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大飯原発を再稼働させる理由はない 交付金制度をやめよ

 野田首相は、とにかく大飯原発を再稼働させたくて仕方がないのですが、その理由は野田首相が6月8日に開いた会見では、「国民生活を守るため、再稼働すべきというのが私の判断だ。」

だからだそうです。

 しかし、「国民生活を守る」という一般的な命題から、再稼働を導くのは、責任を国民に押しつけているものと言わざるを得ません

 原発事故という状況から「国民生活を守る」ことも求められているからです。しかも、国民世論は、大飯原発の再稼働を否定しています。

 要は、財界の意向に忠実に従いたいということを「国民生活を守る」と表現しているだけです

 はっきりと、大飯原発の再稼働は、「財界の意向であり、目先の経済効率化を安全より優先した。」と述べるべきなのです。

 それに加えていうのであれば、「国民生活も、それによって節電もしなくていいんだから、それでいいでしょ。」というのであれば、非常にすっきりします。

 しかし、「国民生活」のためという言い方は、卑劣そのものです。



 この野田首相の会見での発言を聞いた、福井県知事西川一誠氏、早速、「地元」として同意の手続に入るそうです。

 野田首相の決断を聞いた上での同意であれば、あくまで中央政府の責任であると言いたいのでしょう。

 しかし、いずれにせよ、事故が起きた場合の責任は、福井県知事も同罪です。



 交付金ほしさに、よだれを垂らして同意しているだけの福井県知事なのですが、このように批判すると、福井県の実情をわかっているのか、雇用がどうこういう意見はあるのですが、それほどまでに安全なら、交付金制度は廃止したらよいのです。

 安全が脅かされているのは、何も直轄の福井県やおおい町だけではありません。

 しかも、雇用という点でいえば、交付金は関係がありません。

(交付金で要らん箱物を造ることで雇用創出ということであれば、本当に無駄です。)



 福島の原発事故以降も、今なお地元には多額の原発交付金が交付されます。

 先般、事故が起きた場合には福井県でも共同責任を負えという意見を述べたところ(参照)、弱い者いじめだ、などという批判が少なくないのに驚きました。

 それに対して、別途、「弱い者いじめか」という反論意見を述べましたが、いずれにせよ、経済的には交付金なしでは成り立たないとか、雇用が成り立たないとかいう主張が少なからずあるのは、むしろ、原発経済にどっぷりと浸かってしまっているんだという実態を再確認しているだけの意味しかありません。

 雇用の確保はともかく、交付金の要求は正当化されません。単なる不労所得にすぎないからです。

 本来、「危険」に対する対価というのであれば、その交付を受けるのであれば、その危険が具体化したとしても文句は言ってはならない、それが対価という性質のものです。



 しかも、既に、福島の原発事故によって、もはや原発の安全神話は崩れました。原発の「危険」は、これまで安全神話によって作られた「単なる精神的な危険」ではなく、「現実性のある危険」であることが判明した今、原発交付金の扱いは、従来どおりというわけにはいきません。



 原発交付金の廃止 → 現実の事故が起きたら正当な賠償ないし補償を受ける。

                 そのための基金とする。



 原発交付金を受ける → ①賠償ないし補償の一部に補填される。

            または

                 ②賠償等は、一切なし。



ということでなければ、交付金は地元の「同意」を得るための同意料でしかなくなり、しかも、莫大な額になっているのですから、この制度に疑問を持つのは当然です。

 現実の原発が安全でないことが知れた今、交付金は受けてジャブジャブ使い、そして事故が起きたら被害者だ、賠償してくれ、では誰もが納得できないし、「地元」ではないが被害を被る地域はなおさら納得できないでしょう。

 福島で起きた事故により、それまで福島に交付されてきた原発交付金は一体、何だったんだろうという疑問を持った国民は少なくないはずです。

 福島県民とて、こうなるんだったら、原発も要らないし、交付金も要らなかったという思いでしょう。

 原発の「危険」が「現実性のある危険」であることが判明した以上、交付金制度をそのままにしておくこと自体も問題なのです。

 福井県知事やおおい町が下品に見えるのは、誰の目からも安全よりも交付金ほしさということが露骨にわかるからです



 もちろん、交付金制度は、原発のあり方の矛盾を端的に示してくれましたが、原発は即、全廃すべきです。目先の生活の「豊さ」のために将来を犠牲にしてはいけません。

 なお、批判の中に、金持ちの戯言というものがありましたが、弁護士ということでそのように言っているのかもしれませんが(弁護士が特別に金が儲かっているというのは幻想ですが。)、そのような批判に対しては、累進課税をもっともっと強化すればよい、とお答えしておきましょう。

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