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韓国人も頭を抱える「日本製品不買」の過熱……売り上げ9割減が“慢性化”【現地取材】 - 「週刊文春デジタル」編集部

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「今回の事態は、もはや自然災害の一種のようなものだと思って耐え忍んでいます。感情のもつれだけに、いつまで続くかわかりません。正直なところ、改善されるのをただ待つばかりです」

【写真】韓国の書店入り口正面に置かれる嫌韓本紹介本

 そう語るのは、売り上げが7割も減少したという、日本行きパッケージツアーを扱うソウル市内の旅行代理店の男性従業員だ。

 日本政府が韓国向けの輸出管理の強化を打ち出したのは、7月1日。すでに3カ月あまりが経過しても関係が好転する兆しすら見えないが、韓国国内の不買運動の現場も同じようだ。「週刊文春デジタル」では現地取材を敢行し、その実態に迫った。

日本人女性「暴行」現場では

 まず取材班が向かったのは、今年8月に日本人観光客の女性が韓国人男性に髪を掴まれる暴行事件の現場となった弘大入口駅周辺の繁華街。訪れた夕暮れ時には、メインストリートで大道芸が行われ、若者や観光客で溢れかえっていた。


観光客でにぎわう弘大入口駅前 ©文藝春秋

 そんな賑わいをよそに、カタカナで「ラーメン」と看板を掲げた店に入ると、お客が少ない。30代の男性店員に声を掛けると、言葉を選びながらこう打ち明ける。

「売り上げはこれまでの半分。特に学生の売り上げが落ちた。ラーメンは若者に人気があるだけに業績に響きます」

 表通りには、丸亀製麺など日本生まれのチェーン店も連なっているが、店員に声を掛けても警戒感からか言葉を濁される。取材に応じてくれた数少ないお店の一つ、個人経営の日本式のうどん屋でも客は見当たらない。テレビに映る「反・文在寅」デモの映像が、閑散とした店内に響いていた。

「売り上げは30%くらい落ちています。いま中国人観光客は増えていますが、焼け石に水という状態です」(40代の女性店員)

 さらに厳しい状況にあったのが、冒頭で紹介した旅行業界だ。旅行代理店の若い男性スタッフが「店外で、写真撮影なし」という条件で、インタビューに応じた。

「7月の時点では、売り上げが前年比30~35%のダウンでしたが、8月、9月はもっとひどくて昨年比70~75%減。目も当てられません。うちは日本行きのパッケージツアーが主力商品なので、開店休業状態です。でも、これでもマシな方で、同業者では昨年比90%減の壊滅的なところもあります」

 どうしてそこまで急激な落ち込みになったのか。その見解を尋ねると、男性は遠くを見るような目で続けた。

「うちの日本行きのパッケージツアーの客層は40代以上で、ちょうど歴史問題に関心がある層。韓日関係がその顧客層を直撃しているのです。日本の代わりに観光先として選ばれるのは、フィリピン、台湾、ウラジオストク(ロシア)。本来なら香港も挙がるところですが、デモの影響でいまは日本と同じくらい避けられています」(同前)

 韓国では、福島原発事故の放射能問題が、実態とかけ離れた形で盛んに報じられている。この旅行代理店にも、風評被害は押し寄せていた。

「東日本大震災の直後よりはマシですが、いまでも放射能問題を心配するお客さんが一部いますね。不安があったとしても、私たちにできるのは確かなデータに基づいてお話しすることだけ。それでも納得してもらえない人は確かにいますが、それは仕方ないですよ」(同前)

「私たちの商売は平和なときが一番ビジネスをしやすい」とため息をつく男性。繰り返される反日政策で業績の回復の兆しがみえない現状に、男性は声のトーンを抑えて、どこか諦めたように記者を見つめた。

止められたアサヒのビールサーバー

 不買運動の集会で、バケツに流して捨てるパフォーマンスでやり玉に挙げられたのが、韓国でも人気のあるビールやスポーツ飲料など日本企業の飲料品だった。

 不買運動当初は、店頭から消えたと報じられたが、今回、ソウル市内を歩きながらいくつかのコンビニに立ち寄ってみると、アサヒ、エビスなどのビールや、ポカリスエットなど清涼飲料水が目に入ってくる。排除されているわけではなさそうだ。コンビニの冷蔵庫には、ポカリの500mlと1.5Lが揃うなど充実の品揃えだった。

 ただ、売り上げが伴っているわけではない。市内のターミナル駅である龍山駅近くのコンビニを訪ねると、店外にビール専用の冷蔵庫が置かれ、アサヒ、キリン、サッポロ、エビスと日本製品がずらりと並んでいた。売り上げについて女性店員に聞くと、気だるげに語った。

「日本のビールを並べてはいますが、売れても1日1本くらいですかね。前に比べたら? もちろん売れていませんよ」

 同駅近くにある、カウンターとテーブル席が一つの小さなビアバーを覗くと、開店準備中の女性店主が掃除をしながら対応してくれた。

「アサヒビールが以前は売れていたんですが、お客さんが飲みたがらないんですよ。サントリーの角ハイボールなんて、このところ一番人気のメニューだったのに、7月からは全く売れない。それでも最近は本当にひどかったころよりは良くなったんですが……」

 店先には「アサヒビール」の突き出し看板、客席からよく見える壁には「角ハイボール」を勧めるポスターも。店内に入れてもらうと、奥にはアサヒビールの生ビールを注ぐサーバーがあった。

「お客さんが飲まないので、アサヒのサーバーは止まっています。1週間に1杯や2杯では、タンクの生ビールがダメになっちゃいますから。いまは韓国のビール(Max)の生だけ出してます」

 日本酒も扱っていると語る女性は、冷蔵庫に入った「月桂冠」の瓶を持ちだして語った。

「昔はこれもよく出たんだけどねぇ。秋になると温かい酒が売れるから、売れてくれるといいんだけど……。日本との関係が良くなればいいと思いますよ。円満に。それは上の人がやることですけどね」

 品揃えとして日本製品が置かれてはいても、わざわざ選ばれない。同じジャンルの韓国製品があるなら、そちらを選ぶ――という実態があるようだ。

 その傾向は、ソウル市郊外にあるヤマハのバイク販売店でも聞かれた。男性店員が打ち明ける。

「日韓関係の影響は多少ありますね。売り上げは5%くらいの減少でしょうか。先月はヤマハのニューモデルが発売になったので、売り上げ増を期待していたのですが、むしろ下がってしまった。それでも、日系の自動車ディーラーの中には売り上げが9割減ったという店もあるといいますから……。やはり自動車の場合は、日本車じゃなくても、ヒュンダイはじめ国産車という選択肢がある。でも、バイクはヤマハと同じ水準で国産バイクがないから、まだ売れています」

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