- 2019年10月02日 15:06
外国人材を受け入れるなら、「違い」に寛容で、太っ腹な日本人であるべき - 第98回田村耕太郎氏(後編)
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日本が元気でいるためには、外国人の助けも必要
田村 海外にいて面白いなと思うのは、日本以外は「ビジネスは結果がすべて」ということです。日本でよく言う「態度が悪い」というのは、英語などの外国語に訳せないんですね。
上司の前で野球帽をかぶったままだったり、ガムを噛みながら話したりなんて、日本では考えられないことです。日本だったら確実に「なんだ、その態度は?」と叱られますよね。ビジネス以前の問題です。
でも、海外ではビジネスは結果がすべて。態度が悪くても結果を出していればOKなんです。
みんなの介護 確かに外見だけきちんとしていても、仕事ができなければ通用しませんね。
田村 とても「日本的」と言えますが、これからは国際化がさらに進んで、日本人が日本的だと思うものは変わっていくでしょう。
そもそも江戸時代や明治時代の日本と今の日本は全然違います。これからは、それ以上の違いが生まれてくる。「日本的」といわれるものが、そうでなくなってくるでしょう。
もちろん日本の良いところは今もたくさんあります。海外にいると、日本がとても素晴らしい国だと改めてわかります。
悲観的な議論が目立ちますが、日本国内には世界で勝負できるトップクラスの技術を持った会社がたくさんあります。日本という国境線の中だけで考えずに、たくさんの人材や企業に海外進出して欲しいですね。国境線の中で発想することは政治家や官僚に任せておけば良いんです。
欧米だけでなくアジアの企業でも、スタートアップから「県境」をまたぐ感覚で「国境」をまたいでいる企業や民間人はたくさん存在しています。
とはいえ、何でもかんでも「日本すごい」と自画自賛するのではなくて、外国の力を借りて補い合える社会が理想です。長所は短所であり、短所は長所でもあるんです。
日本は、技術はあっても少子高齢化で先がないと落ち込む方もいらっしゃいますが、これだけアジアが巨大で成長しているのですから、日本という国境内だけの常識に縛られずに、アジアの一員としてアジアの力を活かせば日本はまだまだ光り輝くことができると思います。
日本が元気でいるためには、外国人の助けも必要なのです。
自助の国であるシンガポールと比べれば、日本はまだゆとりのある国
みんなの介護 成長するアジア諸国の中でも突出しているのがシンガポールですね。
田村 当然ながらシンガポールも多くの問題を抱えています。国内市場は小規模で基本的に自助の国であり、日本のような若い世代で支える年金や充実した生活保護など社会保障の制度もありません。
高齢化時代にシンガポールの社会保障制度も変革を余儀なくされるでしょう。一方で小さな政府だからこそ低い税負担でやっていけて、それがシンガポールの国際競争力になっていますが、果たして持続できるでしょうか?
また、勃興する隣国のメガシティと都市国家シンガポールの競争も激化するでしょう。
みんなの介護 日本から見るだけではわからない課題がシンガポールにもあるのですね。
田村 そうですね。シンガポール社会というものは、所得格差も大きくて、自分の生活に一生懸命だから、他人のことを気にしている余裕がないんです。
日本経済は縮小しているとはいっても、ある意味ではまだ良い社会で、ゆとりがあります。だから他人が気になるのかもしれませんね。
何事も“いいとこどり”はできません。日本の長所は短所であり、海外諸国の長所も短所です。「日本の負け」「海外の勝ち」などという二者択一ではないのです。WIN-WINでいけるように、広く世界を見ていただきたいです。
みんなの介護 そういう広い視野が持てないと、日本はますます孤立してしまいそうです。
田村 でも、これは日本が変わるチャンスでもあります。日本が良い方向に変化すればいいのです。
日本人が、自分たちの「狭量な常識」の外の人たちや意見に対して寛容になれば、「日本発」で世界に広がる新たなサービスやプロダクトが生まれる可能性があります。
日本人が選ばなくても、これからはさらに日本の中にアジアが入ってきて、日本はアジア化していきます。
そのときに、その変化を前向きに受け入れられれば、世界最大市場のアジアに広がる「日本発のビジネス」が生まれるでしょう。



