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【読書感想】大人の読解力を鍛える

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 僕も『駅』の歌詞についての論争は知っていました。

 僕は「私だけ『が』愛していた」のだと、ずっと思っていたんですよね。

 竹内さんが、作り手としての「公式見解」を出していたのは、これを読んで初めて知りました。

 こういう場合、作り手の解釈に従うべきなのか、自分にはこう思えた、ということで良いのか、ちょっと考えてしまいますよね。

 竹内さんも「どちらにも受け取れる」ことは承知のうえで、この歌詞にしたような気もするのですが……

 読解には、それぞれの人がこれまでに積んできた経験とか、負っている背景なども大きく影響してくることがあって、「相手が伝えたいことを、そのまま受け取る」のは、そんなに簡単なことではないのです。

 著者は「編集」によって意味が歪められるケースやネットでの検索での注意点などにも触れています。

 読解力が欠如している人は他者の言葉を曲解しがちで、他者の言葉を曲解しがちな人には、”キレやすい”傾向がみられます。

 あくまでも「ひとつの例」として持ち出した一般論なのに、それを「自分への批判や非難」だと曲解してキレる。

 心配して掛けてくれた言葉を、嫌味だと曲解してキレる。

 親切や気遣いをおせっかいだと曲解してキレる。

 最後まで話を聞かず、話の一端だけで勝手に解釈して激昂する。

 相手の意図を理解せずに勝手に否定的感情をくっつけて、勝手に怒りに昇華させる。

 自分の主観だけで勝手に意味を決めつけ、しかもそれが正しいと思い込んで冷静な思考ができなくなる。

 他人の言葉に過剰反応してすぐに激昂する=キレるのは、その言葉の真意を読み取れていないからです。早とちりして曲解して、勝手にネガティブ思考になって、勝手に激怒する。すぐキレる人は言葉の意図や真意を理解できないまま、勝手に怒りのアクセルを踏み続け、畳みかけるように怒鳴り散らして収拾がつかなくなるのです。

 正しく読み解ければ言葉の真意はわかるし、冷静に読解できれば「揚げ足を取っているだけ」「自分の都合で不機嫌になっているだけ」だと自覚することもできます。そうすればキレる前に自制することもできるでしょう。

 そう考えると、他者の言葉からその真意を汲み取れる大人の読解力とは、思い込みや曲解によって増幅される人間の内なる攻撃的感情に歯止めをかける「ロジカルなブレーキ」でもあるのです。

 たしかに、受け手の状況や、言葉の一部だけが切り取られて強調されることで、「(全体をみれば)そんなことが書いてあるわけではないのに、自分が攻撃されているように感じる」ことって、あるんですよね。

 そこは、読解力とともに、自分をクールダウンする方法を身に付けておいたほうが良いと思います。

 ただ、とくにネットでは、思いついたことをすぐに全世界に発信できてしまう、というリスクもありますし、「曲解されても致し方ない発言」が目立つのも事実です。

 「誤読するほうが悪い」と言う前に、まず、発信者として、「自分は誤解されやすい言葉を発していなかったか」を省みるべきではないか、と僕は思います。

 どんな言葉だって、自分が読みたいようにしか読まない人はいる、というのも長年の経験から得た実感ではあるんですけどね。

 こういう、「言い方が悪い vs 読解力がない」の戦いというのは、時間のムダになる可能性が極めて高いのだよなあ。

 だから、「わかる人にだけ(あるいは、ある程度背景を共有できている人にだけ)伝わればいいや」と、LINEのような、相手を限定したSNS(ソーシャルネットワーク)でのコミュニケーションを選ぶ人が増えているのでしょう。

 自分は読解力がそれなりにある、と思っている人にこそ、読んでみていただきたい新書です。
 たぶん、「自分は読解力がない」って感じている人って、そんなに多くはないんですよね。だからこそ、問題なのだけど。

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