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なぜ関電は「高浜の陰の町長」に従っていたのか

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■産経は「原発の信頼回復を妨げる」と原発推進を貫く

新聞の社説はこの問題をどう書いているか。各紙を読み比べてみると、原発賛成の新聞と原発に反対の新聞では、書きぶりに顕著な違いがある。

たとえば産経新聞の社説(9月28日付)は「関電側に多額金品 原発の信頼回復を妨げる」と見出しを付けてこう主張する。

「原子力事業の信頼回復に向けて、先頭に立たなくてはならない自覚が希薄に過ぎる。これだけの事態が明るみに出ていながら、真摯な反省すらみられない。関西電力は不正の全容を自ら明らかにし、改めて厳正に処分すべきである」

産経社説はあくまでも原発賛成なのだ。それゆえ関電を「自覚が希薄に過ぎる」と批判するのである。原発そのものを全面的に肯定し、悪いのは原発を建設して稼働している関電だという考え方だ。

■原発必要不可欠というスタンスはいつになったら変わるのか

産経社説はさらに「3億超の金品は、高浜原発の工事受注にからんだ資金が元助役から還流した疑いがある。これが事実であれば、高額金品の原資は利用者の電気料金である」とも書く。

金品の原資とその流れは産経社説の指摘の通りなのだろう。だが産経社説は原発を推進していく立場から関電の金品受領を問題視している。

産経社説は最後にこう訴える。

「電力は国の根幹を支えるエネルギーであり、原発はこれを安定供給するために必要不可欠な存在である。その牽引役がこのていたらくでは健全な活用も望めない」

産経社説は福島原発の事故をどう考えているのか。原発必要不可欠というそのスタンスはいつになったら変わるのだろうか。

■「会社として対応すると会社全体の問題になってしまう」

一方、原発反対の立場をとる朝日新聞の社説(10月3日付)は「関電金品受領 原発は『聖域』なのか」と皮肉を込めた見出しを掲げ、こう書き出す。

「関西電力がきのう、高浜原発がある福井県高浜町の元助役(故人)から首脳らが金品を受け取っていた問題で2度目の会見を開き、公表を拒んできた社内調査報告書を開示した」
「関電が『20人で3.2億円』としていた受領の中身を知り、その非常識ぶりに改めてあぜんとする」
「さらに、地元の有力者だったという元助役と関電、とりわけ原子力事業本部との異様な関係と、直面する問題に当事者として向き合おうとしなかった企業統治の不在もあらわになった」

「非常識ぶり」「元助役との異様な関係」「企業統治の不在」と、いずれも沙鴎一歩が前述した指摘と一致している。

「金品を受け取っていたのは原子力事業本部の幹部が大半で、授受は同本部で引き継がれていた。一部からは金品を会社で管理できないかと相談があったが、本部の責任者は個人で対処するよう回答。調査に対して『会社として対応すると会社全体の問題になってしまう』との声もあったという」

「会社として対応すると会社全体の問題になる」とは、封建制度下の武士社会のようであり、こうした思考が延々と受け継がれてきた日本の古い会社組織の姿なのだ。

■キーマンの元助役は死亡しており、刑事責任を問うことは難しい

続いて朝日は指摘する。

「関電は、社外の弁護士らだけからなる調査委員会を新設し、調査の対象や時期を拡大して調べ直すと発表した」

外部の第三者による調査は不可欠であり、沙鴎一歩も賛成だ。朝日社説も第三者による調査を求め、「社内報告書は『(元助役への情報提供は)実際の発注に影響はなかった』とするが、元助役や土木建築会社からの聞き取りはしておらず、新委員会での検証が欠かせない」と書く。

だがキーマンの元助役、森山氏はすでに今年3月に死亡している。このため関電の役員らを会社法の特別背任罪や収賄罪で立件して刑事責任を問うことも難しいといわれる。ここは関電自らが新調査委員会の検証に捨て身で協力し、企業モラルの在り方を示してほしい。

(ジャーナリスト 沙鴎 一歩)

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