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【読書感想】ルポ シニア婚活

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ルポ シニア婚活 (幻冬舎新書)
作者: 篠藤ゆり
出版社/メーカー: 幻冬舎
発売日: 2019/09/26
メディア: 新書
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Kindle版もあります。

ルポ シニア婚活 (幻冬舎新書)
作者: 篠藤ゆり
出版社/メーカー: 幻冬舎
発売日: 2019/09/26
メディア: Kindle版
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内容(「BOOK」データベースより)
還暦を過ぎて子どもがほしくなり31歳スリランカ人と成婚した61歳男性。ピースボートの船上で72歳男性にプロポーズされた80歳女性。65歳以上の独居人口は620万人を超え、伴侶を求めるシニアも増加の一途。だが人生の酸いも甘いも噛み分けた世代の婚活には、複雑多岐なしがらみがあり、ゆえに結婚の暁にはそれが極上の喜びに変わる。本書では多くのインタビューでわかったシニア婚活の実態と成婚への道筋を紹介。恋愛感情は必要か?子どもをどう納得させる?「後妻業」への防衛策は?幸せな老後、幸せな最期を求める人々の愛の記録。


 「シニア婚活」をどう思いますか?
 正直に言うと、僕は若い頃からずっと、「ひとりで死ぬのが寂しい」という感覚って、よくわからなかったのです。
 どうせ人間、死ぬときはひとりなんだし、看取ってもらうために誰かと一緒にいる、なんていうのは、「コストパフォーマンスが悪い」のではないか、と。

 長年連れ添った夫婦であるならともかく、そのために、新しいパートナーを探す、なんていうことには、違和感があったのです。いや、40代後半になった現在でも、違和感はあります。
 僕にとっては、最近読んだ森博嗣先生の本に書いてあった「孤独というのは、自由ということでもある」という考え方のほうが、しっくりくるのだよなあ。
 読書とかゲームとか競馬とか、ひとりでできる趣味ばかり、というのも大きいし、ネットがあれば「他者との適度な距離を保った接触」もできる。

 ただ、それは僕が現状は仕事でもプライベートでも「人嫌いなのに、人と接触せざるをえない環境」に置かれ続けているから、でもあるんですよね。
 もし、年を重ねて、本当に「1週間、誰とも会話しない生活」になってしまったら、それでも「淋しい」と思わない、というほどの自信もないのです。
 この本に出てくる「シニア」の人たちも、長年「もう誰かと一緒じゃなくてもいいや」って思っていたみたいですし。

 現実には、シニアになってから新しいパートナーを探す人、また、実際にパートナーと新生活を始める人が増えている。
 人口動態統計によると、65歳以上で結婚する人は、2000年には7800人だったのが2015年には1万4500人と、ほぼ倍に増えている。統計の対象は法的に婚姻届を出したカップルに限られているので、事実婚も含めると、さらに増えていることが予想できる。

 なぜ、人生の後半期になって新たに結婚する人が増えているのか。端的に言えば、それだけ長生きするようになった、ということだろう。加えて離婚率も上がっているため、死別・離別を含め、単身シングルの人口は増加している。
 実際に取材を始めてみると、婚活に前向きなシニア層がこれほどいるのかと驚いた。シニア層に特化した結婚相談所を利用して、月に何名もの相手と積極的にお見合いをする人、婚活パーティで出会った人とデートを重ね、交際が実らなかったら次のお相手を求めて再びチャレンジする人。ひとことでいうと「めげない」人が多いのだ。

 若い人たちの婚活も扱っている結婚相談所や結婚情報サービスの担い手に話をうかがっても、シニア層のほうが若い人たちよりも積極的で前向きだし、”肉食”だという話をよく聞く。なかには90歳を超えてなお、結婚相談所に登録して婚活をする人もいる。

 
 シニア婚活というと、「老後の寂しさを癒すためのパートナーを探したい」という理由が思い浮かぶのですが、実際は、経済的な事情によるものも少なくないそうです。

 夫と死別して遺族年金を給付されている人や、正社員として働き続けてきた人をのぞくと、高齢単身女性は一般的に、経済的不安を抱えている人が少なくない。
 中高年向きの結婚相談を行っている民間福祉団体・太陽の会の本部会長斎藤尚正さんによると、男性会員は前のパートナーと死別した人と離別した人が半々くらいだが、女性の場合は、死別した人は3割程度。圧倒的に離別の人が多いという。

「女性の場合、最近は経済的な理由で入会する人が増えています。以前はそれほどでもなかったので、それだけ離婚が増えた、ということでしょう。若いうちは働けても、60歳を過ぎると、働ける場所も減ってくる。寂しいからというより、経済的な不安を解消したいというのが第一の目的で入会するわけです。

 一方、前の配偶者と死別した人に関しては、男女でかなり意識の差があります。女性は、持ち家や遺族年金があれば、生活はそれなりに安定しています。寂しい気持ちはあるけれど、友人や子ども、孫などと楽しい時間を持てる人は、旦那さんの思い出があれば、生きていけるんですね。ところが妻と死別した男性は、寂しくて耐えられないという人がけっこう多い。だから妻の一周忌前に入会する人も、少なくありません。なかには初七日が終わらないうちに相談に来る人もいます」


 老後のために2000万円必要、なんて言われると、これから2000万円貯蓄する、というよりも、リッチな新しいパートナーを見つけるほうが、まだ可能性はあるんじゃないか、と思う人も少なからずいそうですよね。
 シニア婚活の場合には、40代くらいは「若い人」になるわけですし。

 反面、ずっと介護をやることになるかもしれないし、自分や相手の子どもとの関係が難しいところもあります。
 自分がある程度の年齢になれば、「親の新しいパートナー」を心情的に受け入れることはできそうですが、それはそれとして、財産に関するトラブルも起こるわけで。

 この本を読んでいて痛感するのは、「シニア婚活でも強い立場にあるのは、経済力や高齢でもできる仕事を持っている人」だということなのです。
 日本の生涯未婚率は、どんどん増加しています。
 その一方で、前述したように、「経済的な不安を解消するため」に婚活をする人が多くなっているのです。
 
 いくつになっても恋愛をしていたい、とか、添い遂げられるパートナーが欲しい、自分の子どもに財産を受け継がせたい、などのさまざまな理由が紹介されているけれど、結局のところ、「KKO(キモくて金のないオッサン)」は、この新書にはひとりも出てきません。

 いやまあ、それはそうだと思うんですよ。
 好きこのんで、そんな相手をパートナーにしたいわけもない。
 人気芸能人であれば、40代後半でも20代女性と結婚できるけれど、これからの日本は「いくつになっても、誰からも見向きもされない人」と、「高齢になっても、何度でもチャンスがある人」の両極化がさらに進んでいくのでしょう。

 それは良いとか悪いとかじゃなくて、「恋愛」や「婚活」が自由市場であるかぎり、起こるべくして起こっている現実でしかありません。

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