記事

世界選手権で初導入の体操採点支援センサー 2020年東京五輪での〝活躍〟も目指す ‐ 黒井克行 (ノンフィクション作家)

1/2

「ヨシッ! メダル間違いなしだ」

選手はガッツポーズ、応援団は大はしゃぎ……が、予断は許されない。

「エッ? 嘘(うそ)だろう……」

スポーツにおける採点競技につきまとう〝天国から地獄〟である。フェアであるはずの採点が、立場や見方の違いから物議を醸すことも少なくない。これが素早く複雑な手足の動きを判定する体操となると、瞬時に正確な評価を下すのはなかなか大変で〝審判員泣かせ〟である。例えば、採点の中で重きをおく身体の部位の角度などの判定は審判員によって多少の評価が分かれることもあり、小数点以下の得点争いに微妙な影響を及ぼしかねないのだ。

富士通が開発した体操採点支援システム(同社提供)

富士通がこの〝もどかしさ〟に世界で初めて立ち上がった。独自のレーザーセンサーを選手の身体の表面に当て、動きを三次元でとらえる。身体にセンサーを受けるためのマーカーを付けずにできるのは世界初とされ、センシングしたデータからAIで動きをデータ化し、それを採点支援に生かすことを実現したのである。

用途は2つある。その1つが「マルチアングルビュー」だ。審判員からの「あの時の足の角度だけ見たい」とのリクエストに対し、瞬時にCG化されたモデルデータが提供され、正確な判定に生かされる。もう1つは技の難度の判定を、採点規則基準を学習したAIが技の種目と成立の可否を自動採点するというものである。

「フェアにテクノロジーが生かされるのに意味があるが、審判員の能力を高め、競技力向上にも繋(つな)がる」とプロジェクトリーダーの藤原英則氏が語る。

例えば、競技大会だけでなく、トレーニングにも有効に活用できる。選手はそこから得られるデータから、課題の発見や技の改善を図る。審判員も講習会などで大会で解析された映像をチェックすることで判断力に磨きをかけるのである。こうした体操競技自体の進化は、ファン拡大につながることが見込まれる。

あわせて読みたい

「体操」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    朝日新聞が月ぎめ4400円に 27年ぶりの購読料値上げは吉と出るか、凶と出るか 

    木村正人

    06月15日 18:26

  2. 2

    選手間の感染だけでなく熱中症の死亡リスクも 東京五輪は綱渡り状態

    諌山裕

    06月15日 11:52

  3. 3

    2021年のガンダムの見せ方、それとテロリズム──『閃光のハサウェイ』

    シロクマ(はてなid;p_shirokuma)

    06月15日 08:36

  4. 4

    ワクチン接種は医療者として当然必要な条件 個人の自由を制限するのはダメなのか

    中村ゆきつぐ

    06月15日 08:23

  5. 5

    内閣不信任案提出はいいが、趣旨説明の時間が無制限というルールは止めた方がいいな

    早川忠孝

    06月15日 16:04

  6. 6

    「外食産業の真実爆弾」ウハウハのマクドナルド、崖っぷちワタミの"笑えない格差"はどこでついたか

    PRESIDENT Online

    06月15日 13:40

  7. 7

    五輪強行開催 コーツが来たりて大量虐殺の笛を吹く

    田中龍作

    06月15日 08:39

  8. 8

    コロナ禍の飲食店にとって“おひとり様”が希望の光になる理由

    女性自身

    06月15日 09:08

  9. 9

    「大規模会場予約 67% 空き」はお役所仕事の想像力欠如 ~ なぜ「高齢者」に拘り続けるのか

    近藤駿介

    06月14日 14:19

  10. 10

    田中みな実、長澤まさみ問題で考える マネージャーの劣化か時代の変化か

    NEWSポストセブン

    06月15日 08:58

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。