- 2019年09月30日 11:15
小学生女子の"綺麗すぎるノート"が危険なワケ
1/2女の子を伸ばすためには、どんな教え方がいいのか。プロ家庭教師歴約20年で、『中学受験 女の子を伸ばす親の習慣』(青春出版社)の著者である安浪京子氏は「小学生の女の子には『キレイなノートづくりが勉強だ』と思っている子がいる。早めに試行錯誤することの大切さを教えたほうがいい」と指摘する――。

勉強は「机に向かうこと」ではない
「自分から勉強してくれる子になってくれたら……」、小学生の子供を持つ多くの親御さんはそう願っていることでしょう。特に限られた期間で最大の力を伸ばしていかなければならない中学受験では、成熟度の高さは大きく影響します。そういう意味では、親から言われたことを比較的素直に受け入れる女の子は、一見受験勉強を進めやすく見えます。女の子と比べて幼い男の子の場合、「宿題はもう終わったの?」「いつになったら勉強を始めるの?」といったやりとりから始めなければならないからです。
けれども、そこで安心してはいけません。
「毎週日曜は8時間勉強をしているのに、全然成績が上がりません」
こういう相談が多いのが、女の子のご家庭です。男の子を持つ親御さんからすれば、「えっ! 8時間も勉強できるの?」と驚かれると思います。しかし、よほど勉強が好きでない限り、8時間も集中力がもつはずはありません。
1日8時間、机に向かって座っていられたとしても、本当に集中して勉強できる時間はせいぜい1~2時間。残りの時間はテキストをぼんやり眺めていたり、ノートにキレイにまとめていたり、解説を読んでわかった気になっていたりと、“勉強をしている気分になっている”ことのほうが多い。そういう女の子は、勉強とは「机に向かうこと」だと勘違いしているのです。
長時間勉強しても成績が上がらない原因
勉強とは「頭を使うこと」です。そういう子が初めて私の授業を2時間受けると、ヘトヘトとなると同時に、理解できた楽しさ、頭を使った達成感でイキイキとした表情を見せます。このように勉強は、学習時間の長さではなく、どれだけ質の高い学習ができたかが大事なのです。
もし親御さんが勉強にある程度付き添えるのなら、子供が解いた問題について、なぜそう考えたのか言葉で説明させましょう。そうすることで、知識の定着を図ることができます。
中学受験では塾からたくさんの宿題が出されます。すると、親も子もそれを終わらせることだけが目的となってしまい、わかっている問題をダラダラとやったり、わからない問題を前に頭を抱えていたりするだけで、時間が過ぎてしまいます。8時間も勉強しているのに、成績が上がらない原因はここにあります。すべての課題を終わらせることよりも、あと少し頑張れば解けそうといった問題を中心に時間を充てて基礎力充実を図り、「問題が解けた!」と達成感を味わわせるほうが、よい結果へとつながっていきます。
「キレイなノートづくり」は現実逃避
勉強にノートは欠かせませんが、ノートの使い方にも注意が必要です。女の子はノートに「×」がつくのを嫌がります。「×」がずらりと並んでいると親や塾の先生に叱られるかもしれないというおびえもあるようですが、何より自分の気が滅入るのでしょう。そういう子は、自分で解いてみたけれど間違っていた、あるいはなんとなく解けそうだけど自分では手がかりがつかめない、というときにチラッと解答を見て、「そうそう、そう思っていたんだよね!」と自分を納得させて答えを写します。
最初は少し罪悪感がありますが、他にもやらなければいけない宿題があって、この教科だけに時間をかけているわけにはいかない。それをくり返していくうちに、「まぁいいよね」という気持ちになり、答えを写して「×」のないノートをつくるという勉強スタイルが定着してしまうのです。この傾向は女の子に多く見られます。
また、授業中にキレイなノートづくりに精を出す子もいますが、それは、実は授業からの逃避でもあります。分からない問題をずっと考え続けるのは、その科目が苦手な子からすると苦痛。でも、みんなが次の問題を解いている間に板書をせっせと写していれば、一緒に勉強をした気になれます。しかし、それでは勉強をしたことになりませんし、当然成績も上がりません。なぜなら、勉強は自分で手と頭を動かし、試行錯誤をして初めて力がつくものだからです。
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