


有名人にとって重要な情報発信ツールとなっているSNSだが、同時にプライベートの様子が一般ユーザーによって投稿されることも増えている。「芸能人の〇〇を見かけた」とか、「街で〇〇に握手してもらった」などという投稿は頻繁にあり、芸能人たちの素の姿がネット上で共有されているのだ。
そんななか、しばしば話題になるのが、サービス精神旺盛なタレントの“神対応”だ。SNSで拡散されたタレントの神対応エピソードが、ニュースとなって大きく拡散される機会も多い。
最近では、俳優の工藤阿須加がテレビ局で出待ちをしていたファンたちに“神対応”したことが、NEWSポストセブンで取り上げられた。ほかにも、主演舞台終了後に出待ちのファンから多くのプレゼントを受け取った岡田将生や、ファンと気軽にツーショット写真を撮るKoki,などが“神対応”であると、マスコミを賑わせた。こういった“神対応”に関する報道が増えていることについて、エンタメ業界に詳しいフリーライターの大塚ナギサ氏はこう話す。
「これまでも神対応をするタレントは数多くいたはずですが、SNSが普及したことでその事実が可視化されたということだと思います。スマホのおかげで、タレントの写真を撮ってネットにアップするのが簡単になったことも、神対応が話題になりやすくなった要因のひとつです。
その一方で、“塩対応”についてもSNSに投稿されやすくなっているわけです。そして、その塩対応がきっかけとなってネット上で叩かれてしまう可能性もある。タレントとしても、そういったリスクは承知していて、だからこそできるだけファンの期待に応えようしているのかもしれないですね」
“炎上対策としての神対応”という側面もあるようだが、神対応自体がリスクとなる可能性もある。たとえば、飲食店でたまたま隣の席にいた客に声をかけられツーショット写真を撮影したはいいが、実はその客が反社会的勢力の人間だった…などといったパターン。もしも、その写真が流出したら、“反社と交際している”という噂が立ってしまうかもしれない。
「そういったリスクを考慮することなく、誰とでも写真を撮るタレントさんもいますが、事務所の方で“知らない相手との記念撮影はNG”というルールを定めているケースも多いですね。写真となると何に使われるかわからないし、記念写真を持ち出して“俺はあのタレントと知り合いだ”という証拠にされてしまうこともある。写真はちょっと危険なんですよね。
ちなみに、記念撮影をNGにしている代わりに、握手はOKというルールにしている事務所も多いようです。“写真は事務所に禁止されているんですが、特別に握手ならいいですよ”とタレントの方から言われれば悪い気はしませんしね」(大塚氏)
芸能人といえばサインを求められることも多いが、こちらについても扱いは難しいという。ベテラン芸能記者はこう話す。
「サインの場合は、売られてしまう恐れがあります。新幹線の品川駅や東京駅の改札あたりで芸能人を出待ちしてサインをもらって、それをネットで売っている人がいるんですよ。タレントにしてみれば、売られるためにサインを書くのは気分が悪いし、そもそもサインは売るためのものではない。そういった迷惑行為があるので、相手が何者かわかっている場合以外はサインをしないと決めている芸能事務所も多いです」
SNSの時代だからこそできるファンサービスと、できないファンサービスがあるということだ。もしも、プライベートのタレントを見かけたとしても、記念撮影やサインは求めるべきではないのかもしれない。