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大阪の人気たこ焼きチェーン「くくる」商標めぐり全国でトラブルが続発! - 「週刊文春デジタル」編集部

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 大阪土産を求める客で連日賑わう東海道新幹線の新大阪駅。「串カツ」「ねぎ焼き」といったご当地グルメが並ぶフードコードで一際長い行列が出来ているのが大阪名物の代名詞「たこ焼き」を販売する「たこ家道頓堀くくる」だ。道頓堀に本店を構え、全国に50以上の支店を持つ人気チェーン店である。

【写真】「くくる」の使用禁止を求める通知書

 そんな人気チェーンの商標をめぐって、日本各地の個人店とトラブルが起きていることが「週刊文春デジタル」の取材でわかった。


「道頓堀くくる」JR新大阪駅店 ©文藝春秋

たこ焼き、お好み焼き業界では3本の指に入る

「たこ家道頓堀くくる」を経営するのは、大阪に本社を持つ「白ハト食品工業株式会社」。同社は1959年の創業。街のアイスクリーム屋からスタートした。

「さつまいもを使った芋菓子で有名な『らぽっぽ』を出店して大当たり。その後、たこ焼き屋の『くくる』の全国展開も進めています。両店ともに駅ナカ、デパ地下を中心に店舗数を拡大していて、2010年の上海万博では日本産業館にも出店し、シンボルの巨大タコの立体看板は話題を呼びました。白ハト食品の昨年度の年間売上は60億円以上。たこ焼き、お好み焼き業界では3本の指に入る大手です」(経済紙記者)

 その白ハト食品の代理人弁護士から、いま全国の「くくる」という名前の個人飲食店主に、次々と内容証明が届いているのだ。静岡県沼津市で「やきとり居酒屋くくる」を営む店主Aさん(40代・男性)は肩を落として、こう話す。

「自分は17歳まで沖縄の石垣島で育ちました。沖縄の言葉で『くくる』って、『こころ』って意味なんです。現地の人なら皆が知ってる言葉。だから、看板にも『くくるこめて焼いてます』って書きました」

「くくる」=「こころ」だった

 弁護士4人の名前が連なった通知書は、配達証明付きの内容証明でAさんのもとに届いたという。消印は8月21日、配達されたのは8月23日だった。

〈冠省 当職らは、白ハト食品工業株式会社(以下、「通知人」といいます。)を代理し、貴殿に対し、次のとおり通知いたします。
 通知人は、以下の商標権(以下、「本件商標権」といい、その登録商標を「本件商標」といいます。)を有しております。
 商標登録番号 第4041825号
 商標名 道頓堀 くくる たこ家
 指定役務 (法区分平成3年法)第42類 (「飲食物の提供」等含む)
 貴殿は、現在、「やきとり居酒屋くくる」なる標章(以下、「貴殿標章」といいます。) を店舗の看板や広告等に用い、飲食物を提供しておられます。しかし、貴殿標章は本件商標と類似するものであり、上記行為は、本件商標権を侵害するものです。(以下略)〉(通知書より)

 それまでトラックの運転手だったAさんが、「やきとり居酒屋くくる」を出店したのは5年前。子供が生まれ、家族と過ごす時間をできるだけ取りたいと思って、貯金を使い飲食店に初めて挑戦した。そのとき思いついたのが、「沖縄の心」という意味の「くくる」だったのだ。

「うちは焼き鳥屋だし、誰もたこ焼き屋とは間違えないですよね。通知書を受け取って以来、『なんで?』っていう気持ちばかりで、モヤモヤしてなかなか寝付けず睡眠不足の日が続き、体調も崩してしまいました。

 銀行や弁護士さんに相談するために何日か店も休みました。通知書には『誠意ある回答をいただけない場合には、通知人は、差止め又は損害賠償を求める』と書かれている。でも、どうすればいいのでしょうか? 『誠意ある回答』とは具体的に何をすればいいのかわからず、9月に入って、私たちは邪魔する意図がないことを明記して手紙を送りました」(Aさん)

 Aさんの店は、カウンターとテーブルが数卓在るだけの家族経営。地元客を相手に、Aさんが焼き鳥を焼き、家族が手伝う小さな店だった。

「鶏も炭もこだわってね、ギリギリの予算でやってきて、やっとお客さんも付いてきた時なんですが……」(同前)

 取材班が調べたところでは、Aさんの他にも神奈川、福井、大阪などの「くくる」という名の看板を掲げてきた5軒の飲食店に、8月下旬に通知書が届いていた。すべて個人経営の飲食店ばかりだ。

沖縄居酒屋にも通知書が

 Aさんの焼き鳥店と同じく、沖縄の「心」という意味で店名をつけていたのは、同じ静岡県伊豆の国市で沖縄料理を中心とした居酒屋「くゝる」を営む女性、Bさん。「く」の一字には踊り字の「ゝ」が使われているが、このBさんの店にも通知書は届いた。

「他界した父が沖縄出身で、『心を大事にしなさい』というのが口癖でした。それでお店をはじめるに当たって、父の言葉から店名を付けました。先日やっと3周年を迎えたばかりです。沼津の『くくる』さんとは、市場でお会いしたことがあって縁がありました。同じ「沖縄の心」という言葉から取った店名だし、一緒に頑張っていこうと話していたのですが、まさか、同じ名前の店を持つ別の会社から『名前を使わないで』と言われるとは……」

 古くから使われる沖縄の方言で「こころ」を意味する「くくる」。甲子園で沖縄代表校の応援歌として使われる沖縄民謡「ヒヤミカチ節」の2番の歌詞にも登場する。

《稲粟(いんになわ)ぬなうり 弥勒世(みるくゆ)ぬ印(しる)し 心打(くくるう)ち合(あ)わち 気張(ちぼ)いみそり》
〔訳:作物が繋がり実る沖縄は弥勒世の印 心をひとつにして 頑張りましょう〕

 沖縄に縁がある店は、「道頓堀くくる」のお膝元、大阪府内にもあった。八尾市の古民家を改装した「カフェ KUKURU」。アンティークな内装とコーヒー、カレーを売りにしている。もちろん蛸は一切だしていない。14年以上店を営む店主のCさんが語る。

「20代のときに沖縄で空手をやっていて、その縁で『こころ』という意味を込めて店名にしました。一人の大切な時間を過ごせる環境にできたらいいなって、妻とはじめた店なんです。

 ギリギリ頑張りながら続けてきて、お客様と僕らの心が詰まった店でして、名前を変えるなんてしたくない。今、自分は47歳で奥さんも同い年、子供は半分諦めていたのですが、3年前なんとか授かった。店の名前を変えるとなるとお金もかかります。裁判で争っても訴訟費用がかかる。だったらそのお金を子供のために使いたいですよ」

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