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即戦力人材を求める大人と、「マックジョブ」に拘束される大学生

先日、「私は学びたいことがあるのですが、お金が足りず、飲食店でアルバイトをしています。でも、毎月数万円のために貴重な時間を費やすのは、正直もったいなく感じているんです。親も頼れず、奨学金は取れませんでした。どうすれば良いでしょうか?」という相談を受けて、答えに詰まりました。


専門性を身につけたい大学生が、貴重な時間をいわゆる「マックジョブ」に費やさなくてはならないのは、もったいないと思いませんか?ちょっと問題提起させて頂きます。


マックジョブとは?

以前「マックジョブ」という言葉を使ったら「マックをバカにするのか」とdisられたので事前に定義を引用しておきます。

マックジョブ(McJob)とは、低賃金、待遇劣悪(長時間労働、異動転勤当然)、マニュアルに沿うだけの単調で将来性のない仕事の総称。一般に、ファーストフード店などの創意工夫を必要としない機械的な動作を繰り返す業務を指す。「マック」はハンバーガーショップのマクドナルドにちなむ。

マックジョブ – Wikipedia



「即戦力」を求める動きは加速する

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photo credit: [martin] via photo pin cc

今後、企業が新入社員を育成する余裕はなくなってくるでしょう。そうなれば、新入社員は一層の「即戦力」が求められるようになります。

スタートアップ企業などでは新入社員に「即戦力」を求めることは当然のことになっています。こうした厳しい基準が一般的な企業にも広がっていくのが、未来の就職戦線だと僕は考えています。

ちなみに経済同友会のアンケートでは、既にそうした傾向も出ているようです。「人材育成の余裕を失い、即戦力を求める採用側の傾向が浮き彫りになった(参考)」とのこと。


即戦力とは何かと問われれば、一つの答えは「高い専門性」でしょう。例えばウェブデザイン、例えばマーケティングなど、高い専門性があれば、年齢問わず、即戦力として活躍することができます。

問題は、そういった「専門性」を「マニュアルに沿うだけの単調で将来性のない仕事(「マックジョブ」)」で養えるか、ということです。


その答えは、人によって変わってくるでしょう。「マックジョブ」であっても、本人次第では「接客」という専門性を極限まで磨く人もいれば、「業務効率化」を徹底的に極める人もいるでしょう。

しかし、そういった才能はむしろ希有で、ほとんどの人は給与が安く、昇給もしない「マックジョブ」を「マックジョブ」のまま甘んじて、マニュアルに沿った仕事をすることになるでしょう。それが普通です。

また、マックジョブは得られるスキルも限定的です。例えば飲食店バイトでは、ウェブサイト作成やアプリ開発、楽器演奏といった専門性は磨くことができないでしょう。


ゆえに、僕はこれからを担う大学生の方々には、なるべく「マックジョブ」に没頭してほしくない、と勝手に考えている人間です。

もちろんそこから将来に繫がる高い専門性を磨けるのなら、マックジョブも素晴らしいとは思いますが(接客業を極めたい!とか飲食店を経営したい!とか)。


お金の問題をどう解決するか?

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photo credit: erika.tricroche via photo pin cc

マックジョブから開放された方が良いとしても、お金の問題からは逃れられません。そもそも多くの人は、可能であればバイトなんてせずに、専門的な勉強をしたり、専門的なインターンに打ち込みたいでしょう。

かくいう僕自身も学生時代は金欠で、ひたすら百貨店のレジ打ちを極めていました。その経験は、今の仕事にこれといって役立っていません。

大学生とマックジョブ云々を語るなら、お金の問題をどうするかも、同時に議論する必要があります。冒頭の学生さんの悩みに答えるためには、ここが本題になります。


パッと思いつく範囲の解決策としては


1. 学費を下げる
2. 奨学金を充実させる
3. 報酬が出る、専門的なインターンの促進
4. 専門性を磨くためのプログラムを無償・安価に提供

といった、方法が学生をマックジョブから開放し、専門性を磨けるようにする、有効な手段になのではないかと考えます。


僕は個人的に、少額ですが「ihayato.news奨学金」として、興味分野の近しい学生に資金を提供しています。返済義務はもちろんありません。ちょっとしたパトロンみたいな感じですね。

また、報酬は出せないのですが、専門性を磨くための機会(打ち合わせの同席、ディスカッションへの参加など)も積極的に提供しています。

というわけで、個人的には2と4を小さく取り組んでいます。


これからの時代を担う若者たちが、日銭を稼ぐために、多少の学びはあろうとも「マニュアルに沿うだけの単調で将来性のない仕事」に没頭しなくてはならないのは、非常にもったいないことだと僕は思います。

「自己責任だ、甘えだ、ちょっとくらいバイトしろ」と切り捨てることもできますが、一方で大人たちは「専門性」を求めていますし、それは無責任だと思うのです。

僕自身も、ともに仕事をする人には、年齢問わず専門性を求める人間なので、ズルい態度になってしまいます。


皆さんは、冒頭の学生のような相談に対して、どのような答えを出しますか?ぜひ考えてみてください。宜しければコメント欄でご意見を書き込んでみてください。


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