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「人権」と「損得勘定」を比較するなら、「損得勘定」が「人権」に優先するのは当たり前だろ

過日、 「チベット問題」を読み解く(大井功著)

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という本を読んでいて、私かなり驚いちゃった記述があります。引用部分は見出しです。

>「損得勘定」は、人権より上位にあるのか?(p.79)
 
えー、そんなん人権と損得勘定とを比較すれば、古今東西、社会全体としては、人権が損得勘定に優位となった社会なんてあったためしがないでしょう。人権が損得勘定に優先する社会が私が生きている間に実現するなんて考えられないし、たぶん人類滅亡の日までそんなことはないんじゃないんですか。

断っておきますけど、私が「人権」と「損得勘定」で、損得勘定を優先させることを「いい」なんて考えているわけではありませんよ。私は人権のほうが優先すべきだと考えています。でも、そんなことが実現するわけもないと考えています。逆にだからこそ、人権というものを守るために不断の努力をしなければならないと思います。

で、チベット問題についていえば、最終的には中華人民共和国とチベット亡命政府、どっちを世界が選択するかといえば、それは前者です(笑)。米国だろうがEUだろうが日本だろうが亡命政府を受け入れているインドだろうが、その他どこの国も最終的には(いや、もっとずっと前の段階で)中国をとります。首相就任前や辞任後は中国にやたらえらそうなことをほざいている安倍晋三が、首相在任中は中国にやたら気をつかっていたことでもわかるように、中国とのつきあいとチベットの人権問題、どちらが優先するかといえば、それはどこの国の政府も中国とのつきあいの方が大事です。そんなのは当たり前の話。

だから私は、「人権」と「損得勘定」どっちが大事かなんて問題のたて方自体が無意味だと思います。世間では「損得勘定」のほうがはるかに優先します。そういったことを前提とした上で人権問題に向き合わなければ、人権について何かを勝ち取るなんてことに関しては一歩の前進もないと思うわけです。

あ、念のために書いておくと、べつにこの本の著者は本気で上に書いたような命題を読者に問いかけているわけではもちろんありませんよ(失笑)。私はこの本以外に著者の本を読んだことはないし、著者について何の知識もありませんが、この本の著者はよかれあしかれきわめて現実的な人です。著者もチベットの自治や独立は非常に厳しいことは重々承知でこの本を書いています。たとえば直接チベットの話ではありませんが、次のような記述はどうでしょうか。前にも私が触れた、安倍晋三が胡錦涛に対して人権問題を語ったということについて著者は、

>私も、総理時代の安倍氏の言動には首をかしげることが多かったが、この発言は、久々、彼のヒットだったと感じている。 (p.173)

としたうえで、

>そういう彼も、もし今、現役総理であったなら、中国主席に面と向かって苦言を呈するのは難しかったろう。(p.174)

書き方は相当遠慮していますが(笑)、言っていることの趣旨は、私が日々主張していることとまったく同じじゃないですか(笑)。著者もつまりは安倍なんて男にぜんぜん期待はしていなさそうですね。

ペマ・ギャルポは反中のためならどんな馬鹿なことでも平気で主張するし(こちらこちら)、石濱裕美子は現実性に欠けるチベット馬鹿(こちらこちら参照)、そういった非常識な人たちとは著者は違うみたいです。もっとも、そういう意味で言うと、なんで著者にチベットについての本を執筆する仕事がまわってきたのかという気はします。特に著者がチベット専門家というわけではないみたいだし。

残念ながら世の中、損得勘定で動いているし、そんなことは当たり前ということです(なんて、こんなところで書くにも値しないことですね)。

さてちょっと気になった記事を。朝日新聞より。

>2012年6月9日18時58分

外国人のチベット入り当面禁止 中国、焼身自殺が影響か

 中国政府が5月末から、チベット自治区への外国人の入境を当面、事実上禁止したことが8日わかった。同自治区の旅行当局が明らかにした。5月27日に同自治区ラサでチベット族2人が焼身自殺を図り、政府が警戒を強めていることが関係しているとみられる。

 同自治区は、外国人が訪れる際は政府の許可が必要な地域。旅行当局によると、同自治区共産党委から通達が届き、外国人の入境審査を厳格にするよう求められた。入境手続きの再開時期は未定という。(上海)

ちょっと状況が悪いみたいですね。心配です。

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