- 2019年10月08日 18:05
【衆院本会議】枝野代表、安倍総理の所信表明に対し代表質問
2/3消費増税の混乱
私たちの強い懸念と反対にもかかわらず、政府は、10月1日からの消費増税を強行しました。
キャッシュレス決済のポイント還元事業について、対象となる中小事業者は約200万店なのに、10月1日時点で事業に参加していたのは約50万店。多くの中小事業者にとって、この事業に参加するのは負担が大きく、したくてもできないという私たちの危惧が現実となっています。
全体の4分の1程度しか利用できていないということは、制度そのものに問題があったと言わざるを得ません。総理の認識をお尋ねします。
複数税率についても、レジ対応の遅れなど、混乱が指摘されています。
そもそも、ポイント還元や複数税率は、消費税のもつ逆進性や痛税感の緩和という点での効果が限定的です。簡素で公平であるべきという税の基本原則から逸脱し、いたずらに混乱を引き起こすだけです。
逆進性を緩和し、低所得者の皆さんの暮らしを守るには、『給付付き税額控除』こそが、圧倒的に効果的であり効率的です。健康で文化的な最低限の生活を営む上で必要な消費額、負担することになる消費税額を見積もり、所得税非課税所帯ではそれを給付する。所得税を納めている場合は税額控除と組み合わせる。これで、中低所得者の負担をきちんと軽減することができます。
高所得者ほど多額の恩恵を受け、現場も混乱する複数税率ではなく、1日も早く『給付付き税額控除』を導入することを、引き続き粘り強く求めていきます。
税制全体の見直し
【消費不況と消費税】 そもそも、日本経済低迷の本質的な問題は、長期にわたる消費の低迷にあります。
バブル崩壊後の1992年(平成4年)から昨年までの27年間、民間最終消費支出の年平均成長率は名目0.8%、実質で1.0%にすぎません。今年に入ってからの四半期ごとにみても、1%に満たない低水準。同じ27年間に、輸出の年平均成長率は名目で2.9%、実質で4.1%であることからも、日本経済の半分以上を占める消費こそが、経済低迷の圧倒的要因です。
第二次安倍政権が発足して間もなく7年。株価は上がっても、また、大企業の収益は拡大しても、GDP成長率が1%台に低迷しているのは、その主要因である消費がまったく回復していないから。その中で消費増税を断行したことは、経済政策の観点からも著しく問題です。
加えて、みずからの反省も込め、税制への信頼について申し上げます。
消費税は、高齢化等に対応する社会保障の充実、社会保障財源の確保を大義名分として導入され、段階的に税率が引き上げられてきました。
しかし、結果的に、消費税による増収分に概ね相当する規模で、法人税などの直接税収が少なくなっています。
導入以降の消費税収入累積額はいくらですか。直接税収入について、消費税導入時点の収入を基準として、それを下回った額、上回った額を加減した累積額はどうなりますか。改めて財務大臣に確認します。
直接税には、景気動向などの影響が大きいこともわかっています。しかし、納税者の立場からは、結果的に大企業の法人税や富裕層の所得税が減った分を埋める役割を果たしてきたとしか見えません。
法人税や富裕層の所得税など、この間に恩恵を受けてきた層に対する直接税について、抜本的な強化、見直しを図るべきです。
対象とすべきは、多額の収益をあげ、内部留保を積み重ねている大手企業です。経営状況の厳しい中小企業など、赤字であったり、利益をあげていなかったりする企業とは区別する必要があります。
多大な利益を上げている資本金10憶円以上の大企業の方が、収益に対する実質的な法人税の比率が低いという実態もあります。高収益を上げている大企業には、少なくとも中小企業と同等以上の負担を求めるべきです。財務大臣の認識をお尋ねします。
所得税については、金融所得課税が最大の問題です。スポーツや芸能関係など、限られた期間に集中的に高い収入を得る仕事もあり、所得税の累進強化には考慮すべき点が多々あります。
金融所得は、他の所得から分離され原則20%という低率の課税がなされています。著しく高額の所得を得ている方ほど、金融所得の比率が高くなることから、年収が概ね1憶円を超えると、所得税全体の負担率は急激に下がっています。明らかに不公正、不適正です。
株価等に一定の影響を与えるといわれているため、慎重な制度設計が必要ですが、金融所得を総合課税に組み込み、累進課税の仕組みが機能する方向に変更すべきです。財務大臣の見解を伺います。
経済総論
消費不況から脱却し、安定的な成長を実現するためには、昭和の成功体験に引きずられた経済政策を大転換するしかありません。
人口減少と高齢化に加え、貧困・格差の増大と固定化、老後や子育てなど将来不安の急激な拡大、減っていく実質賃金と非正規雇用の増大。これらはいずれも消費にとって重大なマイナス要因です。
消費したくても消費できない貧困層を増やし、ある程度の貯えがある方でも、医療や介護の不安によって老後になっても貯えを使えず、希望しても子どもを産み育てることを諦めざるを得ない。ローンを組むこともできず、仕事と収入が不安定なために、家庭を持つことも、持つ意欲すら持てない。
このような社会では、どんなに良いモノやサービスを売り出しても、消費が拡大するはずありません。
規制は少なく、政府の関与を小さくして、自由な競争に委ねる。人件費をいかに低く抑えるかに奔走する。大規模な開発型の公共投資や大手企業への誘導策で民間投資を促す。極め付きは、輸入物価を上昇させ、国内由来の消費にはマイナスとなる事実上の円安誘導で輸出企業をうるおす。
こうした経済政策は、高度成長期には一定の役割を果たしたかもしれません。しかし、現代の消費不況の時代には、効果がないばかりか、むしろマイナスです。
社会保障の充実を図り、税制も大きく見直して所得再分配機能を強化し、貧困や格差を解消に向かわせる。特に、介護や保育に代表される老後や子育てなど暮らしの安心に関わる人件費を厚くして人手不足を解消し、将来不安を小さくする。希望する非正規労働者をできるだけ早く正規雇用に転換しつつ、実質賃金を引き上げる。
これこそが、これからの時代の最も効果的な消費拡大策であり、経済対策です。
年金制度
こうした観点からも、安倍政権の社会保障政策は、時代に逆行しています。
【非正規労働者への厚生年金拡大】 非正規労働者への厚生年金の適用拡大について、政府は、必要性こそ認めているものの、その規模感がはっきりしません。このままでは、対象企業が若干の拡大するにとどまるのではないかと危惧しています。
この間、急激に非正規労働者の比率が高まり、将来の低年金高齢者を少なくするためには、厚生年金の適用拡大を大胆に進める必要があります。具体的な拡大規模の見通しを含めて総理の見解を伺います。
総理は、基礎年金について、マクロ経済調整が終わる30年後でも、物価上昇率で割り引けば微減か横ばいであると説明し、『年金は大丈夫』としています。
しかし、年金の受給水準については、現役時代と比べた所得代替率で計るべきです。これによると約3割下がるのではないですか。微減又は横ばいという試算は、実質賃金が40%も上昇することを前提としており、実質賃金が下がっている現状を考えると、あまりにも非現実的です。
マクロ経済調整が終わる30年後における所得代替率はどうなるのか。それによって想定される生活保護の大幅増加にどう対応するのかを合わせて、総理の認識を伺います。
政府が検討している65才以上の在職老齢年金の廃止には、約4,000億円の財源が必要になります。その財源は厚生年金基金にならざるを得ず、厚生年金受給者全体の年金財源が約4,000億円カットされることになります。
在職老齢年金の廃止で恩恵を受けるのは、月収47万円以上という高所得高齢者に限られます。そのために厚生年金受給者全体の財源を4,000億円カットすれば、格差が拡大します。国民の理解は得られないと考えますが、総理の認識をお伺いします。
10月から、低年金者約1千万人に対し月約5千円の特別給付金を給付することになりました。このための法律は、非自民政権下の2012年11月に成立したものです。
この給付は、実施が大幅に遅れたのに加えて、対象者が返信ハガキを返送しないと受け取れない仕組みになっています。この点、十分な周知がなされているとは思えません。どのような周知をしているのか、総理にお尋ねします。
介護保険制度
要介護1、2のホームヘルプやデイサービスを保険給付から外して、自治体の地域支援事業とし、「生活援助」のサービスをカットすると言われています。また、自己負担が2割となる対象を、被保険者の上位20%から、上位25%に広げることが検討されています。
これでは、当然のことながら家族の負担が増えます。認知症の家族会など介護者団体からは、『今でもギリギリなのに、介護で家庭崩壊する。介護離職が増える。』と強く反対する声が上がっています。
医療同様、介護においても、軽度のうちに、早期に対応することで、一定程度、重度化を防いだり遅らせたりすることにつながります。目先の財政的なつじつま合わせのために、必要なサービスが提供されなくなれば、当事者のみならず、財政も含めた社会全体のコストも大きくなります。
安易なサービスカットや、利用抑制につながる負担増は適切ではありません。総理の認識をお伺いします。
日米貿易交渉
【トウモロコシ輸入問題】日米貿易交渉に関連して、突然、米国のトウモロコシ購入の話が出てきました。日本でのトウモロコシの病害虫被害が理由であるとされていますが、国内でのトウモロコシの病害虫被害の程度と、不足分の規模について、総理にお尋ねします。
その上で、購入額を含めトウモロコシ輸入に関して米国に約束した具体的中身と、合意した理由について、総理の答弁を求めます。
今回、自動車関税については継続協議となりました。
今後の協議について、何らかの期限やメドは設けられているのでしょうか。方向性について一定の認識の共有はあるのでしょうか。総理にお尋ねします。
昨年12月に発効のTPP11、今年2月に発効した日欧EPA、そして今回の日米貿易協定をあわせ、一次産業に与える影響は、極めて大きいものがあります。ただでさえ我が国の一次産業は、生産基盤が著しく弱まっており、この3協定による悪影響を放置すると、壊滅的な状況に陥ります。
一次産業は、生きていく上で欠かせない食料をまかなうための、もっとも基本的な営み。国土や自然環境を守るとともに、農山漁村の人口が維持されるで、地域の経済・社会や文化を守っていく基礎となるなど、多面的な役割を担っています。
国内一次産業をサステナブルなものとするためには、私たちが国会提出している『農業者戸別所得補償法案』を成立させることが不可欠です。総理の認識をお伺いします。



