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池上彰氏が考える、あいちトリエンナーレ補助金「後から不交付」問題に見る“本質” 池上さんに聞いてみた。 - 池上 彰

Q 補助金の全額不交付は妥当?

「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が中止になった問題で、文化庁が補助金の全額不交付を決定しました。この判断は妥当だと思いますか?(30代・女性・アルバイト)

A 「後になって不交付を決めた」ことに本質が出ています。

 朝日新聞の報道によると、文化庁が「あいちトリエンナーレ2019」への補助金全額不交付を決めた問題で、補助金採択についての審査委員会の委員を務めていた野田邦弘・鳥取大特命教授が10月2日、文化庁に辞意を伝えたそうです。野田さんは「一度審査委員を入れて採択を決めたものを、後から不交付とするのでは審査の意味がない」と話しているそうです。

「あいちトリエンナーレ」への全額不交付が決まったのは、文化庁の文化資源活用推進事業の補助金です。公募し、外部有識者による審査委員会の審査を経て4月に採択されています。それが、いまになって不交付となったのです。

 ここに本質が出ています。文化庁は、手続きに不備があったので不交付を決めたと説明していますが、後になって不交付を決めたのは、この展示が騒ぎになったからでしょう。


国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展の1つ「表現の不自由展・その後」で展示されていた「平和の少女像」 ©時事通信社

 いったん補助金の交付が決まっても、後から取り消される可能性があるとなると、さまざまな文化事業が、文化庁の顔色を見ながら恐る恐る運営するということになりかねません。役所による「検閲」に当たる可能性もあるのです。

 今回の文化庁の非「文化」的対応で、日本には「表現の不自由」がはっきり存在していることを世界に知らせることになりました。

(池上 彰)

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