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気候変動活動家グレタ・トゥーンベリのスピーチがデスメタルに

スウェーデン人の気候変動の活動家グレタ・トゥーンベリ

スラッシュメタル・ドラマーのジョン・メレディスが、スウェーデン人の気候変動の活動家が国連で行ったグレタ・トゥーンベリのスピーチを思い切ってメタル・ミームにしてみたところ、グレタ本人も気に入り世界中で大ヒット。作者がその思いを語ってくれた。

スラッシュメタル・ドラマーのジョン・メレディスは、国連気候変動サミットで9月23日に行われた10代の活動家グレタ・トゥーンベリの「よくもそんなことを(How dare you?)」スピーチを見て、彼女のメッセージに共感した。しかし、彼女のスピーチ内容がかなりクールなメタル曲になると気づいてしまったのだ。そこで、彼は早々に曲作りを始めた。それが今、YouTubeでバイラルヒットとなっている「Greta Thunberg sings Swedish Death Metal(原題)」だ。



「彼女のスピーチを見たとき、その情熱と激しい憤りに本当に感心した」と、メレディスから送られてきたメールに書いてあった。彼はニューヨークを拠点とするメタルトリオSuakaのドラマーだ。「ただ、彼女が選んだ言葉は、俺が大好きなメタル音楽、特にエントゥームド、ゴジラ、アット・ザ・ゲイツ、セパルトゥラなどに通じつダークさを刺激するものだった」と、彼のメールは続く。

メレディスはトゥーンベリのスピーチをProToolsにコピーし、それに合わせて即興演奏を行った。ProToolsの録音プログラムでは彼女の声を「メタルらしく」することができなかったため、彼女に合わせて自分がデス声で唸ることにした。ギターパートを作りながら、トゥーンベリの「海の向こうで学校に戻るべきなの(I should be back in school on the other side of the ocean)」のようなフレーズを、イモータルのフロントマンのAbbathが雪で覆われたスカンジナビアの山頂からゲロを吐くイメージで音を作っている。

「俺には彼女の野蛮な言葉遣いをメタル曲にしたいという以外の意図はなかった」と、メレディスが説明する。そして、自分が作った動画で彼女を笑い者にしているとみんなに誤解されたくないとも言う。彼はトゥーンベリのメッセージに賛同していて、「自分が生きている環境を保護して保存するために、俺たち一人ひとりが努力しないとダメだというのが俺のスタンスだ」と述べている。しかし、彼もこのビデオが面白いことは十分に承知しているのだ。

「10代の子の懸念や不安は強烈だし、社会にとって重要な推進力だ。アラブの春(訳注:2010~2011年の中東・北アフリカで起きた民主化運動)なんかがそうだった。でも、俺が作った曲には皮肉や場違いな陽気さも含まれている。実は、あんなふうに歌ったのはこれが初めてだった。ユーモアとメタルらしいポジティヴな態度が、怒りや憤慨と同じくらい強烈になり得ると思うし、その両者が共存できる場所があるんだ」と、メレディスが言う。

先週末にはトゥーンベリ自身はビデオを気に入り、自分のTwitterに「もう気候変動は卒業……これからはデスメタルだけやる!!」と投稿している。

奇妙なことに、この動画は「スウェーデンのデスメタル」という点が最も非難されている。これはアット・ザ・ゲイツやダーク・トランキュリティなどが広めたメタルのサブジャンルなのだが、メロディックなリードギターとしゃがれ声ボーカルが特徴として知られているのだ。つまり、メレディスの動画でのスウェーデン的要素はトゥーンベリだけなのだ。「俺も『これはスウェーデン・デスメタルじゃない』というコメントをうんざりするくらいたくさん見た(笑)」とメレディスも認めている。そして、「きっと『ブラックメタル』の方が適しているとは思うけど、このタイトルは彼女の出身国を表しているんだ。彼女の怒りにはバイキング的なイメージがあるってことは否定できないよ。まあ、ジャンル分けが必要なのは批評家だけで、ミュージシャンは好きな音楽を作るだけさ」と説明する。

この動画が人気になったとはいえ、彼も彼のバンドSuakaもこの曲をステージで披露するつもりはない。メレディスはコロラドで育ち、現在はクイーンズのリッジウッドにある地下スタジオ「モラスク・スタジオ」を経営している。また、彼のバンドメイトは二人ともインドネシア人で、何十年もアメリカ国内に住んでいるアメリカ市民だ。Suakaの音楽にはアジアのルーツがあり、最近リリースしたアルバム『Suakatrocity(原題)』でアジア・ツアーも行った。さらに、来月はインドネシアのバンドBurgerkillを招聘して、彼らにとっての初アメリカツアーを行う予定だ。

Suakaはそれなりに成功を収めているが、メレディスは新たなサイド・プロジェクトを得た気がすると言う。「この動画がバイラルになる前に、友人たちが他のスピーチをいろいろ教えてくれたんだ。この動画を作るのがとても楽しかったから、もう少しやってみようと思う」と、やる気になっているようだ。

Translated by Miki Nakayama

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