記事

社会の歪みがもたらす、女子校の相対的なメリット


10月9日新刊『新・女子校という選択』(日本経済新聞出版社)が発売開始されました。2012年12月に発行された『女子校という選択』をバージョンアップしたものです。「はじめに」と「目次」を転載します。

<はじめに>

女子校は減っている。現在、ピーク時の半分以下の数しかない。

理由の一つには少子化による学校の経営難がある。少しでも多くの生徒を集めるための苦肉の策として、共学化が進められたと考えられる例が多くある。もう一つに、男女共同参画意識の高まりがある。それ自体はいいことである。

しかし、男女共同参画社会の実現のためには学校が共学でなければいけないという理屈はただちには通らないことを、まず本書では論じる。そして主に〝女らしさ〞から距離を置けるという意味での女子校の優位性について、女子校の現役教員の声を交えながら考察する。

また、女子校のなかにもさらに多様性があることを示すため、四一の女子校の校風を紹介する。一般の学校ガイドなどと併せて読んでいただければ、より立体的に学校の実態をつかむことができると思う。さらには女子校出身の著名人の言葉を借りて、教室内の実態や学校生活で得られるものの価値を追究した。

実は私自身、たった二年間ではあるが、女子小学校での教員経験がある。そのときには気づいていなかった女子校の機能や存在意義も多々、本書には盛り込まれている。

本書のシリーズ『新・男子校という選択』によれば、男子校には「特に思春期においては、女子よりも発達の遅れる男子を、男子だけで隔離することで、女子の目を気にせずに思いっきりバカをさせ、のびのびと自分らしさを伸ばしてやれる」という機能があった。その理屈でいえば、特に思春期において一枚上手の性である女子は、共学校でもいいことになる。

しかし、女子校には女子校にしかないまた別の存在意義があるのだ。それは皮肉なことに、社会の歪みがもたらす相対的なメリットでもある。

本書が、娘の教育について真剣に考える多くの親たちにとって、なんらかの気づきとなれば幸いだ。

<目次>

第1章 ジェンダー・バイアスを寄せ付けない

第2章 現役教員が語る、男子がいないことの恩恵と弊害

第3章 お嬢様? それともおてんば? 「女の園」を垣間見る

第4章 才能も品格も女子校で磨いた

第5章 「女子アナ」を成功モデルだと思わないで! ――エッセイスト・小島慶子さんインタビュー

第6章 「願い」が継承されること、それ自体が財産

●第3章 掲載校

・筆に親しむ21世紀型女子―跡見(東京都/私立)

・進学も部活も「一流」があたりまえ―浦和第一女子(埼玉県/県立)

・やるからには一生懸命―桜蔭(東京都/私立)

・「園芸」に女性が知るべきことが凝縮されている―鷗友(東京都/私立)

・「恥を知れ」に込められた自律の精神―大妻(東京都/私立)

・セーラー服と「ごきげんよう」発祥の地―学習院女子(東京都/私立)

・徹底した学力向上と人格陶冶―川越女子(埼玉県/県立)

・生徒の一生の土台をつくる健康教育―川村(東京都/私立)

・進学実績上昇で人気も上昇中―吉祥女子(東京都/私立)

・名物「トイレ掃除」の宿題に込められた思い―共立女子(東京都/私立)

・可能性の扉を開くカギを渡したい

―クラーク記念国際・横浜青葉キャンパス(神奈川県/私立)

・グレーのタイトスカートがトレードマーク―慶應女子(東京都/私立)

・喜んで与えられた役割を果たすひとを育てる―晃華(東京都/私立)

・「本物」の刺激を全身に感じて育つ―神戸女学院(兵庫県/私立)

・日本の伝統とキリスト教精神のハイブリッド―香蘭女学校(東京都/私立)

・五つの女性像―実践女子(東京都/私立)

・オリンピック選手も輩出する進学校―四天王寺(大阪府/私立)

・二八歳の自分をイメージして、いま、学ぶ―品川女子(東京都/私立)

・二割強が帰国生の環境で磨かれるグローバル感覚―頌栄(東京都/私立)

・聖書があれば校則はいらない―女子学院(東京都/私立)

・リーダーもフォロワーもともに育つ―女子聖学院(東京都/私立)

・字がきれいで、美術作品も丁寧に仕上げる―白百合(東京都/私立)

・和洋の作法を学ぶ「入寮」の伝統―西遠(静岡県/私立)

・「四― 四― 四制」の新たな一貫教育―聖心(東京都/私立)

・理科のフィールドワークが伝統―清泉(神奈川県/私立)

・模擬国連での経験が学校の空気を変えた―洗足学園(神奈川県/私立)

・一〇キロの道のりを歩きながら支援金を集める―セントヨゼフ(三重県/私立)

・学ランを着た応援団が活躍―筑紫女学園(福岡県/私立)

・協同探求型授業を推進―田園調布学園(東京都/私立)

・インクルーシブ・リーダーシップ―東京女学館(東京都/私立)

・やがて人知を超えた時と場所で実を結ぶ種―東洋英和(東京都/私立)

・大学入試会場でも「運針」で平常心―豊島岡(東京都/私立)

・起業家も輩出する「自発創生」の精神―日本女子大附属(神奈川県/私立)

・咲けないときはしっかり根を張りなさい―ノートルダム清心(広島県/私立)

・自由でお洒落であか抜けた学校―広島女学院(広島県/私立)

・「まことの自由」を追究する―フェリス女学院(神奈川県/私立)

・奉仕活動から社会への視野を広げる―雙葉(東京都/私立)

・卒業生が訪ねてこない日はないくらい―三輪田(東京都/私立)

・一〇〇年以上の伝統と最新設備―山脇(東京都/私立)

・桜並木に込められた「違っているからすばらしい」―横浜雙葉(神奈川県/私立)

・静謐さと自由の間で、女性の感性が膨らむ―立教女学院(東京都/私立)

 

あわせて読みたい

「学校教育」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    グレタさんを中年男性が嫌うワケ

    木村正人

  2. 2

    矢沢永吉に苦情 不謹慎探す社会

    常見陽平

  3. 3

    張本氏の放言を許さぬ風潮に疑問

    中川 淳一郎

  4. 4

    萌えキャラで献血PRは問題あるか

    中村ゆきつぐ

  5. 5

    荒れた日韓関係と無縁のラグビー

    新潮社フォーサイト

  6. 6

    河野氏 荒川氾濫なら500万人影響

    河野太郎

  7. 7

    元SMAP干されるテレビ業界の実態

    笹川陽平

  8. 8

    体に悪い? 意外なファストフード

    諌山裕

  9. 9

    高尾山の台風被害 迷惑登山客も

    清水駿貴

  10. 10

    イジメ教師 後輩に性行為強要か

    文春オンライン

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。