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日本人が「次の国際テロ」を予測して避ける方法

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日本人や日本企業もたびたび巻き込まれてきた、世界各地での過激派によるテロ。今なおその脅威が去らないなか、国際安全保障やテロ情勢に詳しい和田大樹氏は、「テロに巻き込まれるのを避ける方法はある」という。その方法とは――。

2019年4月、スリランカの同時多発テロで徹底的に破壊された、西南部の都市ネゴンボの聖セバスティアン教会。事件の前、スリランカ情報当局はインド当局から、スリランカの過激派がインド南部のIS系組織と関係を構築したとの情報を得ていた。(2019年4月22日) - 写真=ロイター/アフロ

■イスラム過激派は「9.11以後」に1.8倍に増加

9.11同時多発テロから20年の歳月が流れようとしている。この間に、世界のテロ情勢は大きく変化した。

アルカイダの台頭(厳密には1988年だが)、アフガニスタン戦争、イラク戦争、いわゆるホームグローンテロの台頭、アルカイダの拡散、オサマ・ビンラディンの殺害、イスラム国(IS)の誕生、ISの領域支配の崩壊などと情勢は変化し、そして、最近になって次世代のアルカイダを担うとされたハムザ・ビンラディンの死亡が報道された。一方、近年ではこのようなイスラム過激派と同じように、暴力的な白人至上主義のグローバル化という脅威が大きな問題となっている。

現在、国際的なテロの脅威は、米中対立や北朝鮮ほど日本国内では大きな話題になっておらず、ISの最盛期のように、テロが世界で猛威を振るっているわけではない。しかし、それが何か不気味な形で残っていることは確かである。

例えば、米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は去年11月、アルカイダやISなどの戦闘員は、今なお中東やアフリカ、南アジア、東南アジアなど各地に合計で10万~23万人存在し、国別では、シリアが4万3650人~7万550人と最も多く、アフガニスタンに2万7000人~6万4060人、パキスタンに1万7900人~3万9540人、イラクに1万~1万5000人、ナイジェリアに3450人~6900人いると発表した。また、そのようなイスラム過激派は世界に67組織存在し、9.11テロが発生した2001年から約1.8倍に増えていると警鐘を鳴らした。

■日本人は断続的にテロの被害に遭っている

海外に進出する日系企業と在留邦人の数が増加の一途を辿る中、日本人も繰り返しテロの被害に遭ってきた。アルジェリア・イナメナス天然ガス関連施設襲撃テロ(2013年1月、邦人10名死亡)、チュニジア・バルドー博物館襲撃テロ(2015年3月、邦人3人死亡)、バングラデシュ・ダッカレストラン襲撃テロ(2016年7月、邦人7人死亡)、スリランカ同時多発テロ(2019年4月、邦人1人死亡)など、断続的な被害が続いている。

さらに、スリランカ同時多発テロ後に、交通機関の混乱だけでなく、非常事態宣言や夜間外出禁止令の発令、インターネットの一時的遮断、宗教対立の激化などが生じたように、テロによって現地邦人の早期帰国や避難、現地での日常生活などに影響が出る、いわゆる“二次的被害”に巻き込まれる場合もある。テロによって身体的な被害を遭う以上に、その後の社会混乱に巻き込まれる可能性の方が、むしろ圧倒的に高いともいえる。

現在、筆者は、アルカイダやイスラム国が実際の組織として以上に、暴力的な過激思想として機能し、その影響や刺激を受ける組織や個人が、依然として世界各地に存在することを危惧している。スリランカの事件も証明するように、ネットなどで拡散する暴力的な過激思想に、誰が影響や刺激を受け、いつどこでそれがテロという形で現れても決して不思議ではない。まさに、デジタルテロの時代における地政学リスクともいえる。

このような状況では、今後も、日系企業や邦人がテロに巻き込まれるリスクがある。いかにそのリスクを回避するかが重要となるが、そもそもテロを事前に予測することは可能なのか。多くの方は不可能だと思うかも知れないが、筆者は完全に不可能だとは考えていない。以下、世の中で発生する暴力別に、その予測可能性について探ってみたい。

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