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未だ体育会系が採用されやすい意外な理由3つ

「やっぱり採用するなら体育会系がいい」。採用の現場では今もそんな声が根強いという。体育会系ではないが、吹奏楽や劇団の経験者も人気とか。彼ら・彼女らに共通する3つの強みとは?


※写真はイメージです(写真=iStock.com/takasuu)

今でも体育会系が就職で人気の理由

「やっぱり、採用するなら体育会系がいい」

労働に対する価値観が、ワークライフバランスや副業といったキーワードに代表されるように多様に変化し、キャリア形成についてもさまざまな“かたち”が出現している昨今にあっても、採用市場において根強く存在する体育会系人気。特に、集団競技経験者の評価は高い。

集団競技と表現しているが、正確には「なんらかの目的をもって参集する個人の集合体で、個々の役割が決まっている集団」であり、吹奏楽や応援団、劇団経験者なども含まれる。

彼らの強みはどこにあるのか。識学的観点から考えていきたい。

結果を出す体育会系人材の特徴

ちなみに、人気の理由としては

・上下関係がわかっている

・体力がある、動ける、無理がきく

・規律をわかっている

などがよくあげられるが、これだけでは表面的な部分を見ているにすぎない。

また体育会系というと、気合、根性系ですか? となりがちだが、体育会系人材の中でも組織で大きな成果が出せる人は、以下のような強みを持っていることが多い。

強み①決定権者感覚がある

強み②自由と規律の意味がわかっている

強み③自律的成長軌道に乗れる

ではそれぞれについて、詳しくみていこう。

1.決定権者感覚がある

決定権者とは、評価者と考えてもらえばよい。部活で言えば監督だ。常に、誰を試合に出すかの選択をし、どのように戦うかを決定するボスだ。集団の中では、この決定権者が決定した枠組み(=戦術や各ポジションにおける動き方、機能など)の中で選手は“成果”を求められる。つまり、勝利に必要な機能が先に決定していて、その機能に人(=選手)がアサインされる。サッカーでいうならリフティングが10000回できるなど個別技能が超絶に高い人でもこの要求される機能を十分に果たすことができなければ、試合に出ることはできない。

欲しいものがあるとき、必ず制限をかけている存在がいて(それを決定権者=評価者と言う)この権者の求める成果を果たすことにより欲しいものが手に入る、という単純な構造で世界は成り立っているのだ。

会社においても、一般的に新人の評価者は、課長。課長の評価者は部長……となっていて、最終的に幹部はトップの社長から評価されている。社長はというと、株主や顧客、市場といった存在から最もシビアな評価をくだされているのである。

この決定権者=評価者が“求める成果”の達成によって(一般的には)高い給与やボーナス、評価、その他もろもろの対価を獲得することが可能となる。

識学的強み分析の1つ目は、この「決定権者」感覚があることである。

誰かのニーズを満たすことが先にあり、自分の得たいものが後に得られる、という感覚を身に着けているのである。「自分は個性を活かしてこういうプレーをしたい」という単独目標の前にチームがかかげる集団目標のために、設定した個々の役割の遂行に全力を出す、という経験を繰り返ししていることになる。企業組織内においても自身の立ち位置を理解し、まず評価者のニーズを満たそうという感覚が鋭いのである。

2.自由と規律の意味がわかっている

識学的強み分析の2つ目は集団の中に存在する“自由”の意味を理解している、ということだ。

昨今、いわゆる個性、自分らしさや多様性、オンリーワン、嫌われる勇気、といったように“ありのまま”でいいんだ、という価値観が流布されているが、事実の仕組みでは、誰のニーズにも乗らない“個性”が評価されることはないし、対価を得ることも無い。これは、「俺の音楽、時代がついてきてない」とか「うちの料理はサイコーだが客がわかってない」という例を考えてみれば明らかだ。

集団競技は、競技そのものに明確なルールが存在するし、さらにはチームごとにルールが厳格に存在する。その枠内で“らしさ”の発揮が求められるのである。

集団を形成している個々人は、まったく違う価値観=マイルールを持ち、その行動様式はその価値観をベースに決定されている。これは、まったく異なる人生経験やその過程で得た知識の違いに起因する。集団で目的を果たそうとする時、これらのマイルールがバラバラで統合されていない状態のままだと、機能的に活動することができない。赤信号を見たら、止まれだ、という共通認識が道路利用者の間に存在するから集団は円滑に動くことが可能となる。集団スポーツ経験者の中では、この規律(協議によってはディシプリンといったりする)が明確に存在し、その中で個性の発揮=自由が与えられる、という感覚が備わっていることになる。

池田潔氏著『自由と規律―イギリスの学校生活』(岩波新書)という50年以上前のベストセラーがある。「自由“と”規律」というタイトルだが、正確に理解するならば「規律“ある”自由」つまり、一定の規律の中に認められた自由と理解するべきなのだ。

個々人のプレーヤーにはそれぞれ得意なことがあり、やりたいプレーや就きたいポジションが存在するが、それが“自由”に発揮されては集団として目的を達成できない。これは、スポーツでも企業組織でも同様なのである。

3.自律的成長軌道に乗れる

識学的強み分析の3つ目は、自律的成長軌道に乗せることができる、というものだ。組織コンサルティングの現場で対峙する経営者・管理者から聞かれるのは「社員が勉強しない」「目標達成に向けて努力しない」さらには「教えてもらってないのでできません」といった声が多く聞かれるとのことだ。

日本企業の慣習では、未熟練の新卒を多く採用することになるが、この傾向から見ても、自社に引き入れる人材の観点として成長する見込みがあるか、成長意欲があるか、が非常に重要な観点となる。

ここでも、やはり集団競技の経験者はその強みを発揮できる。

小学生にもわかるように成長を定義すると、出来ないことが出来るようになること、と言い換えることができる。スポーツも仕事もこの成長の連続であり、成長できる人間がより多くの対価を得ることになる。スポーツ経験者は、特にこの成長を“自律的に”反復してきた経験があり、その反復によって実際に成長した実績を持っていることになる。

具体的には、ある目標や課題が眼前にあり、できないことを突き付けられるわけだが、ポジションを獲得するためにその課題に対する「差分を認識」し、どのような練習をすればよいか、誰に学びを獲得しに行けばよいか、どの程度時間をかければよいか、といった「対策の立案」を行う。この繰り返しによって成長を果たしているのだ。

仕事においても原理は同じで求められる成果に対して「できないこと(=差分)の認識」からはじまり「どうしたらできるだろう(=対策)の立案」を実行していくことで、組織の要請に到達していくのだ。さらに付け加えるならば、競争環境におかれていたスポーツ経験者はこの成長サイクルを“自律的に”展開していくことを迫られる。だまって待っていてはただ、他者に置いて行かれるだけだからだ。

これら3つの強みを兼ね備えた人材は、組織の中で役割を全うし、チームの目的の達成に貢献しやすいのである。

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冨樫 篤史(とがし・あつし)
識学 新規事業開発室 室長
1980年東京生まれ。02年 立教大学経済学部卒。15年グロービス経営大学院にて経営学研究科(MBA)修了。現東証1部のジェイエイシーリクルートメントにて12年間勤務し、主に幹部クラスの人材斡旋から企業の課題解決を提案。名古屋支店長や部長職を歴任し、30~50名の組織マネジメントに携わる。15年、識学と出会い、これまでの管理手法の過不足が明確になり、識学がさまざまな組織の課題解決になると確信し同社に参画。大阪営業部 部長を経て、現職。著書に『伸びる新人は「これ」をやらない』(すばる舎)がある。
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(識学 新規事業開発室 室長 冨樫 篤史 写真=iStock.com)

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