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カフェ首位がドトールからスタバになったワケ

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「1杯1万円のゲイシャも、ほぼ毎日注文がある」

現在は、日本人が「史上最もコーヒーを飲む」時代である。コーヒー輸入量は、直近の18年は45万2585トン。この数字は80年の2倍以上で、00年に40万トンの大台に乗ってからは19年連続で40万トン超だ(いずれも生豆換算の合計。財務省「通関統計」をもとにした全日本コーヒー協会の資料)。

こうした需要拡大の背景には、コーヒーの多様化もある。1杯1万円を超える希少価値のコーヒーから、1杯100円のコンビニコーヒーまで、ワインのように幅広くなった。

「サザコーヒーは規模が小さいから、仕入れ・加工・抽出に徹底してこだわれます。コロンビアに直営の『サザ農園』もあり、それ以外に世界中から良質のコーヒー豆を買い付けます。大手とは違い、仕入れから抽出まで同じ人がやることもある。私も海外でコーヒー豆を買い付け、店でコーヒーも淹れます」(太郎さん)

そんな手作り感と味が客に評価され、「KITTE店では、1杯3000円のゲイシャが1日に5~6杯出ます。1杯1万円のゲイシャも、ほぼ毎日注文があります」と話す。

筆者自身、KITTE店で次のような感想を聞いたことがある。千葉県から母親と一緒に来店した30歳の女性は、ゲイシャではないものの、1杯2000円という高級品種の「ジャンソン パカマラ」を注文。母娘でさまざまな高級豆を味わってきたというが、太郎さんが買い付けたパナマ・ジャンソン農園のパカマラは「1滴なめただけで、まるでエキスでした」と目を丸くしていた。

スタバも注目の、若き女性バリスタ

「安さんの存在は気になっています。私、ファンなんですよ」

スターバックスの女性バリスタ(コーヒー職人)から、こんな言葉を聞いたことがある。サザコーヒーの安優希バリスタのことだ。


24歳の若さで「18年JBC(ジャパンバリスタチャンピオンシップ)4位」の実力者。同社の大洗店店長・茨城大学店店長も兼ねる。

サザコーヒーのもう1つの強みが、安さんのようなバリスタの存在だ。18年のJBCファイナリスト6人中3人が同社のバリスタ。安さんは最年少として名を連ねる。

「もともと専門学校生時代にコーヒー抽出の授業を受けて興味を持ち、そのときの講師だった小泉準一(サザコーヒー取締役で同社バリスタ監督)の誘いを受けて入社しました。いまは、五輪出場を目指す選手のような気持ちで仕事に向かっています。通常業務の終了後にバリスタのトレーニングを行い、土日も抽出セミナーやトレーニングで埋まります。でも『世界一のバリスタになる』という目標があるので、苦になりません」(安さん)

堂々とした立ち居振る舞いは、長年習ったバレエで培った「発表会慣れ」もあるのか。17年JBC6位、18年同4位と着実にステップアップしてきた。

18年、そのサザコーヒーも加盟するSCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)に、スターバックスが加入したことがコーヒー業界のニュースになった。19年からはスターバックスのバリスタが、SCAJ主催のJBCに参戦する。9月に予定される決勝大会では、安さんらサザのバリスタとスターバックス勢との真剣勝負が見られるはずだ。

「変えない」からこそ支持されてきた名店

欧米からもリスペクトされる日本の喫茶文化。それを象徴する店が「カフェ アンセーニュダングル」だ。店は東京都内の原宿、広尾、自由が丘にある。


店名はフランス語で「角の看板」の意味。最も古い原宿店の開業は75年、広尾店は79年、自由が丘店は85年で、昭和・平成を人気店として生き抜いた。

この店の特徴は、創業以来「店の哲学」を変えないこと。よく「時代とともに中身を変える」といわれるが、「変えない」からこそ支持されてきた。

創業者の林義国さんは、現在は自由が丘店のカウンターに立つ。「お客さんから見えるカウンターでの作業は『さらしの仕事』ですが、喫茶店なので決めすぎてもいけません」と林さん。

看板商品の「ブレンドコーヒー」は、ネル(布)ドリップを用い、深煎りで淹れる。濃厚で、苦味とコクのバランスがとれた味だ。常連客のなかには著名人や文化人も多い。

この店は、コーヒーカップもソーサーも「ロイヤルコペンハーゲン」や「ベルナルド」「リチャードジノリ」などの一流品を使う。これも店の哲学だ。

「自由が丘に来ると、必ず立ち寄るの」

「わざわざお越しいただいたお客さんですから、おもてなしの意味を込めています。自宅でも来客には、その家にある高級なカップでもてなすのと同じです」(林さん)

「自由が丘に来ると、最後はこの店に立ち寄るのよ。カウンターの分厚い一枚板が好きなの」

こう話すのは、都内在住の80代の女性。年齢を感じさせないスタイリッシュな服装と姿勢のよさも印象的だ。自宅を建て直した際、あえて木造住宅にこだわり、調べるうちに、木に対する興味が増したという。

同店のカウンターは8メートルに及ぶ一枚板。アフリカクルミだという。

「もともとは12メートルありましたが、店内のレイアウトの関係で、やむをえずカットしました」(林さん)

店には常に新鮮なバラも飾られる。都内のバラ専門店「ローズギャラリー」から、当日朝に摘んだばかりのバラが14本届けられる。週に1度のペースで花を取り換えるという。これも長年続ける「しつらえ」だ。

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