- 2019年10月02日 18:05
店主が客の前でスタッフを激しく罵倒 飲食店での厳しい叱責がダメな理由
1/2チーム力を高める
先日行われた、外食の未来を考えるカンファレンス「FOODIT TOKYO 2019」で、ミシュランガイドにおいて3つ星に輝く「HAJIME」のオーナーシェフ米田肇氏によるセッションが行われました。
米田氏は、2019年10月1日に放送されるNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」にも出演する、今のガストロノミーを代表する世界的な料理人です。
セッションのテーマは<CookTech最新事情 ~「調理×テクノロジー」はキッチンの現場をどう変える?~>。米田氏は科学的調理や飲食店の運営から、外食産業のあり方について深みのある話を展開していました。
その中で特に「スタッフにはそれぞれよいところがある」「適材適所で補い合えばいい」「チーム力を強めていって、店の質を高める」と語っていたことが印象に残っています。
飲食店での説教
スタッフを大切にし、チームとしての組織力を高めるという、米田氏の考え方から、少し前に配信されたフリーライター宮崎智之氏の記事を思い出しました。
筆者が、この世で2番目くらいに嫌いなものがある。それは、「お客の前で店員に説教する飲食店」だ。不快極まりないこうした店舗は、平成の世が終わろうとしている現在でも、根強く存在している。なぜか、いつになっても民度が向上しない店がある。
出典:お客の前で店主が店員を罵倒する飲食店、どう思う?
以上の書き出しから始まり、客の前で説教する飲食店では、不快な気持ちになったり、居心地が悪くなったりすると述べています。
店員を叱ったのは、客のためでも店員の教育のためでもなく、自分がスッキリしたいためである。それが透けてみえるからこそ、「お客の前で店員に説教する飲食店」は嫌われるのだ。ブラック店舗は、店員だけではなく、客に対してもブラックなのである。
出典:お客の前で店主が店員を罵倒する飲食店、どう思う?
最後には、客の前で説教する飲食店は、スタッフに対してだけではなく、客に対してもブラックであると結んでいました。
記事のケースではラーメン店が舞台となっていましたが、ファミリーレストランやファインダイニングであったとしても、ホテルのレストランやラウンジであったとしても同じことでしょう。
飲食店におけるスタッフへの著しい叱責が及ぼす影響について、飲食店自身、関係業者、客について、それぞれ考察したいと思います。
飲食店に及ぼす影響
まず、その飲食店に及ぼす影響を考えてみましょう。
度を越した叱責は、キッチンスタッフの調理パフォーマンスを損ねたり、サービススタッフのホスピタリティの低下を招いたりする可能性があります。
叱責のショックにより、キッチンスタッフであれば集中力を欠き、適切な温度や時間で調理できなかったり、手先の細かい作業を完璧に仕上げられなかったりするかもしれません。
調理は段取りや手順がとても重要ですが、平常心でいられなければ間違ってしまう可能性があるでしょう。
失敗を恐れるあまり、腕があまり動かなくなってさらに失敗しやすくなるなど、悪循環に陥ることもあります。
サービススタッフであれば、ゲストの前に出た時に、叱責された動揺が現れてしまい、表情や動作が硬くなったり、料理の説明を適切にできなかったり、気の利いた受け答えができなかったりするかもしれません。
また、オーナーシェフから厳しすぎる叱責を受けたのであれば、オーナーシェフが考えて作った料理を、心の底からゲストに勧めることが心情的に難しくなるのではないでしょうか。
ソムリエであれば、鼻や舌先に影響を受けて、正しくワインを評価できなかったり、気分が落ち込むことによって、ゲストに最適なワインをチョイスできなかったりすることもあります。
直接叱責を受けたスタッフだけではなく、他のスタッフにも影響があるでしょう。全体的にスタッフのモチベーションが低減し、職場の雰囲気が悪くなります。
厳しすぎる叱責を受け続けると、スタッフは退職する可能性が高くなるでしょう。勤めている間は、その飲食店の文句や愚痴を外に向けていうことは憚られるかもしれませんが、辞めてしまえば、気遣う必要もなくなります。
退職したスタッフが、これまで受けてきたひどい扱いを周囲に話せば、パワハラやセクハラなどネガティブな事象は伝播するのが早いだけに、業界内の噂として知られてしまうことでしょう。
ただでさえ人材確保が難しい時代であるだけに、働きにくい職場であると認識されてしまうのは、飲食店にとって大きなデメリットになります。



