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「史上最強の笑いはシモネタ」テレビに出られずとも芸風を貫き通す地下芸人の生き様

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「女王の教室」プロデュースが代表作の監督

「東京アディオス」

この、呆れるほどパンキッシュで切なくてバカげたカルトフィルムを作ってしまったのは大塚恭司監督。現在50代後半。昨年まで日本テレビに在籍し、ブームを起こした『Mr.マリック超魔術シリーズ』、天海祐希主演で話題となったドラマ『女王の教室』などのプロデュースが代表作という。

民放キー局で制作に身を置くということは、視聴率を追い求める終わらないレースに身を置くことだ。高視聴率を獲得した際の勝者の恍惚と、低視聴率に見捨てられた際の敗者の慚愧と、その両方を行き来することになる。

そういう戦場とは別のフィールドで、組織とマーケティングの顔色を伺うことなく、個人の本能と煩悩のままに表現をする地下芸人と出会った時、大塚はその世界の住人達に強く惹かれたのだろう。監督は語る――、

< 大塚恭司監督 コメント 「東京アディオス」公式資料より >

「地下芸人は美しい。スポットライトも、金も、名誉も、人気も求めない。だが、あきらめない。人を笑わせる、という自らの生きる使命を、決してあきらめない。出会ってから15年、シナリオを書き上げてから8年、横須賀は横須賀のまま、この映画を待ち続けてくれた。この時代にこんな芸人がいたという事を、映画という形で残したい。それが私の原動力だった。横須賀歌麻呂という存在、横須賀歌麻呂という生き方、横須賀歌麻呂という魂を、是非映画館で目撃していただきたい。」

大塚が抱いた熱は醒めることなく、長い年月をかけて、一本の映画に成就した。俯瞰すれば50代後半という老いのとば口に立ちながら、悶々とチンコをこすり続ける芸人の映画を作るのだから、大塚恭司という人もすこぶる取り憑かれた人物だ。

自己承認というエクスタシーに取り憑かれた生き様

「東京アディオス」

改めて、映画「東京アディオス」。主人公の横須賀歌麻呂は、地下芸人達が集う小さなライブで芸を披露している。だが、そこで生活を満たすギャラを得ているわけではない。ギャラはたいがい交通費かノーギャラ。良くても激安酒場ですぐさま消えてしまうような額だろう。そして、単独ライブを開催する為の劇場使用料を捻出するため、芸による収入ではなく、アルバイトであったり、別の手段でその費用を捻出している。つまり自身の芸が職業としては成り立っていない。

それでも、自らが信じる芸で観客の前に立ち、反応を欲する。それは「自己承認というエクスタシーに取り憑かれた」、生き様であり、生きる証であり、袋小路なのだろう。そこが袋小路とわかっていても、彼らにとってかけがえのない居場所なのだ。市場経済とは別の価値が横たわる。

この「東京アディオス」、まごうことなきカルトフィルムだ。公開重なるホアキン・フェニックス主演「ジョーカー」と合わせて観たら、単位不明だけどやたら強めのライフポイントがたまる気がする。

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