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『まんが朝鮮の歴史』『韓国の小学校歴史教科書』

 日韓関係がアレだというのに、韓国(朝鮮半島)の歴史のこと、なんも知らんなあ……と気づいた。

 少し勉強を、と思ったものの、知らない地名や人物が次々出てくるともういけない。

 こういうときは、自分が日本史でそうだったように、学習マンガでまず「物語&イメージ」を頭の中につくるといいかもね! と思い立つ。俺が日本史に興味を持ったのはカゴ直利の集英社版だった。


 いや、ぼくにとって「歴史を学ぶきっかけどころ」か、ぼくの頭の中の日本史知識はほとんどこの水準から更新されて無え…。

 物事を知ろうと思う時に子ども向けの本を活用するのは本当にいいよ。前にぼくもそう書いたことあるけど、最近読んでいた、ちゃくま『もっと簡単に暮らせ』(大和書房)でも(もっと詳しく)似たようなことを言っていた。

……検索を使わずに短時間で概要を把握する方法が必要になります。それは子供向けの本を調べることです。……子供向けの本は、要点がわかりやすくまとめられています。また、一方の見解に偏らない表現になっています。文字が大きく、イラストや図解が多いので、知らないことを知るにはちょうどよいのです。(同書p.32-33)

 というわけで韓国の歴史を描いた学習マンガを探したが、なかなかない。結局、すでに品切れになっている『まんが朝鮮の歴史』(ポプラ社、全16巻)を読むことにした。*1

朝鮮両班社会の発展 (まんが 朝鮮の歴史)
作者: 卓永昊,李キサイ,安宇植
出版社/メーカー: ポプラ社
発売日: 1992/04
メディア: 単行本
購入: 1人 クリック: 1回
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原始社会から国家の誕生へ (まんが 朝鮮の歴史)
作者: 金世泳,李キサイ,安宇植
出版社/メーカー: ポプラ社
発売日: 1992/04
メディア: 単行本
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 しかし全16巻である。

 売ってないので図書館で借りたが、重くて一度に借りられない。というわけで、今8巻まで読んでいる。ようやく李氏朝鮮である。

 まだ全部読んでいないので、中間での雑感めいたことを少しだけメモっておく。

・カゴ直利もそうだったからしょうがないんだけど、こちらも顔が似ているような歴史上の人物の描き方がすごく多いなと思った。「明君」っぽいのが出てくるときは、◉で目を描いていて「クール」さを表しているのが面白い。
日本のカゴ直利の場合は、そういう人物の場合、昔の手塚マンガっぽく「純粋」な感じの瞳を描くよね(下図参照)。

[画像をブログで見る]

・民衆の苦労の話がすごく多いな。特に、奴婢。これが社会を支えているという描写・主張が実に印象的。古代における「総体的奴隷制」を実感する。

・韓国の悪口としてよくあるけども、まあ、でもこれ読むと古代から中世にかけても「改革者が実権を握って次第に堕落する」というのが結構あるよね。

・韓国(朝鮮半島)というのは、北方からくる異民族にさんざん苦労させられたんだな。

・高麗って高句麗を意識してつくられた国家なんだなあ。

・倭寇は横暴の限りをつくした、という描かれ方。北方異民族の侵入とはテイストが違って、そうですな、暴走族とかヤクザの激しいやつって感じ。いや、今世の中で喧伝されている「IS」のイメージかな。

・古代からずっと社会と政治が(李氏朝鮮の世宗の頃までは)めっちゃ不安定の連続のような気がしてしまうのだが、日本の歴史も、江戸時代になるまではけっこうそんな感じなのかなと思い直す。

・韓国の小学校の教科書には出てこないけど、こちらの学習マンガには、元とともに高麗が日本に侵攻した話は出てくる。

・確かに王室がこんなに変わったり、すぐ臣下が王の地位を脅かしたりするんだけど、異民族侵入で国家そのものが危機に瀕するっていう理由もあるんじゃないかなと思った。日本って、やはり海に囲まれているがゆえに、異民族侵入がなくて、国家そのものの土台はあまり揺るがないよね。

・古朝鮮→三国時代→統一新羅・渤海→後三国時代→高麗→李氏朝鮮という簡単な見取り図を頭の中に得た。

 あわせて、韓国の小学校の歴史教科書はないものかと思い、探したらあった。こっちは中学校の教科書といっしょに購入した。

韓国の小学校歴史教科書 (世界の教科書シリーズ)
作者: 三橋広夫
出版社/メーカー: 明石書店
発売日: 2007/10/02
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韓国の中学校歴史教科書 (世界の教科書シリーズ)
作者: 三橋広夫
出版社/メーカー: 明石書店
発売日: 2005/08/17
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 こちら(小学校教科書)もまだ李氏朝鮮のところまでしか読んでいないが、以下同様に雑感をメモしておく。

・檀君神話から古朝鮮の建国に至るまでが史実なのか神話なのかよくわからない書き方になっている。
そして、「王の下にたくさんの官職があり、民衆を治める8カ条もあった」(小学校歴史教科書p.14)とあるんだけど、そのあとに馬韓・弁韓・辰韓ができたとして、「これらの国がおきるころにはすでに稲作がはじまり」(同前p.15)って変じゃないの? それって、縄文時代にあたるころに日本神話で非実在の天皇の統治が始まったと書いてるのに似てると思うんだけど。

あと、新羅や百済の始祖が卵から生まれた話も書いてあって、それも真実かどうかわからないように書いてある。

・高麗時代の儒教のことを書いてあるところで「今日まで生きている伝統」として先祖供養とかを書いていたり、やはり高麗時代の政治改革案「時務二十八条」についても「この中から今日でも重要だと考えられる条項を探し、その理由について話し合ってみよう」とかいう課題が出されていたりする。これって、教育勅語は今日でも有効なものがある、とか、そういう超時代的な教え方じゃないの?

・副読本(『社会科探求』)では、新羅時代の将軍である張保皐について「張保皐の精神を受けついで私たちの海を守っているわが海軍」(同前p.169)とか書いちゃうのに驚く。韓国だけじゃなくて、これって世界のいろんな国で当たり前にやられているナショナリズム教育なのだろうか。

・同じように、副読本で李成桂について「このような人柄によって、……民心を得ることができた」(p.185)とか、「このように訓民正音には民衆を愛する世宗大王の心がこめられている」(p.195)とか、勝手に言っちゃっていいわけ? と疑問に思った。

・全体的に「民族の物語」として描こうという意図を強く感じた。

 とはいえ、これがまず自分の韓国の歴史を学ぶ際の「基準の物差し」になるだろう。面白がりながら読んでいる。とにかく、高麗と高句麗の区別もあまりつかないような人間だったから、こういう基本的なことが知りたいのである。

*1:他にも『マンガ ものがたり韓国史』、『漫画韓国の歴史』がヒットした。

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