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市民マラソン大会費用を横領して高級クラブ通いを続けた元三浦市職員 何も知らない妻の楽しみは月に1度の外食だった

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裁判傍聴芸人の阿曽山大噴火です。今年6月26日、神奈川県三浦市の元職員・大沢克也(54)が業務上横領の疑いで逮捕された事件の初公判を傍聴するために横浜地裁横須賀支部へ行ってきました。

ご存じない方も多いと思いますが、日本にある裁判所の数は1000箇所以上。例えば東京地方裁判所なら本庁が霞ヶ関で、支部が様々なところにあります。神奈川県の場合は地裁の本庁が横浜にあり、その他相模原、川崎、小田原、横須賀に支部があります。

初公判が行われたのは、横浜地裁横須賀支部の最も大きな401号法廷でした。奥行きがあり、部屋の横一面がすべて窓ガラス。白いレースのカーテンが引いてあって、終わったあとにのぞくと東京湾唯一の無人島・猿島行きのフェリー乗り場が見えるところでした。

傍聴席は50席で、傍聴人は17人。検察官側の一番前の傍聴席に固まって4人座っていたので三浦市の職員かと思われます。必死にメモを取ってる記者と思しき人が5人くらい。あとは何者なのかよく分かりませんでした。被告人の知人だったのかもしれません。

被告人は保釈されていないため身柄を拘束されている状態。2人の弁護人に軽く会釈をして、明らかに三浦市の職員とは目が合っていましたが無表情。無視していたように思います。

今回の事件ですが、2つの事件で起訴されています。1つが3年前の2016年11月8日に15万1200円、12月22日に63万3420円、合わせて78万4620円を着服横領した件。もう1つが同じ年の8月22日に自己の用途に消費する目的で約42万円を着服横領した件です。

新聞が報じた逮捕容疑は被告人が神奈川県三浦市の職員をしていた時に、市が主催する三浦国際市民マラソンの企画実行委員会事務局長の立場を利用して2016年11月から12月までの間、3回に渡り実行委員会からデザイン業者へ支払われるはずだった現金約120万円を着服したというもの。

しかし、三浦市が独自に行なった調査では被告人が不正な支出を行って作った裏金は約2880万円。現時点では、三浦市が主張しているだけで被告人はこの件で罪に問われていません。三浦市の主張が正しければ、数千万円を横領した疑惑にもかかわらず、起訴されている事件は約120万円の着服。金額の差が興味深いです。

被告人は重要な罪状認否で業務上横領を否認しました。

検察官「(読み上げた内容は)事実ですか?」
被告人「個人的に消費したというのは違うとは思います」
弁護人「被告人は必要経費として消費したという認識なので業務上横領について無罪です」

お金を使ったことは事実だが私利私欲ではないというのが被告人の主張です。検察官は、被告人はマラソン大会開催に必要な接待費・交際費が全て自腹のため困っていたと主張しています。

ここから証拠の読み上げが始まるのかなと思いきや裁判官が「被告人、体調は大丈夫ですか?」と。血色もいいし、見た目は健康そうに見えたのですが、裁判官が「何かあったら言ってくださいね」と声をかけました。

マラソン大会のTシャツやパンフレットを架空発注

三浦国際市民マラソン公式サイト



問題となっている三浦国際市民マラソンは1981年から行われています。40年ちかく続いており、昨今のマラソンブームで始まったにわかの大会ではありません。被告人は、マラソンの企画実行委員会に1999年から参加していました。

2006年、被告人がデザイナーのAさんにTシャツのデザインを依頼していますが、実際は頼んでいない架空発注。こうしたやりとりが10年以上続いていました。

Tシャツやパンフレットの制作費をAさんに直接支払うのであれば、被告人がお金を受け取ることはできません。しかしいつからなのかは不明ですが、被告人とAさんの間に会社Bが入っています。

Aさんが請求した63万円は、実行委員会から会社Bに支払われる。しかし実際はそれほどお金がかからないためおかしいとなったようです。三浦市は被告人だけでなくAさんも架空発注を知っていたと疑い、2人を刑事告発しています。

Aさんは会社Bからお金が支払われていたのは「10年前からだ」と主張。デザイン会社を設立した29歳の時に、被告人と共通の知人がいて『Tシャツのデザインをしてみないか?』と声をかけられたそうです。

会社Bの出納を担当していた前々任者は「以前は、媒体制作費でAさんの社名を書いていたけど、被告人から説明するのが面倒だから名前を抜いておいてと言われた」と証言しています。

Aさんがどうなったのかは分かりませんが、Aさんも「知らなかった。騙されていた」と主張しています。

聞き取り調査が始まると資料をシュレッダーに


2017年7月、出納管理をチェックした時に「接待費が高額過ぎませんか?」という話になり、関係職員に聞き取り調査を始めます。神奈川新聞に書いてありますが、35回目と36回目のマラソン大会で不適切な交際が発覚。裏金が作られていることが分かったため起訴されました。

この2つの大会以外でも不適切な交際が行われた可能性はありますが、34回大会以前の記録がありませんでした。これは三浦市側の問題もありますが、記録に残っていないため罪に問えません。

被告人がお金を管理する立場ですが、下ろす権限はなかったので部下に任せていました。部下も「おかしいな」とは感じていたようですが、口出しできなかったと証言しています。

聞き取り調査が始まった時に被告人が35回、36回大会の資料を急にシュレッダーにかけたり、部下に口止めをしていました。「被告人に意見が言えない雰囲気があって従っていました」と。ものすごく高圧的だったのだと思います。

実際にお金を下ろしていた部下から、「三浦市はマラソン大会だけでなく外国人観光客を呼ぶ企画も行っていて、被告人はそれにも関わっていた。出張代が膨大な金額になっていて、マラソン大会以外にも裏金作りをしていた」という証言もあります。これは起訴されていません。

検察官が提出した証拠について興味深いことがありました。検察官は客観的な証拠である甲号証を69通、戸籍や話した内容など被告人に関する証拠である乙号証を19通も用意していました。

さきほど話した通り、被告人は事件を否認しているため、これだけ証拠があっても採用されるのは少しだなと思いました。弁護人の許可が出たものしか読み上げることができないので。

これに対して弁護人は「すべて同意です」と。要するに全部証拠で使っていいですよと許可を出した訳です。否認をしているにもかかわらず、この判断には驚きました。普通なら「証拠として採用するのはいいけど、書いてある内容が真実なのかは分かりませんよ」と付け加えそうなものですが、それも無し。否認している場合は、「それは証拠能力がないですよ」と認めない場合がほとんどです。

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