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「誤った結論を出す政治」から一日でも早く脱却するための必要条件は、「ダラダラと時間をかけずに」野田内閣に幕を引くことである

思考回路がどこか狂っている。

10日のNHK「日曜討論」で安住「素人」財務相は、消費税率引き上げの必要性について、今の国の予算では、歳入のおよそ半分を借金に当たる国債でまかなっていると指摘したうえで、「構造的にそういう問題がわが国にはあるので、世界経済の中で非常に危険なリスクになっているという指摘を受けている。政府としては、ぜひ3党協議で合意していただいて『決める政治』を実現してほしい」と述べた。

「世界経済の中で非常に危険なリスクになっているという指摘を受けている」というが、素人財務相は一体だれからこうした指摘を受けたというのか。素人財務相は、このところの円高に関して、「相対的に見れば安全資産」であることが円高の要因だという見解を示し続けている。円が「相対的に見れば安全資産」という理由で買われているという認識と、「世界経済の中で非常に危険なリスクになっている」という発言は明らかな矛盾である。

為替市場の円高に関しては、円が「相対的に見れば安全資産」だと主張し、消費増税に関しては「世界経済の中で非常に危険なリスクになっている」と主張することが、矛盾だと気付かないほど思考回路が狂っている人物が財務相を務めていることこそ、政治の質の劣化の象徴であり、「日本の非常に危険なリスクになっている」ところ。

因みに、「素人財務相」お得意の、円が「相対的に見れば安全資産」という表現は適切ではない。もし、円資産が「相対的にみれば安全資産」だというのであれば、外国人が命運を握っていると報じられている東京株式市場で「中国利下げでも不安先行 日経平均の下げ突出 8500円割れ」(9日付日本経済新聞)ということは起こり得ないはずである。

為替市場で円が「相対的にみれば安全資産」だと見做されているのは、主要国の中央銀行の中で、日銀が最も何もしない中央銀行であると同時に、それをマスコミ始め誰も批判をしないどころか、何もしていないことを報じてもいないからである。

そして「日経平均の下げ突出」となっているのは、中央銀行が円高を放置しているうえ、世界が「成長戦略」に頭を悩ます中、経済成長を抑え込む消費増税に日本は政財界挙げて突き進んでいるからである。

「円高」「株安」に賭ける投資家にとって、危機に直面して何かをしかねない欧米の政府、中央銀行の組み合わせに比較すると、何も手立てを打たない中央銀行と、経済低迷政略に「不退転の決意」で突き進む政府という「最狂のタッグ」が率いる日本は、賭けが外れる可能性が相対的に低い国なのである。

これが、投資家から「相対的にみれば安全資産」と言われる所以である。要するに、それは褒め言葉ではなく、無能な政府と中央銀行という「最狂タッグ」につけられたニックネームでしかない、ということをそろそろ政府・日銀も気付くべきである。

今、中央銀行が円高是正に手を打ち、政府が日本経済に止めを刺しかねない消費増税を諦めなければ、近い将来日本経済は本当に大きなリスクに直面することになりかねない。それは、資金調達難を伴う金利の上昇であり、株高に結びつかない無駄な円安である。

思考回路が狂っているのは、素人財務相だけではない。最も思考回路が狂っているのは、その任命者である総理大臣である。

「旗を降ろせとか理念を降ろせとか言うとなかなか議論は進まない。どういう形で現実的に制度改正ができるかに心を砕きながら『国民のために』成案を得る。ダラダラと時間をかければいいというわけではなく、一定程度のメドを持ちながらきちっと議論をしていくことが大事だ」

野田総理は10日、消費税率引き上げ法案などを巡る修正協議について「国民のために」という部分に力を込め、「旗や理念を降ろせと言うと議論は進まない」と述べ、民主党がマニフェストで掲げた最低保障年金の撤回などには応じることはできないという考えを示した。

「消費増税を実施しない」とマニフェストに明記していないことを理由に、政権交代時の「4年間は増税をしない」という訴えを反故にする野田総理が、「マニフェストで掲げた最低保障年金の撤回などには応じることはできない」と、さもマニフェストを重視する発言をするその神経は、通常に人間には出来ない芸当。

素人財務相も、人間とは思えない総理も、「決められない政治」「リーダーシップ」をはき違えている。

そもそも求められていること、「日本をよくするための政策を決める」ことであり、何でもかんでも決めればいいというものではない。

また、地位や役職に与えられているのは裁量権であり、「リーダーシップ」ではない。「リーダーシップ」は、その地位に与えられるものではなく、周囲がその地位に立つ人物への信頼に基づいて与えるものである。国民の支持率が30%にも満たない危険水域にある総理に、国民が「リーダーシップ」を与えることも、認めることもない。もし、野田総理が国民からの信頼を得ていたとするならば、総理が「リーダーシップ」という言葉を連呼することもなく、「決められる政治」は実現されるはずである。

「決められない政治」は、国民からの信頼に基づいた「リーダーシップ」を得ることが出来ない総理がその地位に就いていることに根本的な原因がある。

総理大臣が職権で強引に結論を出すことと、総理がリーダーシップ発揮して「決められ政治」が達成されることとは、根本的な違いがあることを認識出来ない政治家に、国民が「リーダーシップ」を発揮することを期待することなどあり得ない。

「誤った結論を出す政治」から一日でも早く脱却するための必要条件は、「ダラダラと時間をかけずに」野田内閣に幕を引くことである。

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