A 離婚によって親権を得られなかった側が、親権を得た元配偶者に対して子の面会を要求しながら、これが実現していないという現状があるためです。
保守系の人たちは、これでは離婚後の親子の関係が断絶してしまうということで、「親子断絶防止法」の制定も要求しています。
「親子断絶防止法案 連れ去り別居の禁止は本当に現実的なんだろうか 離婚したい妻を抑圧するだけになるだろう」
離婚後の親権は圧倒的に母親になることが多いのですが、最近、面会交流を求め非監護親(父親)が増えてきたことも背景にあります。
実際に面会の実施は増えてきています。
「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要」

以前、多く見られた意見は、子の面会は親の権利だというものでしたが、最近は、子の利益を強調するものが増えてきているように思います。
親の権利だという主張ではいかにも子が所有物という発想にしか見えないからでしょう。
家裁の面会交流に関する裁判所の実務でも、子の福祉の観点からということが定着していることも背景にあると思います。
本音を隠した理由付けの変遷と言えます。
離婚後の共同親権の導入や親子断絶防止を要求することの問題点は、離婚後の父子(主にはこの関係が問題として取り上げられることが多い)の関係の重要性を強調するのですが、何故、その面会が実現しないのかという観点を抜きにして、離婚後の共同親権や親子断絶防止を主張しても全く説得力がない点です。監護親側の理由のない妨害ばかりが強調されますが、そうした問題のある案件があるといってもどの程度あるのかという疑問や、家庭裁判所での面会交流調停や審判でも実現できないものを離婚後の共同親権を導入したから、何故、面会が実現するのかという道筋が全く見えないのが特徴です。
むしろ、親権があるということで裁判外での実力行使や干渉などがなされる危惧の方が強くなると言えます。