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ヘイトデモ 許したくはないが

武蔵野市内で計画されているヘイトデモをやめさせられないかとの問合せが寄せられている。気持ちは分かるが、現状では難しい。



■法律や条例が施行されたが

 ヘイトスピーチ解消法(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)が平成28年6月3日に施行され3年がたっている。同法は、「不当な差別的言動はあってはならず、こうした事態をこのまま看過することは、国際社会において我が国が占める地位に照らしても、ふさわしいものではない」、「不当な差別的な言動は許されないことを宣言する(以下略)」として、国や地方自治体に解消の取り組みを求めている。

 しかし、公的施設の使用を事前に規制できる指針をいくつかの自治体がつくったものの、憲法の保障する表現の自由との兼ね合いでほとんどが対応できていないのが実情だ。

 東京都では、「オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」を今年の4月から施行し、ヘイトスピーチや性的少数者を理由にした差別の禁止を定めているが、拡大解釈や恣意的な運用により表現の自由が失われる危険性があるとして批判もある。

 新宿区では、デモの出発地にできる公園を従来の4カ所から1カ所に減らすことにしたが、『憲法が保障する集会や表現の自由を侵しかねない』との指摘があり、川崎市でも『ヘイトかどうかの線引きは難しく、団体が名称や代表者を変えて申請を繰り返す恐れもある』(※)としている。

■現実の壁

 現実的に、デモの出発場所としてとなると施設使用ではないので規制ができないことや、何を訴えるのか分からない場合、団体名だけでは判断できず規制ができない課題があり、他のデモの規制にもつながりなりかねないこともあり困難な状況だ。これまでの規制された例を見ると、繰り返し行ったケースや裁判所に禁止を求める仮処分申請を求めて認められたケース、侮辱罪として訴えて認められたケースがあるがハードルは高いといえる。

 今回の件で、市役所内部や議会内、政党関係者と意見交換をしたが上記の理由や警察(公安委員会)が許可を出した場合には対応はできなくなる。市で規制ができるようにしても都の施設で許可が出てしまうと難しい。何よりも周知期間や内容の精査を考えると条例を急に作ることも難しく頭を悩ますだけが続いている。言い訳に過ぎないが…

【参考】
法務省 ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動(画像は同パンフより)
東京都 「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例
第11条に規定する公の施設の利用制限に関する基準」の策定について
共同通信 立ちはだかる「表現の自由の壁」悩む自治体に策はあるか? 検証・ヘイトスピーチ対策法(3)

※朝日新聞(2018年6月26日) 新宿区、公園のデモ使用を制限へ 理由は「ヘイト対策」より

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