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アベ叩きで盛り上がるよりリベラルが本来やるべきこと

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前回のブログ記事で、単に「アベ叩きの陰謀論に参加して溜飲を下げる」だけでなく、リベラルメディアが本来やるべきはずのこと(でも現状沈黙していること)について書きました。

その内容は、
「権力をチェックする役割」はもちろん大事なんですが、同時に「現政権がかわりに取り入れるべき政策」について、自分たちで用意し、それを批評してブラッシュアップし、まとめあげていくこと自体も、リベラルメディアのもう一つの責任
という風にまとめられるかと思います。

最近あちこちで書いている例ですが、私は経営コンサルティングのかたわら、「文通を通じて個人の人生の戦略を考える」みたいな仕事もしてるんですが、こないだまで、某巨大野党の国会議員さんがクライアントだったことがあるんですよね。

脱原発について彼が党でまとめたペーパーは、単に「脱原発できていないのは電力業界とアベ政権の陰謀だ!」的に騒ぐだけに終わらず。実行段階における色んな懸念点や問題点について微に入り細に入り検討されていて、「こういうのちゃんとあるんじゃん!そうそう、こういう話を進めていかなくちゃ脱原発なんてできないよ!」と思ったんですが、そういうのは「妥協だ!」とか言って党の中で潰され、マスコミでも扱われず・・・・結局その党は解体されて延々と1割ぐらいの支持率を複数政党で争い続けているのは皆さんの知るところです。

リベラルなマスコミの責務は彼が作ったそのペーパーみたいなものをちゃんと引き上げることであるはずなんですが、それをせずに変な陰謀論を振り回したり「敵」を凄い下に見て冷笑したり罵倒したりしかしてない感じがするところが、今の時代の「リベラル冬の時代」的な苦境の元凶ではないでしょうか。

別に「アベ側」にいる人たちに膝を屈して従えとかそういう話では全然ないわけですが、「単に溜飲を下げるためのアジテーション」ばかりをスター化して「政権批判」に100%突っ込んでいるエネルギーの半分でいいから、「自分たち側の理想の実現プロセス」について、地味な議論をしている人たちをちゃんと引き上げ、スター化し、そしてちゃんと自分たち内部で検証して実効性のあるものに仕上げていく、そういう仕事こそが、今リベラルメディアには求められているはずです。

メディア関係者以外の一市民が取り組むべきこと

前回の記事はリベラルメディア関係者への大事なアピールだったわけですが、リベラルメディアにも色々な事情がありますから、なかなかちゃんと「理想」を実現するための動きに本腰を入れづらいということもあるでしょう。

では、それを取り巻く一市民としての私たちが、できることはなんでしょうか?

それは、

「単なる陰謀論」で盛り上がっている場があったら、そこにちゃんと「外部へのコミュニケーション」が成立するような意見を投げかける

ということです。

前回も言ったように、たとえば
・はてしない「消費増税・法人税サゲ」に批判的な層は実はかなりいるが、彼らはあまりに「懲罰的」なまでに法人税を上げてバランスが崩れ、結局経済を冷やしてしまうことを恐れている

・たとえばソフトバンク社が高度な節税方法を使って法人税をかなり節税してしまっていることを問題視している人はかなりいるが、彼らはあまりに過剰な取り立てルールを作ることで実際上の問題が起きることを恐れている

・たとえばアベ政権がアメリカの戦闘機を買いすぎだ・・・と思っている層はかなりいるが、ちゃんと隣国との拮抗関係を維持できる程度の軍備を維持することは平和のために不可避に重要だというところまで否定されるのは怖いと思っている
という状況の中で、「トクベツな良心を持った目覚めたる私たち以外の、特にアベなんかを支持する愚民どもが、いかにバカでアホで自分たちのことしか考えてないカスか」みたいな前提でナルシスティックに吠えていると気分はいいかもしれませんが、1割ぐらいしかいない野党支持者の「外側」へのコミュニケーションが途絶してしまって余計に自分たちの意見を実現に持っていくことができなくなります。

一方で、「相手側の懸念」もちゃんと理解した上で相互コミュニケーションが成り立つように持っていけば、より広い共有基盤が出来上がって実現まで進んでいける可能性は高い。

右の扇動メディアあれば左の扇動メディアもあるのは仕方ないとして、本来「リベラルメディア」がやるべきことはこういうこと↑であるはずですが、これがなかなか今の時代信頼できなかったりする。

では一市民としてやるべきことは、そういう「陰謀論が盛り上がってる」ところに「異論」をちゃんと挟むってことです。

国全体の合意形成グラフを凸型化する


以下の図は来年1月に出る私の新刊「みんなで豊かになる社会はどうすれば実現するのか?」からの図ですが、縦軸が「その位置にある意見の合意形成のされやすさ」、そして横軸が、左に行けばいくほど「改革派な方向に過激」、右に行けば行くほど「保守派な方向に過激」であることを現しています。

まず、今の日本の合意形成グラフは以下のようになっています(というか中国のような政治体制の国以外、民主主義社会なら世界中どこの国でもほぼそうなってしまっているんですが)。


右でも左でもあまりに過激すぎるような意見は、合意される度合いが少なくなるので、グラフの両側はどんどん小さくなっていく形になっている。そこはいい。

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