- 2019年10月02日 12:50
自分の人生を主体的に生きるためには、まず「自分自身」として存在すること - 第98回田村耕太郎氏(前編)
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すべて「遅すぎる」ことはない
みんなの介護 自分で考えて選ばないまま大人になってしまうと、そういうピンチに対応できるかどうかは不安ですね。
田村 そうです。では、「好きなこと」を仕事にすればいいのでしょうか。実は好きなら良いとか悪いとかの問題でもないと思うんです。
その仕事によって喜びを感じられるかどうか、ということなんですね。
たとえビジネスで大成功しても、その人が本当に自分が喜びを感じる仕事でなければ、深い喜びを持ち続けることができません。実際にそういう成功者にもたくさん会ってきました。
みんなの介護 大人になってから、急に自分らしく生きるのは難しそうです…。
田村 何ごとも遅すぎることはないと思いますし、今までやってこられたことも全部がムダではないでしょう。
要は、残念な結果であろうが、不本意な思いをしようが、結局は自分がそれをどう生かしていくかということです。
私自身も組織を自ら出たり、追い出されたりして、何度も途方に暮れてきました。そのたびに自分と向き合わざるを得ず、なんとか方策を見つけられてきたかなあという感じです。
いろんな世界を見てきて、いいことも残念なこともありましたが、それらがあったから、今の自分があるという感じです。
みんなの介護 田村さんは大学院、留学経験をされてから山一證券に入社され、その後は新聞社社長、参議院議員、研究者など多くのお仕事を経験されていますね。
田村 私が学生の頃は景気も良かったので、大学を卒業してすぐに就職しなくても良かった面もあります。いわゆる「モラトリアム世代」でした。
いろいろな業界のいろいろな仕事を通じて、やはり英語はできたほうが良いと思いましたね。英語も勉強するのに遅すぎることはないですよ。何歳から始めてもうまくなる人はいますし、最近では会話アプリなどテクノロジーでカバーできることもあります。
何かを始めるのは遅くても良いのですが、若いうちにいろいろ着手したほうが良いとは思います。
そもそも人生とは、不条理そのものといえます。頑張ったら評価されるフェアな世の中であってほしいのですが、残念ながら、ほとんどのことは思い通りにいきません。人生は、苦しみの方が圧倒的に多いと思います。
この現実を「前提」として受け入れるには、若いときのほうが良いでしょう。体力があって、考え方にも柔軟性があるうちに世界の流れや不条理を知り、自分ととことん向き合ってください。
それから、「自分なら何ができるか」「どうやったら他人様の役に立てるか」などを考えていきましょう。
みんなの介護 ベストセラー『頭に来てもアホとは戦うな―人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法』では、組織の不条理の象徴のような「アホ」への対処法を解説されていますね。
田村 あの本は、実は発売から4年以上経ってから売れたんです。家族とシンガポールに行ってから売れたので、実感が全然なかったですね。
出した時点では時代的に早かったようで、しばらく経ってから売り上げがじわじわと伸びだしたのです。
本は、今でも毎日約200種類も出版されているそうで、その中で4年も生き残るのは珍しいですよね。それだけ理不尽で窮屈な時代になっていることでしょうね。
みんなの介護 ご著書はテレビドラマ化もされましたが、「アホ」を「ストーカー型」「工作員型」「パワハラ型」などに分類して解説されていて興味深かったです。
田村 私自身、こういうアホにかなり振り回されてきましたから(笑)。自分もアホでしたし(笑)。
ただ、何ごとも気の持ちようです。不条理の中にも少しだけ思い通りになったり、素晴らしい人に出会えたりすることもあります。
人生の意義とは、こうしたささやかな幸せに深く感動できることなのだと思います。



