- 2019年10月10日 12:31
倉持由香さんにガッカリ!私のグラビアに対する意見 - 石川優実
2/2痴漢被害者に「露出の多い格好をしていた?」

では、グラビアをしていない女性が痴漢や性犯罪にあった時に服装や露出度を責められる現象をご存知だろうか?
「どんな服を着ていたの?」「露出の多い格好をしていたんじゃないの?」と言われ、「誘っていたんじゃないの?」「男性のために着ていたんじゃないの?」と言われてしまう。先ほど言った通りそもそも誘っていたとしても本人の意に沿わない性行為や痴漢は犯罪だ。なんだけど、それは大前提として「誘ってないのに誘っていたと決めつけられる」現象が起きるのだ。
グラビアのように男性向けの媒体に掲載されたわけでもない、もちろん「私男性のためにこれ着てます!」と発言したわけでもない、そこで自分の選んだ服を着て生きていただけなのにそれが「男性のためであった」と決めつけられてしまう。
グラビアとその一般女性の共通点は「露出をしていた」や、「男性から見て魅力的な格好であった」ことだけだ。一般女性は一切男性のためだというメッセージを発信していない。
なぜ、自分が着たい服を着ていたのだけなのに男性のためだと決めつけてしまうのだろうか。それはやはり、「男性のために男性の喜ぶ格好をしていると明確に伝わるメッセージ」とともに水着の女性の写真があるからだと思う。それってグラビアアイドルや女性を売りにしている人以外にどこかに存在しただろうか?存在していても多くが社会では隠されているように思う。
AVは18禁コーナーにあるし、キャバクラも18歳になってからしか行けない。現状私にはそういうメッセージを送っている人を日常生活の中で気軽に雑誌の表紙のグラドルくらいしか見つけられない。
日常生活において「男性のために脱いでいる女性」が存在しなかった時、「全ての露出している女性は男性のためにしているのだ」と思い込むことができたのだろうか?
一般の人がデブ、ハゲいじりを、何気なく言ってしてしまうのは何故なのだろう? お笑い芸人がテレビで楽しそうにやっていたからだと思う。だけど一般の人はそれが仕事でもないしいじられて楽しいと思っている人とは限らない。そうでない人にもしてしまっていじめが起こる。
大切なのは受け取る側の意識なのだと思う。ちゃんと全ての表現がフィクションだと知ること。だから風俗とかAVとかグラビアをなくそうとしているフェミニストの方たちにも問いたい。本当の敵はそこですか? 本当の敵は「そういう女を下見にてもよいと思い込んでいる人たち」なのではないでしょうか?
悪いのはグラビアやAVをやりたくない人にやらせたり、そういう作品をみて勝手に露出している女はセクハラしていいと思い込んだり、不当な扱いをしてもよいと思い込んで実行している人たちなのではないですか?私はフェミニストのつもりだけど、女を売りにする職業は女性差別を生み出しているとするフェミニストの方とは意見が対立すると思う。
私はセクハラや性犯罪や女性差別、女性への勝手な思い込みの全てをなくしたいし、グラビアやAV、風俗をやりたい全ての女性がちゃんと安心して仕事をできるような国になっていってほしいと願う。私は作品側ではなく受け取る側の意識にいつも指摘してきたつもりだ。受け取る側が間違えると作品が規制される流れになってしまう。それを止めたいと思う。
多くの広告が女性差別的だとされ炎上し取り下げられたりしているが、あれらは実際にそういう差別や勝手な思い込みを受けている女性がいるからだと思う。本来は広告側を下げるのではなく女性に対する勝手な思い込みや差別のほうをなくすべきなんじゃないかと思う。
「女の敵は女」とか、「女は車の運転下手だろ」とか、「女はバカで男の話をへぇー、ほーと聞いているものだ」という土壌がなければロフトの広告もトヨタのやつもキズナアイもただのフィクションとして見れた。ひとつの表現物として楽しめた。
だけど違う。実際にそういった勝手な思い込みに苦しめられた過去がある。そうやって勝手に女を決めつけ、自由を奪われてきた。だから広告がただ取り下げられただけじゃ何も解決されない。本当はなぜこの広告が炎上したのか、どういう社会であれば女性差別的なものとして炎上しなかったのか、そちらを見ていかなければいけないのだと思った。
男性への復讐が目的ではない

私はもうすぐ「#KuToo」の本を発売するが、表紙では女性がフラットシューズを履いて男性がヒールを履いている。それが男性への復讐であるとか、男性差別だと批判を受けている。
背景に「男性だけが現在ヒールを履かされていて、それが変わらない」という社会の事実や過去があったら男性差別的なものとして取り下げなければいけないかもしれない。だけど実際にそんな事実はどこにもないし、そんな社会にしちゃいけない。私は「男性に復讐してやるために男性もヒールを履くような社会になるために行動する!」と一言も言っていないしそんな行動はしていない。
なのに人の心を勝手に決めつける。いつも女性の心は嘘だと思われる。私がいくら「この作品は今の女性のみに履かされているという現状をおかしいと感じてもらうためにした表現だ」と言っても、「復讐したいに決まっている」と勝手に決めつけられている。
誰も男性を誘いたいと言っていないのに見た目で勝手に判断したり、誰もセックスしたいなんて言ってないのに「やる気があったから家に来たんだろう」と決めつけられるように。私はこの作品を表現の自由として守るために、男性がヒールを義務付けられるような社会に絶対にならないように全力を尽くす。そんな世界は望んでいない。この表紙は私の希望ではない。やるべき事は現実世界で差別や偏見が起こらないことなのではないかと考えている。そうやってフィクションをフィクションとして楽しめる土壌を作っていく責任が私たちにはあると思っている。
男性のためでなく自分のために脱ぐ
同時に、男性向けのグラビアやヌードがほとんどのこの社会で、女性が自分のために脱いでいる表現もたくさん増えればいいと思う。現状少なすぎて、いくら「これは私が脱ぎたくてやっています」と言っても「男に見せるため」「男に抜いてもらうため」と決めつける人の多いこと。
その理由もやはり「肌を見せているから」なのだ。何度でも言いたいけど、肌を見せるのは全てが男性のためじゃない。私がそれをしたいだけ。私がそれによって良い気分になりたいだけ。
11月にフェミニズム雑誌でヌードを公開する。フェミニズム雑誌なのに男に媚びを売って、とか言われたら笑っちゃうな。でもそういう人がいるのが現状なのだ。
男のために脱ぐ人もいれば自分のために脱ぐ人もいる。その人の心はその人だけが決めるべきだ。言ってもないことを勝手に決めつけるのはもうやめたい。言っていないなら「わからない」なのだし、「そうじゃない」と言ったらそうじゃないのだ。単純な話だ。
ただし別問題として女性を売りにした仕事をしたい人がいるからといって、様々な強要やセクハラ性犯罪を無視してはいけない。別の話であり、別々に考えなければいけないこと。その仕事をやりたくてやっている人と、強要された人は相殺するもんじゃない。どちらも存在するのであってどちらも守られなければいけないと思う。
全ての表現をする人と楽しむ人が安心して過ごせる世の中を。
著者プロフィール
石川優実
グラビアアイドル、女優。
1987年1月1日生まれ。愛知県生まれの岐阜県多治見市育ち。04年、高校3年生の時に名古屋市内でスカウトされ芸能界入り。〝お菓子系アイドル〟として主に〝お菓子系雑誌〟のグラビアで活躍する。美少女グラビア雑誌「クリーム」が行った総選挙で1位を獲得。08年に上京後、事務所を辞め一時、フリーで活動したことがある。14年に映画「女の穴」で映画初主演、16年には「誘惑は嵐の夜に」にも出演している他、イメージビデオは30本以上発売している。現在は、映画や舞台など女優としての活動する傍らライターとしても活躍。「#MeToo」運動や自ら提唱した「#KuToo」運動に積極的に取り組んでいる。
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また、関連会社には株式会社文化通信エンターテインメントがある。文化通信社が培ったノウハウを生かしての新規事業や版権事業などを行なっている。文化通信社創立55周年の際はシンガーソングライター松山千春の自伝「足寄より」を「旅立ち〜足寄より」として映画化、さらに60周年では舞台化してきた。



