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宅配に加え一部売りにも暗雲ー英米新聞業界

苦境に喘ぐ英米の新聞社に新たな冷や水です。ニューススタンドが激減しているのに加えて、大手スーパーマーケットやスターバックスで新聞を売らない動きが広がっているのです。

まず、スターバックス。これまで全米8600の店でWall Street Journal、New York Tomes、USATodayと各地の地元紙を販売していましたが、先月でやめました

コーヒーを飲みながら紙の新聞を開くという昔ながらの習慣は廃れ、今は店内のWiFiでパソコン、モバイルの画面を見るのが当たり前になったせいでしょう。

新聞販売廃止の代わりに、今月初めからWSJなど有料の新聞サイトに無料アクセスができるようにしたようです。(時間制限があります)

次に大手スーパーの動き。英国では先月末から、400店舗を展開する英国第5のAldiで新聞と雑誌を並べていたラックがなくなりました。

これを報じたPress Gazetteは「売り上げが少なくなっているので、影響は限られると判断したのだろう」と書いています。

しかし、この販売中止を伝える貼り紙を見たGuardianのコラムニストで、Daily Mirrorの元編集長は「新聞はもう必要とされていない。この決定は破壊的な上にも破壊的で、デジタル革命の別の兆候を見せている。かって、石のタブレットがあったが、今では我々はプラスチックのタブレットでメッセージを受け取る」と嘆きます。


米国ではウォルマートに次ぐ大手スーパーのKrogerが、2759の店舗から無料で入手できるフリーペーパーと雑誌のラックを今月15日までに撤去するそうです。一部ではもう実施されているよう。

「多くの出版物がデジタルに移行しており、紙製品を使う人が減っているから」とKrogerの担当者。

しかし、あちこちの店舗に置かれる部数に応じて広告代が決まるフリーペーパーにとっては、この大手チェーンの措置は死活問題。

そこでフリーペーパーの団体Association of Alternative News Mediaは「ローカルニュースを失くすな」というキャンペーンサイトを立ち上げて、みんなでKrogerのチェーン店にフリーペーパーを置いてくれるように働きかけよう、と訴えています。

ミシガン州Lansingの週刊フリーペーパーCity Pulseの発行人兼編集長はこう書いています

「Krogerに再考を促す陳情に1200人がサインし、他に電話したり手紙を書いたりしてくれていることに感謝する」「有料の日刊紙の部数が減っているのは間違いない。高くなってしまったので読者を相対的に安いデジタルに追いやる結果になっているのだ。でもフリーペーパーは違う。事実、City PulseのKrogerでのピックアップ数は2012年の週1100部が、置けなくなる直前では3100部だった。この傾向はどこでもそうだ」

まだ、Krogerからの反応はないようです。そもそも、フリーペーパーの棚を店内におくメリットは、その新聞を目当てにお客が寄ってくれることを期待してのことだったようです。(場合によっては若干の置き代収入も)

スーパーにしてみれば、英国の場合も含めて、紙よりデジタルの時代になったと見て、デッドスペースになっている新聞置き場により儲かりそうな商品を並べようということでしょうか。

そして、街中でもニューススタンドが大量に減って、新聞の一部売りの機会は減っています。

その象徴が、マサチューセッツ州ケンブリッジにあり観光名所にもなっている有名なOut of Town Newsの閉店が間近というニュース。ここでは全米の新聞と世界中の有力紙を集めて販売していましたが、今月末で閉店だそうです。

こうした環境下での一部売りの減少具合は、NiemanLabの記事によると、例えば、アイオワ州デモインのDesMoine Registerの日曜版は、2011年にニューススタンド、グローサリー、新聞Boxなどで毎週5.9万部も売れていましたが、2014年には2.8万部に、2019年2Qには1.3万部まで減りました。宅配部数の落ち込みより、ずっとひどいようです。

有力紙も例外ではありません。Washington Postの平日版は2011年に5.6万部が一部売りで捌けましたが、2014年には3万部となり、今や1.2万部止まりだそうです。

それやこれやで苦戦する米新聞業界の部数の変遷を示すインタラクティブなグラフに出会いましたので貼り付けておきます。Pew Research Centerによるものです。

[グラフを見る]

ちなみに日本の一般紙の部数は昨年で3990万部。インターネット勃興以前の6千万部台から半減以下となった米国に比べ、日本はピークの5千万部台から、まだ落ち込みは”軽微”と言えるのかも。この先はわからないけれど。

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