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「地元は今さら驚かない」関電“原発マネー”還流疑惑に若新雄純氏「日本社会のひとつの現実」


 「地元にそっぽを向かれると運営ができなくなる。そんな中で、影響力を持つ森山氏を怒らせるとリスクがある」

 記者からの「森山氏をそこまで恐れるのはなぜ?」という質問にこう答えた、関西電力の八木誠会長。2011年以降、福島原発の事故で原子力発電事業に反対する空気が形成される中、事業継続のために森山氏の“重要度”は増していったようだ。


 福井県・高浜町で1987年まで助役を務めていた森山栄治氏。森山氏を知る人によると、地元の業者の間では「天皇」と呼ばれ、「仕事を頼めばほぼ100%来る」と言われていたという。

 森山氏が力を持つようになった理由について、高浜町の福永広子元町議は「高浜町が発展していくのと同じくらい(の時期)に、森山さんを通すとうまくいくという形ができあがってきて、最終的にすごい力を持つようになったんじゃないか」と話す。また、町民からも「役場に行けばあの人(森山氏)は町長よりも口が達者。なかなか権力がある人だった。雲の上の人」という声が聞かれる。


 一方、森山氏をよく知るという人物からは否定的な意見も。高浜町議会の渡邊孝議員は「尊敬されて偉い人だと崇められて、という人ではない。世話になった、原発に入り込んだ業者にはありがたい存在かもしれないけど、一般の人は冷ややかでしょうね」と語った。

 森山氏からの金品受け取りについて、関電の岩根茂樹社長は先月27日の会見で「違法とは判断していない」と述べた。しかしその後、森山氏が関電の子会社「関電プラント」の非常勤顧問を30年以上務め、自身が顧問を務める吉田開発に1億5000万円の発注をしていたことも新たにわかった。

 一連の経緯に違法性はないのか。元東京地検特捜部の若狭勝弁護士は「考えられる犯罪としては、会社法の中にある特別賄賂罪。公務員がもらうと刑法の贈収賄になるが、会社法に規定されている贈収賄は会社役員・取締役がもらうと成立する賄賂罪の犯罪」と、現時点で違法ではないと言い切るのは問題だと指摘する。


 また、幹部らが利益を得ながら会社に損害を与えたと判断されれば特別背任罪に問われる可能性もあるというが、「不正のお願いをする際に賄賂を贈ったという時に賄賂罪が成立するわけだが、元助役が既に亡くなられているということで、不正の依頼があったかどうかという証拠がどうしても弱くなってしまう。建設会社側の供述が出てくれば特別背任の構図は浮き彫りにできる可能性があると思うが、建設会社にその辺の“スキーム”があった場合に“供述をしない・供述ができない”という事情も想定できるので、簡単に犯罪として適用できるということにはすぐにはならない」とした。

 一方、福井の若狭地方出身で慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は、高浜町で今回のような構図ができた背景として次のような見方を示す。


 「高浜は大きな産業がない本当に小さな港町で、めちゃくちゃ貧しかった。そこに原子力発電所という得体のしれないものが来る時に、どうやって地元の人たちの意見をまとめていくか。最初は反対派もたくさんいた。ただならぬやり取りがあるわけで、とはいえ町で受け入れると決めた以上はやらざるを得ず、森山元助役は清濁併せ呑む、汚い仕事もしていたのでは。反対する人にいろいろと話をしたり配るべきものを配ったりと、当時はまだズブズブの関係もあったはずで、その中で圧倒的権力を持っているいわば長老。関電も言う『不適切』という状況の中で、原子力発電所が田舎の町にできて電気が供給されたという、日本社会のひとつの現実」

 原発ができたことによって、町は大きく変化したという。「高校を中退して普通には就職できないような若者も、原発の『定期点検』の仕事があることでそこそこお金を稼げるというのは大声では言えないが、当然地元ではわかっていること。僕は高校に直下式ボットン便所が付いている汽車で通っていたが、それが電車になったのも、光回線が繋がったのも、テレビで全てのチャンネルが映るようになったのも関西電力の力が大きい。地元の人たちは少なからずその恩恵を受けつつ、助役から末端の人まで清濁併せ呑んで生活していたという側面はあったと思う。地元の人はこのニュースを見て今更驚きはしないだろう」と指摘。


 朝日新聞によれば、関電プラントから吉田開発とメンテナンス会社に3年間で計113億円の工事発注があり、いずれの会社にも森山氏が関わっていた。また、吉田開発から森山氏に裏金3億円も渡っていたという。こうした資金が回る構図に若新氏は「回せるお金がどこからきているかというと、みんなが払っている電気代から。原発は、とにかく儲かるビジネス。関電は原発で、めちゃくちゃ儲かった。僕らも電気を使いたいから言い値で電気代を払い、深く考えてこなかったのでは。関電が襟を正して金品を受け取らなければよかったんだろうけど、だれもその現実に切り込まず、関係が続いたんだと思う」と自身の考えを語った。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
 

映像:元助役からの金品は「関係悪化を恐れていったん預かった」

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