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- 2019年10月08日 21:06
銀行口座や信用情報がなくても大丈夫!?小規模農家を救う「金融包摂」。ブロックチェーンを活かして実績を証明
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<日本国内の農業従事者はこの9年で約90万人減少(※農林水産省、農業労働力に関する統計 より)。
「種子法」の廃止、農業従事者の高齢化など、小規模農家にとって明るいニュースはあまり聞かれない。
その一方で、今回ご紹介したいのがカリブ海の島国ジャマイカの取り組み。銀行口座すら持っていない小規模農家の生産性をアップさせようと、ブロックチェーン技術を使った融資を受けやすくする仕組みづくりが始まっている。
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ジャマイカのスタートアップ企業「ファーム・クレディブリ*1」が、ブロックチェーン技術を使った革新的な方法で小規模農家の支援に乗り出している。ジャマイカでは人口の多くが銀行口座を持っておらず、小規模農家も例外ではない。融資を受けたくても、金融機関から求められる担保がない。そこでこのスタートアップ企業は、ブロックチェーン技術を使って農家の生産実績を記録し、差し出せない「担保」に代わる農家としての「実績」を証明しようとしている。
創業者のヴァルン・ベイカーは言う。「弊社は農家の生産実績に基づく記録作成をおこないます。といっても、農家の人たちは農場での仕事を中断する必要はありません」「弊社の強みはテクノロジーにあります。一般の人には難しく思えるかもしれませんが、これからのブロックチェーン技術の応用を考えると、とてもワクワクします」
「ブロックチェーン」とは分散型のデジタル台帳で、そもそもは暗号通貨ビットコインのために開発された技術。関連するさまざまな記録をデジタルデータとして繋ぎ、その情報は多くのコンピュータ間でオープンに共有・検証される。「分散型」、つまり情報は一箇所ではなく、多くのコンピューターやデータベース上で保管される。また情報には「タイムスタンプ」が押され、情報に変更があるとブロックチェーンに記録され、必ず他のデータベースも更新される。
このブロックチェーン技術を利用すれば、農家は市場の需要に応じて生産計画を立てられる。そして卸業者も、信頼できる実績ある農家から安心して仕入れることができる、というわけだ。
*1 Farm Credibly
*2 貧困層や低所得者層を対象に、困窮緩和を目的として行われる金融サービス。小規模な企業や事業に小口で投資できる手法。*3 IBM社とジャマイカの金融機関National Commercial Bankの共同主催。*4 農業農村技術協力センター(CTA)の主催。
「プレゼンでは、ブロックチェーン技術を利用することの価値をできるだけシンプルに伝えました。ブロックチェーンは情報の統合を実現するもの。ジャマイカの作曲家がうまい言い方をしています。『一部の人をある一時だますことはできるが、すべての人をずっとだますことなどできない』。これこそ、私たちが農業にもたらしたい価値です」
10年前にも農家の人たちと仕事をしていたベイカーは、携帯アプリを使った生産・作業管理を強く勧めた。だが多くの農家は、畑でモバイル機器を使うこと、インターネットにつなぐことに乗り気でなかった。
そこでベイカーは考えた。新しいブロックチェーン技術を使えばアプリを使わずに済むと。農家の人たちは、現行のやり方を何一つ変える必要がない。ファーム・クレディブリ社では、農家がすでに取引をしている卸売業者、バイヤー、農産物加工業者、ホテル、スーパーマーケットなどが持っているデータをもとに、農家の生産記録(プロファイル)をつくっていくのだ。

「弊社では、関連企業が持つ情報を使って、農家に代わってプロファイルをつくります。銀行で融資を受けようとした時に、この情報があると手続きがスムーズになります。銀行口座を持たない、つまり信用履歴のない人たちには、とても有効な方法です」
「私の経験上、金融機関は農業を“リスクの高い”ビジネスと見ています。私たちが農業分野におけるリスクを減らそうとしていることを、もっと多くの人に知ってもらいたいです。農業は世界的に大きな経済的価値を提供しているのですから」
という彼は現在、農業農村技術協力センター(CTA)とジャマイカ開発銀行から提供された資金で、農家への融資促進がいかに生産性向上に繋がるかを実証するモデル事業を進めている。
小規模農家の一人ケビン・ブキャナンは、担保がないために融資を受けられずにいた。「足かせは資金を得る方法です。私だけではなく、多くの農家がこのジレンマに陥っています」。しかし、Farm Credibly社により彼の生産実績をデジタル的に可視化させたことで、385ドルのマイクロ融資を受けることができた。おかげで必要な用具を購入し、苗木栽培を始めることができた。
「以前は0.25ヘクタールの畑でさつまいもを栽培していましたが、ブロックチェーン導入後は1.11ヘクタールに増えました。おかげで、他の農家に苗木を提供できるようになり、その収入で灌漑装置を購入し、トウガラシの栽培も始められるようになりました」「テクノロジーを活用すれば、同じリソースでもより効率的に作業できるようになります。収入が増え、ビジネスが成功する確率も上がる。言うことなしです」
Farm Credibly社の代表ヴァルン・ベイカーが語るブロックチェーン技術を農業に活用するメリット
「種子法」の廃止、農業従事者の高齢化など、小規模農家にとって明るいニュースはあまり聞かれない。
その一方で、今回ご紹介したいのがカリブ海の島国ジャマイカの取り組み。銀行口座すら持っていない小規模農家の生産性をアップさせようと、ブロックチェーン技術を使った融資を受けやすくする仕組みづくりが始まっている。
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ジャマイカのスタートアップ企業「ファーム・クレディブリ*1」が、ブロックチェーン技術を使った革新的な方法で小規模農家の支援に乗り出している。ジャマイカでは人口の多くが銀行口座を持っておらず、小規模農家も例外ではない。融資を受けたくても、金融機関から求められる担保がない。そこでこのスタートアップ企業は、ブロックチェーン技術を使って農家の生産実績を記録し、差し出せない「担保」に代わる農家としての「実績」を証明しようとしている。
創業者のヴァルン・ベイカーは言う。「弊社は農家の生産実績に基づく記録作成をおこないます。といっても、農家の人たちは農場での仕事を中断する必要はありません」「弊社の強みはテクノロジーにあります。一般の人には難しく思えるかもしれませんが、これからのブロックチェーン技術の応用を考えると、とてもワクワクします」
「ブロックチェーン」とは分散型のデジタル台帳で、そもそもは暗号通貨ビットコインのために開発された技術。関連するさまざまな記録をデジタルデータとして繋ぎ、その情報は多くのコンピュータ間でオープンに共有・検証される。「分散型」、つまり情報は一箇所ではなく、多くのコンピューターやデータベース上で保管される。また情報には「タイムスタンプ」が押され、情報に変更があるとブロックチェーンに記録され、必ず他のデータベースも更新される。
このブロックチェーン技術を利用すれば、農家は市場の需要に応じて生産計画を立てられる。そして卸業者も、信頼できる実績ある農家から安心して仕入れることができる、というわけだ。
*1 Farm Credibly
農業分野でブロックチェーン技術を使ってできること
ベイカー率いるチームは、銀行口座のない農家の人たちが融資やマイクロ投資*2 を受けられるようになるツール開発というアイデアで、2017年の「ブロックチェーン・ハッカソン*3」で優勝、2018年には「アグリハック*4」というコンペでも勝利した。*2 貧困層や低所得者層を対象に、困窮緩和を目的として行われる金融サービス。小規模な企業や事業に小口で投資できる手法。*3 IBM社とジャマイカの金融機関National Commercial Bankの共同主催。*4 農業農村技術協力センター(CTA)の主催。
「プレゼンでは、ブロックチェーン技術を利用することの価値をできるだけシンプルに伝えました。ブロックチェーンは情報の統合を実現するもの。ジャマイカの作曲家がうまい言い方をしています。『一部の人をある一時だますことはできるが、すべての人をずっとだますことなどできない』。これこそ、私たちが農業にもたらしたい価値です」
10年前にも農家の人たちと仕事をしていたベイカーは、携帯アプリを使った生産・作業管理を強く勧めた。だが多くの農家は、畑でモバイル機器を使うこと、インターネットにつなぐことに乗り気でなかった。
そこでベイカーは考えた。新しいブロックチェーン技術を使えばアプリを使わずに済むと。農家の人たちは、現行のやり方を何一つ変える必要がない。ファーム・クレディブリ社では、農家がすでに取引をしている卸売業者、バイヤー、農産物加工業者、ホテル、スーパーマーケットなどが持っているデータをもとに、農家の生産記録(プロファイル)をつくっていくのだ。

© Pixabay
「弊社では、関連企業が持つ情報を使って、農家に代わってプロファイルをつくります。銀行で融資を受けようとした時に、この情報があると手続きがスムーズになります。銀行口座を持たない、つまり信用履歴のない人たちには、とても有効な方法です」
「私の経験上、金融機関は農業を“リスクの高い”ビジネスと見ています。私たちが農業分野におけるリスクを減らそうとしていることを、もっと多くの人に知ってもらいたいです。農業は世界的に大きな経済的価値を提供しているのですから」
という彼は現在、農業農村技術協力センター(CTA)とジャマイカ開発銀行から提供された資金で、農家への融資促進がいかに生産性向上に繋がるかを実証するモデル事業を進めている。
小規模農家の一人ケビン・ブキャナンは、担保がないために融資を受けられずにいた。「足かせは資金を得る方法です。私だけではなく、多くの農家がこのジレンマに陥っています」。しかし、Farm Credibly社により彼の生産実績をデジタル的に可視化させたことで、385ドルのマイクロ融資を受けることができた。おかげで必要な用具を購入し、苗木栽培を始めることができた。
「以前は0.25ヘクタールの畑でさつまいもを栽培していましたが、ブロックチェーン導入後は1.11ヘクタールに増えました。おかげで、他の農家に苗木を提供できるようになり、その収入で灌漑装置を購入し、トウガラシの栽培も始められるようになりました」「テクノロジーを活用すれば、同じリソースでもより効率的に作業できるようになります。収入が増え、ビジネスが成功する確率も上がる。言うことなしです」
Farm Credibly社の代表ヴァルン・ベイカーが語るブロックチェーン技術を農業に活用するメリット
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