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【デジタル通貨の推進者がもしアップルだったら】

フェイスブックのデジタル通貨「リブラ」がうまくいっていません。世界各国の規制当局からマネーロンダリングやテロへの対策の不備を指摘され、実際にローンチできるのか危ぶまれているという報道が相次いでいます。

フェイスブック率いるザッカーバーグCEOは社内外からパンチを受けていますが、アップルのクックCEOは上手に外交を展開しトランプ大統領の心をうまくゲットし社内、世論からも叩かれていません。

すごい!それで、ふと、タイトルのようなことを考えました。

FTは、Facebook questioned by Brussels overLibra risks(FB、EUにリブラのリスクを質される)の中で、ヨーロッパ委員会が先週、フェイスブックに対してデジタル通貨のリブラのマネーロンダリング対策テロ資金対策、脱税対策などについて質問書を送ったと報じています。

さらにドルやユーロ、円などの法定通貨で構成するという準備金の運用や金融安定に与える影響について関心があるということです。

EUで金融サービスを担当するドンブロウスキス委員が8日に予定されているEU議会の公聴会デジタル通貨戦略について質される見通しです。

FTはまたPayPal pulls out of Facebook’s Libra project(ペイパル、FBのリブラから脱退)の中で、オンライン決済サービスのペイパルがフェイスブックが推し進めているデジタル通貨「リブラ」の計画から脱退し、それがフェイスブックに大きな打撃となると報じています。

今月3日にワシントンで開かれた会合では初期メンバーの28の企業や団体が参加するはずでしたが、ペイパルのみが欠席し、翌4日に正式に脱退を発表したということです。

フェイスブックのリブラの責任者のデビッド・マーカスは、ペイパルの元社長で、マネロン対策に十分な手当を講じていないという懸念が強まっています。

とりわけ米FRBのパウエル議長、英イングランド銀行のカーニー総裁が懸念しています。

残りの27の企業と団体は、10月7日までにメンバーになることを正式に宣言し、10月中旬にスイスで開かれる会合で取締役を選定する予定だとしています。

メンバーになるには最低でも1000万ドル(10億円余り)の拠出が必要で、ビザ、マスターカード、ストライプなどの決済事業者の動向が注目されています。

ペイパルが抜けたことについてリブラは「世界の1500社が関心を持っている」とコメントしたそうです。

WSJは、これに先だってビザとマスターカードが参加を見送ることを検討していると報じ、その理由としてアメリカやEUの規制当局の厳しい視線だとしています。

10月14日にスイスのジュネーブでリブラ協会が会合を開き憲章や取締役を承認する予定だということです。 クレジットカード会社などの決済事業者が参加しないとリブラの利用範囲は限られ、「自国の通貨をインターネット上で決済や送金に使えるデジタル通貨に置き換えるというフェイスブックの試みは頓挫しかねない」としています。

米財務省が参加を予定している決済事業者に対して、マネロン対策のコンプライアンスを検証することやリブラの位置づけを明確にするよう求めたということです。

そもそもフェイスブックのザッカーバーグCEOが社内からも社外からも信頼を得ていないことを示したのが10月1日にThe Vergeがすっぱ抜いたザッカーバーグCEOの社内会議の2時間にわたる音声。

ザッカーバーグCEOはホワイトハウスの奪還を狙う民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員がフェイスブックなどの巨大テックの解体を主張していることから「全力で戦う」として法的措置に踏み切る考えを示しました。これには当然、ウォーレン上院議員が反発。

録音データはこちら。
https://www.theverge.com/2019/10/1/20756701/mark-zuckerberg-facebook-leak-audio-ftc-antitrust-elizabeth-warren-tiktok-comments

一方、WSJはHow Time Cook Won Donald Trump’s Ear(アップルのクックCEOがトランプの信頼をどう得たか)の中で「トランプ時代のクック外交」を評価しています。

クックCEOは、分断された政治の中で、トランプ大統領の政策に賛成も反対しつつ、大統領からも世論からもバッシングされていない数少ない企業経営者だ」ということです。

世論の反対に耐えきれず、スポーツ用品のUnder ArmourのKevin PlankやTeslaのElon Musk、UberのTravis Kalanickらは大統領の諮問委員を辞任。

クック氏は、トランプ大統領の娘のIvankaと夫のJared Kushnerと緊密な関係を築き、ホワイトハウスとのバックチャネルを作ったということで、ホワイトハウス高官とも定期的に会談しているそうです。

米中貿易摩擦で8月に中国で生産されているiPhoneにも高関税がかかる前にクシュナーを通じて大統領と電話会談し、関税がかかえるとiPhoneが値上がりし、サムスンとの競争に不利になることを説明し、数日後に対象から除外されたとしています。

Center for Responsive Politicsによると、アップルの社員が2018年の中間選挙で行った政治献金のうち97%が野党民主党に向けたものでした。それでも、クックCEOに対する社員からの批判は聞かれません。

クックCEOはイスラム教徒を排除するような法律には反対。パリ協定からの脱退にも反対ですが、公に考えを示す前にトランプ大統領に反対の気持ちを伝えたということです。

また、もともと中国で生産を計画していたMac Proについて、アメリカで生産を続けることを決めました。

トランプ大統領の8月の発言で締めくくっています。「ティム・クックとよく話すのは、彼から私に電話してくるからだ」。

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