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アングル:米軍撤退、トルコ軍侵攻 シリア情勢はどう変わるのか


[イスタンブール/ベイルート 7日 ロイター] - 米ホワイトハウスは6日、トルコがシリア北部で「安全地帯」を設置する軍事作戦を行う見通しであると表明した。トルコの狙いは、シリア国内でイスラム国(IS)勢力と戦ってきたクルド人勢力を排除し、トルコの勢力圏拡大を図ることだ。今回の侵攻で、シリア内戦の構図は大きく変わる。

予想される今後の展開をまとめた。

◎トルコの主な目的

トルコが、シリア北部で軍事作戦を展開する主な目的は2つある。1つ目は、トルコが安全保障上の脅威と見なすクルド人民兵組織「人民防衛部隊」(YPG)について、トルコ国境から引き離すことだ。

2つ目は、シリア側に「安全地帯」を創設し、トルコが対応している200万人のシリア難民をこの安全地帯に移住させることだ。

シリア領内に安全地帯の共同創設を働き掛けてきたトルコは、米政府が消極的だと非難し、単独で軍事行動を行う可能性を繰り返し警告していた。

◎クルド人勢力への影響

少数民族・クルド人主体の民兵組織で、YPGを主体とする「シリア民主軍」(SDF)は、米軍などと連携してシリア北部および東部で支配を広げ、過激派組織「イスラム国」(IS)と戦ってきた。政治団体も設立しているが、一貫して独立ではなく自治が目的だと主張している。

しかし、トルコ軍の侵攻でこの地域が戦争状態に陥れば、全てが水泡に帰すかもしれない。SDFの政治団体「シリア民主評議会」(SDC)は、攻撃が引き金になって新たに大量の難民が発生するだろうと警鐘を鳴らした。

SDFにとっては、米国がシリア北部および東部以外の地域に兵力を残すのかどうかが、大きな意味を持つ。米軍がシリアから全面的に撤退すれば、トルコが勢力を拡大し、ISが息を吹き返し、イランとロシアを後ろ盾とするシリアのアサド政権が、勢いを増すリスクがある。

◎トルコ軍はどこまで侵攻するか

現在、クルド人勢力が軍事的に支配しているのは、ユーフラテス川の東側地域の480キロにわたる地域。トルコ軍はまず、ラスアルアインとテルアブヤドに挟まれた国境地帯に兵力を集中する計画。

クルド人勢力が実効支配しているとはいえ、この地域は歴史的にアラブ系住民の勢力が強い。専門家からは、YPGがこの地域で勢力を維持しようとすれば、多くの死傷者が出るとの指摘も出ている。

◎ロシアとイランの動き

ロシアとイランは、シリアのアサド政権を支持している。一方、トルコと米国はアサド大統領に辞任を要求し、シリアの反政府勢力を支持している。

ロシアは、トルコに対し自国を防衛する権利があるとの立場を取ってきた。だが、ロシア政府報道官は7日、シリアの領土は保全されるべきであり、外国の違法な軍隊は全てシリアから撤退すべきだと述べた。

もし、米軍がシリア北東部から完全に撤収すれば、ロシアを後ろ盾とするアサド政権は、トルコが掌握していない地域の大部分で支配権を奪い返そうとするだろう。

◎西側諸国の反応

トルコと同盟関係にある西側諸国は、公式にはシリア難民の大規模な移住計画を支持していない。西側諸国はイスラム教スンニ派でアラブ系のシリア人が、クルド人が大部分を占めるシリア北東部に移住することになれば、この地域の人口構成が変化すると懸念している。

◎アサド政権への影響

問題となっている地域は、アサド政権の支配が及んでいない。トルコ軍が侵攻すれば、支配権はアサド政権と敵対関係にないSDFから、トルコや反政府勢力に移る。

◎イスラム国への影響

イスラム国は、混乱に乗じて勢力を盛り返そうとするだろう。SDFは今年初めにISから最後の支配地を奪い、その後はISの潜伏工作員を標的にした掃討作戦を展開している。

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