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消費税率の引き上げにあたって

 明日から消費税の税率が10%に引き上げられます。

 おそらく野党はそのことを攻撃するのだろうと思われます。しかし、医療の高度化、高齢化、温暖化に伴う自然災害の増加によるインフラ需要の増加をはじめ多くのファクターにより財政の持続可能性が問われている中で、実際に事実と数字に基づいた議論を突き詰めれば、責任ある政治家としては、他の選択肢はなかった、やむを得ない決断だったというのが正直なところです。

 税金を上げたい政治家などこの世にいるはずがありません。税金は低ければ低いほどいいに決まっています。しかし、最低限必要な歳出があることを考えれば、無責任に税金を下げればいいということであってはならない。パフォーマンスではなく、そこを悩み抜く、そして場合によっては負担のお願いをせねばならないこともまた責任ある政治家の役割です。

 我々が考えるべきは、国民の負担をどうやって将来にわたって最小化することが出来るか、この一点に尽きます。目先の痛みを煽って必要な負担の分配から政治家が逃げてしまえば、将来もっと大きな負担をお願いせざるを得なくなる。これは20年後、30年後に責任を持つ政治家が取るべき選択ではありません。

 様々な行革にも取り組んできた自分の目から見れば、歳出カットのみで財政の持続性を高めることが事実上困難なのは明らかです。また経済成長だけに頼る考えも、今の環境下ですら民間主導の経済成長が実現できていない実態を考えれば現実的ではありません。

 今年度予算においてはバブル期の60.2兆円を上回る史上最大の税収を計上し、実際に決算においても最大となる可能性が高い中ですが、法人税や所得税など、各税目の実質的な動きや繰越欠損金の状況などを考えれば、今後、今のままの税体系で70兆円前後の税収を得ることが出来るかと言えばそれはほぼ不可能です。

 また、経済成長を考えるのであれば、なおのこと、経済成長を阻害しない税体系への転換が求められる訳で、そのためには従来のように頑張る企業や個人への課税である法人税や所得税中心の税構造を転換せねばなりません。

 三党合意に基づく消費税率の引き上げはこの10%でいったんのケリがつきます。今後、我々は次の20年30年を見据えた税構造のあり方の議論を進めていかねばなりません。その際、国民のみなさまに真摯に向き合い、どうすれば20年後の国民一人ひとりの負担を最も少なくすることが出来るのか、出来ない幻想を無責任に振りかざすのではなく、様々な可能性を考慮しながら、緻密な議論をオープンにしていく必要があるのだと思われます。

 その際には、もちろん、所得税や法人税の中の様々な問題で実効税率と実際の税率に乖離が見られる点など、それぞれの税の中での公正性を高める議論も必要ですが、そもそもの基幹税のポートフォリオのあり方自体をどうするのかという観点も必要です。

 こうした観点で、今後もあるべき税の姿を未来に責任を持つ次世代の政治家の一人として責任を果たしてまいりたいと思います。

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