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大飯原発再稼働について

いよいよ大飯原発再稼働に向けての「政治判断」がなされようとしています。

みんなの党は一貫して「脱原発」を掲げ、私も日々国民の皆さんに訴えておりますが、最終的な「脱原発」に至るまでの間、原子力発電所の再稼働に何が何でも反対という立場ではありません。みんなの党は、再稼働にあたっては新たな基準に基づいた安全性の確認を徹底的に行い、情報開示をした上で国民投票を行うべきとの考えですが、それをおいても、今回の大飯原発の再稼働については、以下の観点から拙速と言わざるを得ず、政治に対する国民の皆さんの不信感が一層高まってしまうことを大いに危惧しています。

大飯原発再稼働にあたって、私が考えている問題点を一度きちんと整理しておきたいと思います。

1.福島第一原発の事故原因はいまだにわかっていない

現在、国会で事故調査委員会が開かれており、6月末に報告書を提出すべく活動中であり、事故原因の検証は終了していません。津波で全電源が喪失したことによりメルトダウンに至ったという説が一般的ですが、津波が来る前の地震発生段階で原子炉につながっている各種のパイプが損傷を受けていたことが原因と指摘する専門家もおり、メルトダウンに至った原因そのものが未だに特定されていません。事故原因がわかっていなのですから、政府がいくら「東日本大震災と同規模程度の地震や津波が来ても大丈夫」といっても信用できません。

2.現行のストレステストでは不十分

政府は、ストレステストの一次評価結果をもって、再稼働は安全上問題ないとしていますが、そもそも事故原因が未だに特定されていない中、東日本大震災と同じ震度や津波が来ても大丈夫と何故断言できるのか理解に苦しみます。原子力安全委員会の斑目委員長自らが、「総合的な安全審査の観点からは、一次評価だけでは不十分」と発言をしているにもかかわらず、政府は全く耳を傾けません。過去の地震の何倍に堪えられるという考えは日本固有の考えであり、何万年に1回起こるかもしれない地震に対応するといったような確率論が世界標準です。アメリカでは風速130mのハリケーンを前提としており、ハリケーンで車や建物が建屋を直撃しても耐えられるというような基準を作り、後から追加された基準も過去にさかのぼって適用するというバックフィット方式を採用しています。

3.中長期的なエネルギー政策が未だに策定されていない

政府は今夏にエネルギー基本計画を策定するとしています。国会での事故調査委員会の報告書を待ってということなのでしょう。野田総理は「脱原発」を口にしていますが、肝心の民主党は「脱原発」なのか「原発容認」なのかについての方針を決定していません。これは自民党にも言えることです。自民党は、再生可能エネルギーの推進状況等を見ながら10年以内に決めるなどとと堂々と説明をしています。政治が中長期的な方針を決めて、そこに向けて政策を立案していくべきところを、手なりの進捗を見守るだけというのは如何にもお粗末であり、問題を先送りし、脱原発の世論が収まるのを待とうという、「原子力ムラ」への配慮が色濃くにじみ出ていると言われても仕方ありません。

本来、中長期的なエネルギー政策をきちんと策定し、将来の脱原発への道筋、工程表をきちんと国民に示した上で、原発の再稼働の位置づけをはっきりさせるということが必要です。使用済み核燃料の最終処分や核燃料再処理システム見直し・中止等についての方針も示す必要があります。そうしたプロセスをきちんと採らないから、国民の目には「再稼働ありき」「場当たり的な対応」と映ることになってしまうのではないでしょうか。みんなの党は昨年7月の段階で、脱原発、電力自由化に向けてのシナリオ、工程表を策定し、発表しています。

4.電力供給不足への対応がこの1年間何もなされてこなかった

関西電力は国内の中で原子力依存率の高い会社であることは分かっていたはずです。震災後、政府は東京電力に対して、通常3年ほどかかる環境アセスメントを免除するという特例を適用し、結果、東京電力は事故後にすでに何か所も発電設備を新設しています。7月には最初の増設発電所が稼働していますので、数か月で新設できたということになります。これが今夏、東京が電力供給不足にならない大きな理由の1つです。何故政府は、こうした措置を、事故を起こした東京電力には認め、他の電力会社あるいは東京ガスといった他の発電事業者には適用しなかったのでしょうか。現行法の解釈では実施できないということであれば、正に国会は立法府なのですから立法措置を講じればよいだけです。みんなの党はこれまでにも国会でこの点を何度も指摘してきています。

何も対応を行わないで、夏を迎える直前の、いわば「時間切れ」になってから供給が足りないと大騒ぎをして原発再稼働しか選択肢がないという状況にしたのは、まさに政府の無策ゆえではないでしょうか。

5.何故、再稼働するのが「大飯原発」なのか説明がなされていない

電力供給が足りないとして、何故再稼働するのが大飯原発なのかということへの説明も不足しているのではないでしょうか。たまたまストレステストの一次評価結果報告が一番先というだけでは、国民の不安は解消されません。免震棟の設備もなく、十分な防潮堤もない大飯原発を再稼働させる理由について納得できる説明はありません。日本海にもプレートの境界があるのではないかと指摘する学者もおり、日本海にかつて津波が襲ったという研究もなされています。また技術の進歩により、新たな断層もどんどんと見つかっており、大飯原発は断層の上に立っていることを指摘する方もいます。一時的な電力不足のために再稼働を行うのであれば、50基ある原子力発電所の中で、一番安全上の対応が施されている発電所から再稼働をさせるというやり方にするべきなのではないでしょうか。

6.再稼働が電力供給不足であるのに、期間限定の再稼働ではない

政府は今夏の関西地方の電力供給不足による計画停電をちらつかせることにより、地元の経済界を巻き込んで再稼働ムードを醸成しています。それであれば、当然再稼働は今夏の供給不足に対する一時的な緊急避難的な処置であるべきです。橋下大阪市長もこの点を主張していますが、まさにその通りです。先にも述べた環境アセス免除特例を早急に関電にも適用して、数か月後に新たな発電設備が整った段階で原発はいったん停止するべきです。

政府が、今回の再稼働はあくまで「安全上問題がない」ということを理由にしていますので、こうした一時的な再稼働という立場をとっていませんし、地元も一時的な再稼働では無いうことを約束しろと政府にせまっています。建前主義は一旦横において、国民が納得できる政治判断を今こそ行うべきです。

7.いざという時の対応が整っているとは思えない

政府は東日本大震災と同じ規模の地震や津波が来ても大飯原発はそれに耐えられるとしています。仮にそうだとして、では一旦事故が起こってしまった場合の政府や電力会社の対応は事故前と比較して何か改善されたのでしょうか。今なお多くの作業員の方が福島原発の対応に追われている中、更に違う場所で同じような事故が発生してしまった場合に、対応にあたる人材は確保できるのでしょうか。SPEEDIはどう活用されるのでしょうか。地域の防災体制は策定されているのでしょうか。まったく機能しなかったオフサイトセンターの機能はどう改善されたのでしょうか。シビアアクシデントに対するハード面のみならず、ソフト面での体制がきちんと確立されているとは言えないのではないでしょうか。副大臣が現地に常駐して運転状況をモニタリングするなどという対応を国民は期待していません。

 

原発の再稼働には国民の納得が必要です。至近の世論調査でも、再稼働に反対という方が過半数を占め、賛成意見を大きく上回っています。こうした国民の声を真摯に受け止めて、少しでも多くの方が納得できる、納得できなくても理解をすることはできるやり方をしていくことが肝要であると考えます。総理は、「再稼働」に政治判断を行うのではなく、国民への丁寧な説明、国民が納得できるプロセスにこそ「政治判断」を行って頂きたいと思います。 

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