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企画職必見! 会議室ではない「面白さ」が生まれる場所とは?

ベストセラー作家であり、これまで300冊以上という膨大な「面白い」著作を世におくり出してきた森博嗣氏。氏が考える、「面白さ」が生まれる場所とは? 企画職につくビジネスパーソンは必読! 

大勢の知恵や過去のデータから「面白い」は生まれない

森博嗣さんはビジネスマンが陥りがちな「面白い」の公式化を真っ向から否定する。そんな簡単なものではない。「面白い」は、たいていたったひとりの感覚、熱狂から生まれる。

「ほとんどの場合、何が面白いかは、多分に『感覚的』なものであって、こうすれば面白くなるという技術的な手法は存在しない。そんなマニュアル化が可能ならば、誰でも人気作家になれるし、今頃、それに従って、ベストセラー小説が量産されているはずである。

何が『面白い』のかが、わかっていれば、こんなに楽なことはない、と考えている人は沢山いるだろう。世の中には、『面白さ』を作ることが仕事の人たちが大勢いる。みんなが試行錯誤して、つぎつぎと新しい『面白さ』を世に問う。
 
大衆に受け入れられれば、大儲けができるし、一躍人気者にもなれる。でも、けっして簡単ではない。やはり、『これが売れる方法だ』というノウハウは存在しない。 

大勢の知恵を集めても実現しない。なにしろ、会議をしても、意見が合わない。わかっているのは、『過去に売れたもの』がある、というデータだけだ。それと同じことをすれば、また売れるという保証はない。『面白い』ものも、同じものでは厭きられてしまう。知恵を集めても解決しないのは、個人によって『面白さ』が少しずつ違うからだ。となると、最終的には、個人の感覚を頼りに手探りで求めるしかない。実際、過去のヒットは、そんなふうにして生まれている」

カリスマ編集者は「面白い」作品を書けない

また森さんは、「面白い」を知っている人と、それを自分から作り出せる人は、また違う人種だと言う。作家として、多くの編集者と付き合ってきたが、彼らを見てこう思う。

「編集者の中には、数々のヒット作を手がけた、いわゆるカリスマ編集者と呼ばれる人たちがいる。大勢の才能を見い出したことが彼らの業績である。つまり、応募してきた作品や作家に注目し、『これは売れる』という目利きができた。言い換えれば、『面白い』ものを誰よりも知っている人たちなのだ。でも、そういう人が自分で小説を書き始めることはまずない。僕が知っている範囲では一人もいない。面白いものがわかっていたら、すぐにも書けそうなものだが、どうしてできないのだろうか?

そんなカリスマ編集者と話をしたことが何度もある。たしかに彼らは目利きができる。面白い作品が出てきたら、ぴんとくるものがあるそうだ。一目見て、その判定ができる。けれども、そうでない作品に対して、何がいけないのか、どう直せば良いのかは、的確に説明ができないという。

技術的なことや、間違いを正すことは簡単だが、面白さが足りない理由を、具体的に説明できない。こういう作品を書いてほしい、と詳細に述べることもできない。設計図さえあれば、ものを作ることは可能だ。しかし、面白さを知っている人でも、そういった設計図が描けるわけではないのである」

「面白さ」に再現性をもたせることはできるのだろうか。森さんは、身も蓋もないようだが、結局ヒット作には「偶然性」が作用していると言う。

当たるも八卦当たらぬも八卦、の心持ちで、「面白さ」を作ることを生業にする人は仕事にあたるのが肝要ではないか。

Hiroshi Mori
1957年愛知県生まれ。作家。工学博士。国立大学工学部助教授として勤務するかたわら、'96年に『すべてがFになる』で第一回メフィスト賞を受賞し、作家としてデビュー。以後、次々と作品を発表し人気作家として不動の地位を築く。現在までに300冊以上の著書が出版されている。近著『面白いとは何か? 面白く生きるには?』が絶賛発売中。

『面白いとは何か? 面白く生きるには?』
森博嗣著
¥830 ワニブックス刊

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