじめとする未来の科学技術と人間の関わりについて相対的にポジティブな視点の作品が集められている。

また現代資本主義システムそのものをどう捉えるべきかという作品もなかった。豊田はトヨタ自動車という企業と深い関わりを持つ街であり、資本主義システムと対峙した作品を展示する意義は大きい。

展示作のなかでは、トモトシ「Dig Your Dreams.」がコミカルな形でトヨタと豊田市という街に解釈を与えているが、これを鑑賞者がどう受け止めるべきなのかは悩むところである。批判でもなく、かと言って茶化して終わるというわけでもなく、筆者としては企業城下町として許されるギリギリのところでトヨタを弄(いじ)ったという感があり、ある意味、表現の自由の臨界を見たような思いである。


あいちトリエンナーレ2019の展示風景。トモトシ《Dig Your Dreams.》2019 - Photo: Takeshi Hirabayashi

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