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合従論再考

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AERAに先々週「合従」論を書いた。字数が制限されていたので、少し加筆したものをここに掲げる。 

 前から「東アジア共同体」を提唱している。日韓連携を中核として、台湾、香港を結ぶ「合従」を以て、米中二大国の「連衡」戦略に対応するというアイディアである。

 荒唐無稽な話だが、最大の利点はこのエリアに居住している人々のほぼ全員が「合従連衡」という言葉を知っているということである。

 戦国時代に燕・趙・韓・魏・斉・楚の六国同盟によって大国秦に対抗することを説いた蘇秦の説が「合従」。六国を分断して、個別に秦との軍事同盟を結ばせようとしたのが張儀の説いた「連衡」である。

 歴史が教えてくれる結末は、より「現実的」と思えた連衡策を取った国々はすべて秦に滅ぼされたという事実である。

 東アジアでは、中学生でもこの話を知っている。

 だから、「米中二大国のいずれかと同盟する」という選択肢の他に「同じ難問に直面している中小国同士で同盟する」という選択肢が存在することを東アジアの人々は誰でも知っている。

「ほら、あれですよ、『合従』」と言えば話が通じる。

 国際関係論上の新説を頭から説明しなくて済む。そして、「いや、『連衡』の方が現実的だ」と言い立てる人には、「連衡」を採用した国々の末路を思い出してもらう。その舌鋒をいささか緩和するくらいの効果はあるだろう。
 
 日韓に台湾・香港を足すと、人口2億1000万人、GDP7兆2500億ドルの巨大な経済圏が出来上がる。これはEUの人口5億1000万人、GDP12兆8000億ドルには及ばないが、

人口14億、GDP12兆2000億ドルの中国に隣接する共同体としては十分なサイズだと言えるだろう。

 何よりこの四政体は民主主義という同一の統治理念を共有している

 それはこの四政体の社会がいずれも直系家族制だからである。

 直系家族制というのは、子のうち1人だけが親の家にとどまり,家産や職業を継承する仕組みのことである。しばしば祖父母から孫夫婦にいたる3世代が生活共同体を形成する。直系家族はフランス、ドイツ、アイルランド、南イタリア、スペイン、日本、韓国、タイ、フィリピンなどに見られる。

 エマニュエル・トッドは世界を七つの家族形態によって分類した上で、そうやって描かれる世界地図において、境界線は人種にも、言語にも、宗教にもかかわりがないことを明らかにしている。

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